日本は紛れもなく「モノづくり大国」であった。それは世界の風景すら変えてしまったといっても過言ではない、誰もが愛用したくなるアイテムを次々にリリースしていった日本。そんな誇らしい発明品を「男の隠れ家デジタル」では振り返って伝えている。
※会社やブランドの表記は、発売された当時のものです。基本は商品名ではなくカテゴリー名を記載しています。
かつて“発明大国”といわれた日本。普段何気なく使用しているモノの中には、実は世界で初めて日本人が発明したものも少なくない。古来、育んできた熟練の技、最先端の技術はさることながら、繊細な作業にも粘り強く取り組む日本人の勤勉さあってこそだろう。
1960年代のトランジスタラジオやカラーテレビに始まり、1970年代から80年代の家庭用電化製品、1990年代には半導体やコンピューターといったように、日本のモノづくりはかつて世界をリードしていた。多岐にわたり画期的な製品がリリースされ、その中には今や世界標準となったものも多い。
日本の“モノづくり”の低迷が叫ばれて久しいが、ここで、世界が刮目した日本発の発明品を振り返ってみたい。先人の残した華々しい発明品の数々に懐かしいと感じる世代や、若い人にとっては日本のモノづくりの素晴らしさに活気づけられるきっかけともなるだろう。
そして、ここで私たちは、そうした動きをリードしていた一つのメーカーの名を思い出す。今では誰もが普通に行っているが、当時は誰も思いつかなかったことを、世に送り出した“ソニー”である。
野外でステレオ音楽を楽しもう「ウォークマン」(ソニー・1979年)
録音機能をなくしステレオ再生回路を組み込んだシンプルな構造。そこに別部署で開発していた超軽量の小型ヘッドフォンが、偶然にもぴったりとフィット。しかもステレオサウンドも申し分ない。奇跡の出会いの瞬間だ。
音楽の楽しみ方を変えた画期的アイテム誕生のきっかけ—「新しい技術は何もありませんでした。ただ音楽は室内で聴くものという、その固定観念を脱ぎ去っただけだったのです」(ソニー広報ブランド戦略室・岸貴展さん)
それは今では多くの人が音楽を楽しむスタイル作りの先駆けとなった、ヘッドフォンステレオ「ウォークマン」のことだ。1960年代、誰もが手軽に使えるコンパクトカセットが誕生して以来、ステレオタイプのテープレコーダーは1970年代後半でも、家庭や自動車内といった室内空間で使用するものであった。手軽に持ち運べる小型軽量のものは、モノラルタイプに限られていたのだ。
昭和53年(1978)5月、ソニーのテープレコーダーの潮流となっていた肩掛け型録音機「デンスケ」シリーズに教科書サイズのステレオ録音機がラインアップされた。当時の名誉会長は海外出張時、これを持参し機内で音楽を楽しんだ。だが重い。
そんな時、手のひらサイズの小型モノラルテープレコーダー「プレスマン」が発表される。会長から「再生だけでいいから、これにステレオ回路を入れたものを」というリクエストが届く。プレスマンから録音機能を取り去り、ステレオ再生機能を付け、あり合わせのヘッドフォンをセット。これがウォークマンの原型となったのである。
CDを野外で楽しめる「ディスクマン」も登場—コンパクトディスクも、ソニーとフィリップス社が共同開発し、昭和57年(1982)に発売。当初はプレーヤーの値段が高く、なかなか普及しなかったが、手軽なオーディオの誕生とソフトの拡充、さらに1984年に「ディスクマン」の発売により、火が点いた。1984年に発売された1号機は「ディスクマン」と呼ばれたが、後に8cmCD専用機として「CDウォークマン」の商標が登場。後に統合された。
女性を家事労働から解放する一端に「自動式電気釜」(東芝・1955年)
戦後、女性の自立が謳われていたなかで、少しでも炊事や洗濯から解放するための商品として発表。釜が沸騰し始めたのを検知し、時間通りにスイッチが切れるようにすることや、外気温の差に影響されないようにするなど、難しい課題を克服。台所にコンセントのない家が多いという問題解決にも挑戦した。発売4年で半数の家庭に普及、見慣れたスタイルも当時は斬新だった。最初は家電販売店も半信半疑だったので、実演販売も積極的に行ったという。
世界初の特許を逃がした乾電池王「乾電池」(屋井先蔵・1885年)
