5つの文字から1万4000文字を自動生成 筑波大発AIベンチャーがフォント生成システムで特許出願 


筑波大学発AIスタートアップの株式会社AIdeaLab(東京都千代田区、代表取締役社長 冨平準喜)は22年8月17日、5つの文字から1万4000以上の文字をAIで自動生成するフォント生成システムの特許を出願したと発表した。

システムは、敵対生成ネットワーク(GAN)をベースに、大量のフォントを学習させた上で、手作業でデザインした数個の文字から、太さやセリフ(装飾)の形状を抽出し、生成する。パラメータの値を調整することで、新しいフォントとして出力することも可能。ピクセル画像ではなく、ベクター画像として生成する独自技術により、フォントファイルとしての出力を可能にしたという。

特許は、フォント生成モデルだけでなく、アプリケーションUIも含む。パラメータ調整でフォントを生成するUI、少ない文字数でのアップロードでフォントを生成するUIなど、さまざまなパターンのサービス展開を織り込んでおり、特許出願技術をベースに、フォント制作会社向けソフトウェアを開発予定。フォント制作にかかる期間を大幅に短縮するとしている。

技術開発の背景

従来のフォント制作は、職人の細かい手作業に長い時間が必要で、特に日本語のフォントは膨大な数の漢字を個別に制作する必要があり、英語圏のフォント制作とは比べ物にならないほどの制作期間が必要だった。そこで、今まで手作業で行われてきたフォント制作を、AIにより効率化する技術の開発に着手した。

技術の概要

生成モデルの一種である敵対生成ネットワーク(GAN)をベースに用いて、フォントを生成する技術を開発した。これにより、今まで年単位の時間がかかっていた日本語のフォント制作が、極めて短い時間でできるようになる。

本技術のフォント生成モデルは、大量のフォントを学習させたうえで、手作業でデザインした数個の文字から太さやセリフの形状などの特徴を抽出し入力パラメータとして使用して、フォントを生成。また、入力パラメータの値を調整することで新たなフォントを出力することも可能だ。さらに、モデルの出力をピクセル画像ではなくベクター画像として生成する独自の技術により、フォントファイルへの出力を可能とした。

フォント生成モデルの核となる技術に加え、今回の特許出願はアプリケーションUIを含みます。フォントの特徴を司るパラメータを調整することでフォントを生成するUIや、少ない文字数のフォントデザインをアップロードするだけでフォントを生成するUI等、さまざまなパターンのサービス展開を見据えて出願に織り込んでいる。

また、AIdeaLabとは別のこうしたサービスでは、フォントワークス株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長CEO 原田愛)が22年1月24日、新しいAIを使ったフォント制作でWebコンテンツ「MOJICITY」(もじシティ)をスタートしたと発表している。これはユーザーが手書きした文字をもとにAIがフォントを生成してくれるサービス「AI JIMOJI」(エーアイ ジモジ)だ。

「MOJICITY」のテーマは、「自分らしいフォントを自由に楽しめる世界をつくる」。Webページ上に構築された実験仮想都市を探検しながら、同社が開発を進めるアプリケーションや取り組みに触れることができるというもので、「あなたが手書きした46文字のひらがなを手書きで入力すると、その特徴をAIが読み取り、カタカナやアルファベットをAIがその書き方を真似て、自動的に文字を生成する」プロトタイプ版のサービスだ。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000084222.html
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1382945.html


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