スパイダープラス、知財戦略で取り組み強化、自治体DX推進で一時ストップ高


22年6月29日、建設業向けのDXサービス「SPIDERPLUS」を展開するスパイダープラス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:伊藤謙自)が急反発。一時はストップ高となる前日比80円高の444円をつけた。29日引け後、地方自治体や企業のDXを支援するチェンジと、自治体DX推進に関する取り組みを開始すると発表。これが材料視された。

発表された取り組みでは、SPIDERPLUSがビルやマンションなど建設工事領域のみでなく、施設管理などのメンテナンス領域や、土木工事領域への進出も見据えた検証も視野に入れているという。第1弾として、SPIDERPLUSの導入をチェンジが支援する予定。また、自治体向けの施設管理業務では両社でソリューション開発を進めることも検討しているとしている。

また7月6日、スパイダープラスは、持続的な企業価値向上における知的財産及び無形資産(以下、「知財」。)の重要性が高まっていることを踏まえ、知財に関する考え方及び取り組み状況を次のように公開している。

スパイダープラスでは、建設DXサービス「SPIDERPLUS」を2011年にリリースしてから約10年間、紙図面のペーパーレス化から始まり、建設業界のIT化の進展に応じて様々な機能を実装し、これらの過程で構築した機能群が競争優位の源泉となっていることから、知財戦略を重要度の高い経営事項と認識し、知財に対する取り組みを強化している。

また、2022年8月に「リニューアル版SPIDERPLUS」を販売受付開始予定であり、このプロダクトは1,500超の新機能を実装予定だ。様々な開発活動を積極的に進め、「建設DXのプラットフォーム・プロダクト」に進化しておりプロダクト開発に知財戦略を取り入れるとともに、積極的に知的財産権を取得していくとしている。

これらの取り組みにより模倣困難性の高い機能群が構築され、競争優位をさらに高めるとともに、持続的な企業価値向上に貢献するものと考え、本取り組みを通して、建設DXの知財分野においてもトップシェアを目指すとしている。

スパイダープラスの知財に対する考え方について

2021年6月に改定された「コーポレートガバナンス・コード」にも知財の重要性が明記されるなど、その重要性は近年高まりを見せており、競争優位の源泉となる知財への投資は、持続的な企業価値向上に貢献するとしている。執行役員知財責任者(以下、「CIPO」といいます。)を中心とした知財管理体制を構築し、中長期の成長戦略及びプロダクト・ロードマップに沿った知財戦略を策定している。

当該戦略に沿って、現在、施工管理DXに関する機能やサービスについて、既に複数の特許を取得しており、今後も積極的に知的財産権を取得し、知財ポートフォリオを構築する。また、取得した知的財産権について積極的な情報開示を行う方針であり、当社プロダクト及びサービスの提供価値を建設業界に発信することで、建設DX業界の知財分野でもトップシェアを目指す。

スパイダープラスの知財管理体制について

知財戦略を重要度の高い経営事項と考えており、知財管理体制として、執行役員にCIPOを配置。CIPOには、上場会社からスタートアップまで複数社のCIPOを歴任し、内閣府や特許庁から知財経営の成功事例を多数排出している株式会社MyCIPOの谷口将仁氏が就任している。

また、知財管理体制の構築は、競争優位の強化のみでなく、「知財を尊重し、他人の知財権を侵害することなく経営する」リスクマネジメント及びコンプライアンスの観点でも有効に機能するものと考え、当社のガバナンス強化にも貢献するものと考えている。

スパイダープラスの取得済みの知的財産権について(今後、詳細開示予定)

取得済みの知的財産権の一部は以下となり、こちらの特許も含めて、取得した重要な知的財産権については今後詳細を開示予定としている。

・特許第7015412号  登録日:2022年1月25日  発明の名称(略称):建設画像撮影指示システム、建設画像撮影指示方法及びプログラム(撮影指示削除)

・特許第7030251号  登録日:2022年2月24日  発明の名称(略称):建設画像配置システム、建設画像配置方法及びプログラム(写真枚数表示)


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://web.fisco.jp/platform/market-news/0007030020220707004
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/dlknpo/


Latest Posts 新着記事

終わりなき創造の旅 厚木の発明家が挑む“次の技術革命”」

特許数でギネス更新 21世紀のエジソン、厚木に―発明の街が問いかける、日本の未来図 神奈川県厚木市―東京からわずか1時間足らずの距離にあるこの街が、世界の技術史に名を刻んだ。特許数の世界記録を更新した発明家、山﨑舜平(やまざき・しゅんぺい)氏が拠点を構えるのが、まさにこの地である。彼の名がギネス世界記録に再び載ったというニュースは、科学技術の世界だけでなく、日本人のものづくり精神を象徴する話題とし...

