『可搬型局所換気装置による介護空間の空調環境改善に関する研究』~局所換気装置を用いた技術で特許取得


大成温調株式会社(本社:東京都品川区、代表:水谷憲一、以下、大成温調)は、学校法人日本工業大学(以下「日本工業大学」)、学校法人東京電機大学(以下「東京電機大学」)、学校法人大同学園大同大学(以下「大同大学」)との共同研究を基に、「局所換気装置及び当該装置を用いた局所換気方法」の特許(第7121072号)を令和4年8月8日に取得したことを10月5日公表した。

その概要については次のようにある。我が国の高齢化は進んでおり、特に介護に関する問題が深刻となっている。介護認定制度で要介護3以上(寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする)が入居することが出来る施設として、特別養護老人ホームがある。

この施設では現在、数多くの入居待機者が各地にいるのが現状だ。その一つの理由として、少子高齢化によって介護を必要とする高齢者が増え続ける一方で、介護を担う若者が減少していることが考えられる。また、排泄介助時の臭いなど生活介助全般の肉体的・精神的負担によって介護士の離職の問題もこれに起因している。
排泄介助時に発生する臭気は局所的に発生することから、部屋全体の空気を混ぜて希釈する一般的な換気(全般換気)をするより、発生源近くで取り除く局所換気が効果的だ。この局所換気は産業換気分野で、発生汚染源対策として研究・普及が進んでいるが、介護空間において局所換気装置による臭気発生源対策を検討した例はなかった。

本共同研究は、特別養護老人ホーム等の介護空間における介護士への負担軽減、排泄介助時の効果的な臭気対策を目的として、臭気発生源近くで捕捉・排出する局所換気装置の研究・開発をコンピュータ解析、実験を進めるなかで、高効率捕集型の局所換気装置及び当該装置を用いた局所換気方法の特許を取得するに至った。

上図1(a)の特許取得した局所換気と(b)従来の局所換気では、特許取得した局所換気の方が遠くの空気を吸い込む効果が大きく、臭気発生源近くで効率良く捕捉することが期待できる。

特許の概要

【発明の名称】局所換気装置及び当該装置を用いた局所換気方法
【公開番号】特開2022-12725(P2022-12725A)
【出願人】 【氏名又は名称】大成温調株式会社
【発明者】 【氏名】吉野 一、【氏名】鳥海 吉弘 、【氏名】松村 智夫、【氏名】倉嶋 睦

【要約】 【課題】小空間や吹き出し噴流の影響があるような大空間のスペースがあっても捕集性状が良好となる高効率の局所換気装置及び方法。

【解決手段】天板1の外縁から外周側板2を垂下し、当該外周側板2の下端縁を前記天板1の内側に曲げて内周折り返し側縁3を設け、当該内周折り返し側縁3に対向した前記外周側板2の内側に、当該外周側板2の内周面に沿って一個又は複数個の吸込み口5が設けられ、当該吸込み口5から吸収した排気気体を集めて装置外に排気する手段を外周側板の外側に設け、前記天板1の中央部を貫通した補助気体供給管6の下端部に設けた補助気体の吹き出し口9を、前記天板1の下面と前記内周折り返し側縁3の上端縁3aとの空間内に設け、当該補助気体の吹き出し口9は、前記補助気体供給管6の下端縁と当該下端縁と一定間隔をあけて対向した遮蔽板8cとの間の外周に設けられている。

【選択図】 図1


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000098021.html


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