1888年にドイツのガスナーが、電解液を石膏で固めた乾電池を製作。だがその3年前に屋井先蔵が炭素棒にパラフィンを含浸する方法で乾電池開発に成功。従来の液体電池と違い、凍結の心配がなくなった。しかし特許申請を工面できず、発明者として名を残せなかった。乾電池王と謳われた屋井先蔵だったが、1927年に65歳で永眠。写真は最盛期の屋井乾電池川崎工場。残念ながら現在、会社は存在しない。
漁業を近代化に導いた画期的装置「魚群探知機」(古野電気・1948年)
昭和13年(1938)に長崎県口之津町で船舶の電気艤装工事などを請け負う古野電気商会が誕生。漁業の近代化を目指した創業者の古野清孝は、弟の清賢と共に魚群探知機の開発に挑む。1948年、軍の放出品だった音響測深器を改良し世界初の魚群探知機実用化に成功した。1948年、開発に成功するとすぐに販売を開始した初期の魚群探知機(写真)。初期のタイプは、海中の様子を地震計のような図形で知らせた。
日本の食卓風景を激変させた革命的食品「レトルトカレー」(大塚食品・1968年)
お湯で温めるだけで一人前のカレーが誰でも食べられる。しかも常温保存でき、保存料は使わない。昭和43年(1968)当時は夢のようだった話を、大塚食品はボンカレーという商品で実現。当時、大塚グループが持っていた点滴液の殺菌技術を応用し、レトルト釜も自社開発してしまった。当時は牛肉の確保が難しかったが、100%牛肉にこだわり発売した。また、関西限定発売時は透明パウチだったが翌年、アルミパウチとなり全国発売された。
民生機器のデジタル化を進めた機器「ポケット電卓」(キヤノン・1970年)
昭和39年(1964)にトランジスタ化した世界初のテンキー式電卓機キヤノーラ130を発売したキヤノン。その後にIC(集積回路)を開発したテキサス・インスツルメンツ社と共同開発を進め、1970年3月に発表したのが、印字機能付きの電子ポケット計算機「ポケトロニク」だ。
腕時計の概念を変えたモデルが誕生「クオーツ時計」(セイコー・1969年)
昭和38年(1963)、セイコーはクオーツ(水晶)を搭載し、精度を高めた置き時計クリスタルクロノメーターを発表。さらに6極のステップモーターを開発し、小型省電力に成功。およそ6年後、世界初のクオーツ搭載量産型腕時計「クオーツアストロン35SQ」を発売した。
携帯電話の未来を変えた逸品「カメラ付きPHS」(京セラ・1999年)
平成11年(1999)当時、携帯電話での会話やSMSは広く普及していた。業界内の開発競争も激しく、世界初を謳う製品が次々に誕生。そんななか京セラが発売したVP-210はテレビ電話としても使えた、世界初のカメラ付きPHS。画像、音声、データ通信などは独自方式とした。1秒間に2枚のJPEG画像を送信でき、高さ140mmというコンパクトさ。カメラやスタンドの角度にも工夫があった。
コンパクトサイズで高機能なパソコン「ノート型パソコン」(エプソン・1982年)
A4サイズに高機能を凝縮したハンドヘルドコンピュータHC-20。電池が内蔵され持ち運びも自由。液晶ディスプレイも見やすいサイズであった。しかもマイクロプリンタ、カセットテープ(記憶装置)のレコーダーなど、必要なシステムがすべて内蔵された。キーボードは打ちやすい標準タイプライタ式を採用。A4サイズで重量は1600g。電池が内蔵されコードレス仕様である。
■洗浄機付きトイレの涙ぐましい努力「温水洗浄便座」(伊奈製陶・1967年)
長年にわたり衛生陶器を手がけていた伊奈製陶(LIXIL)は、多くの尻型を集めることで、座った際の基準値を測定。何度も試行錯誤を繰り返し、昭和42年(1967)に温水洗浄便座国産1号機「サニタリイナ61」を送り出す。だが価格がネックとなり普及は1980年代であった。当時は一般の人が気軽に手が届く価格でなく、裕福な家庭のみに普及したという。
まとめ
モノづくりや発明で存在感を放っていた、かつての日本。現在、当たり前のように使用している機器や食品が日本から生まれたということは誇りに思っていいのだろう。
文/野田伊豆守
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://news.yahoo.co.jp/articles/ac463d940eec01ec6368e92dd4275fc0f1aa0b68
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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