知財は企業の良心を映す鏡――4億ドル評決が語るイノベーションの倫理

2025年10月、米テキサス州東部地区連邦地裁で、韓国の大手電子機器メーカー・サムスン電子に対し、無線通信技術の特許侵害を理由に4億4,550万ドル(約690億円)の賠償を命じる陪審評決が下された。この判決は、単なる企業間の紛争を超え、ハイテク産業における知的財産権(IP)の重みを再認識させる事件として、世界中の知財関係者の注目を集めている。 ■ 「技術を使いたいが、支払いたくない」——内部文書が...

知財が揺るがす電機業界――TMEIC×富士電機、UPS特許訴訟の裏側

2025年夏、産業用電源装置分野を揺るがすニュースが伝わった。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が、富士電機の無停電電源装置(UPS)製品が自社の特許を侵害しているとして、韓国において訴訟および輸入禁止の措置を求めた件である。韓国貿易委員会(KTC)は8月下旬、TMEICの主張を一部認め、富士電機製の特定UPSモデルについて韓国への輸入を禁止する決定を下した。日本企業同士の知財紛争が、国外で具...

「JIG-SAW、AI画像技術で米国特許を獲得へ 知財を武器にグローバル競争へ挑む」

はじめに:発表概要と意義 JIG-SAW(日本発の IoT / ソフトウェア/AI ベンチャーと理解される企業)は、米国特許商標庁から「コンピュータビジョン技術」に関する Notice of Allowance(特許査定通知) を取得した旨を、自社ウェブサイトおよびニュースリリースで公表しています。 具体的には、JIG-SAW は「コンピュータビジョン技術、画像処理・画像生成支援技術」分野において...

「特許で世界を包囲する中国 イノベーション強国への加速」

はじめに:なぜ国際特許出願数が注目されるか イノベーション(技術革新)の国際競争力を測る指標として、研究開発投資、論文発表数、特許出願数などが長らく注目されてきました。特に国際特許(例えば、特許協力条約 PCT 出願、あるいは各国出願による外国での保護を意図した出願)は、一国の発明・技術が国際市場を見据えて保護を志向していることを示すため、技術力だけでなく国際志向性の強さも反映します。 近年、中国...

「AI×知財が生む国産イノベーション ナレフルチャットの議事録特許が拓く未来」

2025年秋、CLINKS株式会社が提供する法人向け生成AIチャット「ナレフルチャット」が、議事録生成技術に関する特許を取得した。 このニュースは単なる技術発表にとどまらず、「AIが人の仕事の記録と知識をどう扱うか」という大きな変化の象徴でもある。 いま、AIは“人の代わりに考える”段階から、“人の思考を支える”段階へと進化している。 その中で、「会議をどう記録し、どう活かすか」は、企業の知的生産...

「日用品にも知財戦争 クレシア×大王製紙、“3倍巻き”特許訴訟の行方」

はじめに:争点と構図 日本製紙クレシア(以下「クレシア」)は、トイレットペーパーについて、従来品に比して「長さ3倍(長巻き)」としつつ実用性を保つ技術を有する特許を取得しており、これを背景に、同種製品を販売する大王製紙(以下「大王製紙」)に対し、製造・販売の差止めおよび約3,300万円の損害賠償を求めて訴訟を提起しました。 第1審(東京地裁)では、クレシアの請求は棄却され、大王製紙の製品がクレシア...

「ナノレベルの精度を支える静電チャック ― ウエハー温度均一化の秘密」

ウエハー温度を均一に保つ静電チャック ― 半導体製造を支える見えない精密技術 半導体製造の現場では、目に見えない高度な工夫が、日々の歩留まりや性能向上に直結しています。その代表例の一つが、静電チャック(Electrostatic Chuck, ESC)です。静電チャックは、半導体ウエハーをチャック面で静電力により吸着保持し、ナノメートル単位の加工を可能にする装置です。表面からはただの「吸着板」のよ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る