Netflixで異例のヒットを飛ばすデスゲーム作品『イカゲーム』に、あからさまな模倣作が登場した。中国アリババ傘下で配信大手のヨウク(优酷)が、『イカゲーム』ならぬ『イカの勝利』と題したバラエティ番組を企画していたことが判明し、炎上していることをNewsweek日本版は21年10月25日伝えている。
ヨウクは10月20日、新番組『イカの勝利』の番組内容とポスターを公開した。ポスターのビジュアルと番組コンテンツが人気作を非常に強く意識した内容となっており、中国国内で批判が噴出している。
ポスターは黒の背景に白字で、番組名である『魷魚的勝利』の文字が踊る。タイトルが意味するところは、「イカの勝利」だ。番組ロゴはオリジナル作に似せたポップな書体となっているほか、ピンクのマル・バツ・サンカクのマークを盛り込んでいる。これは、イカゲームのストーリー内で繰り返し使用されているモチーフだ。
オリジナル作(左)にモチーフが似た中国・ヨウクのポスター(右)
ヨウク版の番組内容は、子供時代に親しんだ懐かしい遊びを、大人たちが大掛かりに再現するものとなっている。バラエティ番組でありジャンルこそ違えど、本家イカゲームとほぼ同じテーマをもとにしている。
中国では原則としてNetflixを視聴することができないが、人気コンテンツは違法ストリーミングサイト経由で消費されることが多い。本件もオリジナル版を視聴した人々が類似性に気づき、批判の先鋒となったものとみられる。
批判を受けヨウクは、Weiboへの投稿を通じて公表当日中に謝意を表明した。同社は「技術的ミス」により、本来公開すべきでない初期段階のデザインが公表されてしまったと説明している。番組名からイカを除いた『勝利のゲーム』に改題し、マルやバツなどのシンボルを排除した新たなロゴデザインに差し替えた。
人気作への便乗行為に対し、恥ずべき行いだとする認識が中国国内で高まっている。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(以下「SCMP」)は、Weiboユーザーたちから同社の番組に対し、「露骨なひょう窃」「恥ずべき行為」などの批判が集中していると報じた。
SCMP紙の一部の読者は、模倣はエンタメ業界の常であるとして擁護する立場だ。ある読者は「誰もがコピーしており、最大の模倣者はハリウッドであるが、ハリウッド作は『リメイク』と呼ばれる」とし、アイデアの模倣がここまで問題にならないことも多いとする見解を披露した。
一方、中国の模倣文化の新たな例だとして呆れる声も聞かれる。同紙へのあるコメントは、「トレーシング・ペーパー……あらゆる中国の『発明家』の最も重要なツールのこと」と揶揄する。
別の読者は、今回の模倣作が中国国内からも厳しく糾弾されていることを受け、次のようにコメントした。「タイトルさえ変えずに何かをコピーするとは、なんという恥知らずなのだろう? 中国の人々にとってさえ受け入れ難いほどやり過ぎてしまったということだろう。」
あるコメントは辞書の体裁を借り、次のように皮肉る。「中国式イノベーション:(動)金銭的利益を目的として他国または異文化から恥知らずに盗用する行為またはプロセスの意。例:『ファーウェイの中国式イノベーションにより、同社は5G技術で世界をリードすることとなった』」
問題は中国国外でも報じられ、人気作への便乗に失敗したスキャンダルとして耳目を集めている。英インディペンデント紙は、「イカゲームの視聴者たちがNetflixのヒット作をコピーしたとして、中国ストリーミング大手のヨウクを非難」と報じた。
英BBCもこの問題を取り上げ、「中国の一大ストリーミング企業であるヨウクが炎上した」「新しいバラエティ番組の名前は……イカの勝利だ」などと報じている。
BBCは、中国のSNSユーザーたちも盗用の繰り返しに辟易していると伝えている。中国では国内プロデューサーたちによる韓国コンテンツのひょう窃が相次いでおり、複数のWeiboユーザーがこれに「ヘドが出る」とのコメントを残しているという。
韓国と中国のあいだではキムチの起源などをめぐり、文化的対立が続く。センシティブな時期にあからさまなコピー作品を発表したことで、国民のプライドを傷つける結果となってしまったようだ。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/10/post97343_1.php
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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