「特許」は自社知財を守るだけの道具ではない—ファーウェイ開催のフォーラム


華為技術(ファーウェイ)は8日、オンラインとオフライン方式を併用した「ファーウェイ知的財産とイノベーションフォーラム2022」を開催したことをRecord Chinaは22年6月9日次のように伝えている。

フォーラムの後半部分で行われたパネルディスカッションでは参加者6人がいずれも、特許は自社の知的財産を守るだけの道具ではなく、むしろライセンシー(特許利用者)を積極的に獲得することで、自社にとっても業界にとっても利益がもたらされると主張した。

パネルディスカッションに参加したのは6人で、深セン市内に設けられた会場で登壇したのは司会のアンドリュー・ウィリアム氏、ファーウェイ知的財産権部長の樊志勇氏、ベルギーの駐中国大使の経験があり、EU中国ジョイントイノベーションセンターの共同創設者であるパトリック・ニジス氏だった。さらにオンライン方式で、欧州やシンガポール在住の専門家3人も議論に加わった。

ウィリアム氏はまず、特許などにより知的財産権をしっかりと守ることは、科学技術の進歩を遅らせるとの主張もあるとして、参加者それぞれに考えを尋ねた。参加者はいずれも、技術などのイノベーションには資金投入が必要と指摘。知的財産が特許などの法律で守られるからこそ、経営者は開発に成功すれば利益が得られるとして、イノベーションに力を入れることになると論じた。

また、世界を前進させる主たる力はすでに、知的財産などの無形資産であり、ビジネスを進化させるためには、技術の革新や刷新はますます重要になっていくとの指摘もあった。

ただしニジス氏は、知的財産権をあまりにも強力に保護すると問題も発生しかねないと主張。自らが開発した技術を「囲い込む」という技術独占の動きが強まって社会全体の技術の進歩が阻害される恐れがあるからという。ニジス氏はその上で、各参加者がそのような状況を防止するためにもライセンシーを積極的に獲得するなどで知的財産をオープンな状態にすることが必要と考えていることに、強く共感すると述べた。

同ディスカッションでは、複数の企業がそれぞれの特許を持ち寄って共同管理する団体であるパテントプールも極めて有効との指摘があった。パテントプールの場合、さまざまな特許についての公開性や透明性が高まる効用もあるという。

パテントプールはある分野についての関連技術をまとめて管理することが可能になるので、ライセンシーになりたい企業にとっては、権利獲得のための作業を「ワンストップ化」できる。そのことによりコストを低減できるので、最終的には製品価格を低く設定することにもつながるという。

参加者からは、パテントプールを成功させるには、扱う知的財産が高品質で真に役立つ技術であることが必要であることや、パテントプール側が市場のニーズをよく知る必要があるとの指摘があった。現状ではハイテク分野、特に情報通信技術(ICT)業界で、パテントプールは有効に機能しているという。

ファーウェイの樊氏は、パテントプール関連を含めて、知的財産の共有で問題が出るのは、特許のレベルが低い場合と強調。ファーウェイとして、業界全体の進歩がもたらすことが極めて重要であり、そのためにはレベルが高い知的財産の共有が必要と考えており、相手が競合する企業であっても、そのことだけを理由に「技術の輪」から締め出すことはしないという。

樊氏は知的財産の共有が社会全体に利益をもたらした例として、スマートフォンを挙げた。まず、消費者は性能やデザインなどさまざまな要素を考慮して自分が購入する機種を選択することができる。一方で、技術面での統一が実現したことで、例えば動画のダウンロードなどでは機種にかかわらず同様の操作で実行できるなどの利便性がもたらされたと指摘した。

樊氏はファーウェイの場合について、知財権を扱う部門は会社にとって過去には「経費を使う部門」だったが、現在ではそうでなくなったと説明。自社の技術を他社に供与することで、会社に対して売上面で貢献しているという。

最近では5G関連で、まだ製品を発売していない欧州の企業から技術の供与の要望が寄せられたという。クロスライセンスという互いに持つ特許を交換するというやや複雑な方式を目指して交渉しているので手間がかかっているが、「相手方と交渉しないことには、最終合意はできない」と考えており、互いの研究成果の共有を望んでいるという。

ニジス氏は、世界の現状について、国家主義、中国を対象とする欧米によるデカップリングなど大きな問題が続出していると指摘。さらに欧州では戦争という、他の一切の価値を無にしてしまい、経済のリソースを人々の生活をよりよくするものを生み出すのではなく、武器を作るために投入していることは「巨大で深刻な状況」と述べた。

ニジス氏はさらに、人類にとって重要なことは、いかにして共同でイノベーションをもたらすかを考え実行するかであり、一人勝ちしようとするのではなくウィンウインを実現することと主張した。(取材・構成/如月隼人)


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.recordchina.co.jp/b895672-s25-c20-d0198.html


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