新型iMac用?冷却ファンの静音技術が明らかに


Appleは2022年5月17日、USPTO(米国特許商標庁)にて冷却ファンの静音技術に関する特許を取得しました(出願日:2019年10月7日)。

冷却ファンの静音化は大きな課題

今回取得された特許の名称は「Method to reduce entrance losses to increase fan inlet flow and reduce acoustic noise」(入口損失を低減してファン入口流量を増加させ、音響ノイズを低減する方法)となっています。

Apple製品はもちろん、Apple製品以外の冷却ファンを有するあらゆる製品で、動作音に関する問題は大きな課題といえます。特に、高発熱する新型Appleシリコンの冷却システムは、多くのユーザーから注目される機構といえます。このような背景から、Appleでは冷却ファンの開発が常に続けられてきました。

昨年には、新型iMacや、その他のモデルの静音冷却ファンの設置位置についての特許出願がされ、一部で話題となりました(出願公開番号:US2021/0051823A1)。

空気流が最適化された冷却ファンの詳細構造が明らかに

今回の特許の図1−2には、新型iMacとみられる筐体と、冷却ファンの配置が記載されています。冷却ファン210から排出されたエアーが、導管220を通して冷却通気を行い、in/outポートアレイ242、GPU244、CPU246、およびRAMモジュール248を含むメインロジックボード240を横切って冷却を行うことが記載されています 。

今回の特許の内容を説明する前に、従来の冷却ファンの構造について簡単におさらいしておきましょう。

図3−5には、従来の冷却ファンの構造と、空気の流れが開示されています。

空気の入口302への進入を妨げないように、典型的にはブレードの垂直前縁312は、入口と同じ直径322に近い直径320を有します。ブレードはインペラディスク314を介して円筒形インペラハブ306に接続されます。円筒形インペラハブ306内に配置されたブラシレスDCモータ316によって、ファンが駆動されます。

ここで、円筒形インペラハブ306は、空気の流入経路線502の一部を偏向させてしまい、インペラディスク314にもっとも近いゾーンにおいて空気流がブレード308の前縁に達するのを妨害してしまいます。円筒形インペラハブ306の頂部に衝突するこれらの発散経路線の幾つかは、ブレード308に直接到達せず、この理由によって冷却効果が低くなります。加えて、発散経路線は、円筒形インペラハブの頂部を横断し、ファンの反対側からの入口空気流と干渉する可能性があります(つまり、プレナムギャップ506、512で空気流の衝突が起きてしまう)。

今回の特許は、このような問題を解決するために開発された技術について開示されたものとなります。

ファンブレードとインペラハブを傾斜させた

上述の問題を解決するために用意されたのが、図6−9に示される新しい冷却ファンです。

一見すると同じように見えるかもしれませんが、問題点を把握した上で従来図と見比べれば一目瞭然だと思います。

図示されたように、インペラハブ606は、湾曲したハブ表面を有します。これは、図3-5に示されたような、円筒形ハブ及び垂直ブレード前縁を利用する従来のファン300とは対象的な構造となっています。

ファン裏側の二次入口703からの流路についても同様です(図7参照)。二次入口から見たブレード608はまた、湾曲した二次前縁705を有します。すなわち、ブレード608は一次前縁605と二次前縁705を有しているということになります。

図8はファンの断面図となりますが、ブレード608の形状が従来とは大きく異なっています。

このような構造とすることで、空気流性能に悪影響を及ぼすことになる一次入口に入る空気のインピーダンスを大幅に増加させることなく、ファンを通る空気流をより多くすることができました。

図9は、ファンの一次入口に入る空気流路線および二次入口に入る空気流路線を示しています。従来のファンと比較すれば、より少ない空気流路線が分岐し、インペラハブ606の上部に衝突します。しかし湾曲面802は、インペラハブ606の頂部においてより浅い角部であり、これは空気流の入口損失を低減することによって空気流性能を最大化する効果を生んでいます。

そして、この損失低減により、冷却ファンから発生する音についても、静音化が実現されています。図11は、従来のファン300の流量対音圧レベル(1102)と、傾斜した前縁を持つファンの試験データ(1104)との比較を示すものです。この結果は、ブレードを傾斜構造とすることで、空気流を増大させると同時に音響ノイズを低減することができることを示しており、これは、冷却ファンが、所定のノイズに対して従来よりも低い回転速度で目標の冷却効果を達成できることを示しています。

特許化したということは実機搭載している可能性が高い

Appleは多くの特許出願を行っているものの、実際に特許権が取得されたものは実際の製品化が確実視できるものといえます(出願するだけに比べて、特許化には費用もかかります)。今回特許が取得された冷却ファンは、iMacのみならず、他の製品にも展開されていると思われますので、興味がある方は実機を分解して確認してみるのも面白いかもしれませんね。



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