ブロックチェーンにおける大量データ処理問題、 チェーントープが独自の圧縮技術で解決する特許を取得


近年、その秘められたポテンシャルに対してとても大きな期待が寄せられているブロックチェーン。暗号資産の基盤技術にとどまらず、価値の流通、権利証明行為の非中央集権化、高信頼・高効率なサプライチェーンの実現など多岐に渡る。

しかしブロックチェーンを実装する際には大きなハードルがあり、それが大量データ処理だ。通常の実装方法では処理するデータ件数が増えるに連れシステム上のデータサイズが急速に増加してしまう。

これに対し、株式会社chaintope(チェーントープ 本社:福岡県飯塚市、代表:正田英樹)は、ブロックチェーンにおける大量データ処理問題を解決する技術の特許(特許番号:特許第6943393号)を取得したことを、21年10月25日公表した。
分散台帳であるブロックチェーン特有の課題として、ネットワークのトラフィック増加、データ記録に大容量のストレージリソースが必要となりブロックチェーンネットワークへと参加する敷居が高くなる、などが挙げられる。

今回取得した特許技術では、トレーサビリティシステム上で個品管理する商品情報の様に膨大なデータを経路に合わせて集約(コンテナ化)・圧縮し、同じ経路の通信トラフィックを効率化しつつ集約された数千個以上のデータをブロックチェーン上に記録する事が可能となっている。

これによりネットワーク上のトラフィックを抑え、大容量のストレージリソースを持たずともブロックチェーンネットワークへの参加が容易となる。本特許は当社が開発したパブリックブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」で用いており、効率的なブロックチェーンデータの記録を実現している。

グローバルサプライチェーンにおいて、トレーサビリティ技術を基本とした様々なユースケースは大量なデータを扱うことになり、シンプルに商品の個品管理を行うトレーサビリティでも大量データ問題が発生する。

さらに、RE100を目指すグローバルサプライチェーンでの末端ルートまで管理したカーボンフットプリントやCO2削減量の可視化となると、非常に膨大なデータサイズとなる。

この様に、大量なデータを運用する必要がある場合、Tapyrusを用いることにより効率的なデータサイズでユースケースが実現でき、ブロックチェーンを用いたオープンかつセキュアな環境を構築することが可能だ。

特許の要約は次の通りとなっている。
【課題】移動対象のアイテムのトラッキング情報のデータ量を低減させつつ、アイテムのトラッキング情報をブロックチェーンへ記録する。

【解決手段】サーバ14が、アイテムの識別情報をアキュムレータへ格納する。サーバ14は、アイテムの送り元を表すアドレスとアイテムの送り先を表すアドレスとアキュムレータとを含むトランザクションデータを、ブロックチェーンノード16へブロードキャストする。サーバ14が、追跡対象のアイテムの識別情報を含む要求信号を受け付けた場合、要求信号に含まれる識別情報に対応するアイテムの移動を行ったトランザクションデータの系列と、トランザクションデータの系列に対応するアキュムレータの系列とをブロックチェーンから取得する。

サーバ14は、取得したアキュムレータの系列のうちの各アキュムレータに追跡対象のアイテムの識別情報が格納されているか否かの検証を行い、検証結果を出力する。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000030542.html
https://www.chaintope.com/2021/10/25/accumulator


Latest Posts 新着記事

「しなやかでタフ」なカルコパイライト太陽電池の進化戦略

はじめに 太陽光パネルといえば、重くて硬いシリコン製を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし今、次世代技術として「カルコパイライト太陽電池」が静かにその存在感を高めています。 「曲がる太陽電池」カルコパイライトとは? カルコパイライト太陽電池は、銅(C)、インジウム(I)、ガリウム(G)、セレン(S)などを原料とする化合物系の薄膜太陽電池です。これらの構成元素の頭文字をとって「CIGS(シグス)」と...

連邦政府が大学の特許収入を狙う トランプ政権の新方針が波紋

はじめに 米国の大学は、研究開発活動を通じて得られる特許収入を重要な財源としてきました。大学の特許収入は、新しい技術の商業化やスタートアップ企業の設立に活用され、イノベーションの促進に直結しています。しかし、トランプ政権下で、連邦政府が大学の特許収入の一部を請求する方針が検討されており、大学の研究活動やベンチャー企業の育成に対する影響が懸念されています。 特に米国は、大学発ベンチャーの育成や産学連...

脱石炭から技術輸出へ:中国が描くクリーンエネルギーの未来

21世紀に入り、世界各国が環境問題やエネルギー安全保障への対応を迫られるなか、中国はクリーンエネルギー分野で急速に存在感を高めてきた。とりわけ再生可能エネルギー技術、電気自動車(EV)、蓄電池、送配電網、そしてグリーン水素などの分野において、中国は「追随者」から「先行するイノベーター」へと変貌を遂げつつある。なぜ中国が短期間でこのような飛躍を実現できたのか。その背景には、国家戦略、産業政策、市場規...

世界のAI特許6割を握る中国 5G・クラウドを基盤に国際競争を主導

近年、中国はデジタル経済の拡大と技術革新を国家戦略の中核に据え、AIや5G、クラウド、データセンターといった基盤技術において世界を牽引する存在となっている。その象徴的な事実として注目されるのが、人工知能(AI)に関する特許出願件数である。国際特許機関の最新統計によれば、中国からのAI関連特許は世界全体の約6割を占め、米国や欧州、日本を大きく上回る圧倒的なシェアを記録している。 本稿では、中国がいか...

AgeTech知財基盤を強化――パテントアンブレラ(TM)が累計41件出願、AI特許も追加

高齢社会の進展に伴い、健康維持、生活支援、介護軽減を目的としたテクノロジー領域「AgeTech(エイジテック)」への注目がかつてないほど高まっている。その中で、知的財産を軸に事業競争力を高める取り組みが活発化しており、今回、独自の「パテントアンブレラ(TM)」戦略を進める企業が、AI関連特許を含む29件の新規出願を追加し、累計41件の特許出願を完了したと発表した。これにより、類型141件の機能をカ...

フォシーガGE、特許の壁を突破 沢井・T’sファーマの挑戦

2025年9月、日本の医薬品市場において大きな話題を呼んでいるのが、SGLT2阻害薬「フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)」の後発医薬品(GE、ジェネリック)の登場である。糖尿病治療薬の中でも売上規模が大きく、近年では慢性腎臓病や心不全の領域にも適応拡大が進んだフォシーガは、アストラゼネカの主力製品のひとつである。その特許の“牙城”を突破し、ジェネリック医薬品の承認を獲得したのが沢井製薬とT&#...

電池特許はCATLだけじゃない――AI冷却から宇宙利用まで、注目5大トピック

近年、知的財産の世界では、特定の企業やテーマに関心が集中しやすい傾向がある。中国・CATLの電池特許戦略や、AIをいかに効率的に冷却するかといったテーマは、テクノロジー産業の今を象徴するキーワードだ。しかし同時に、その裏側には見落とされがちな知財動向や、将来を左右しかねない新しい潮流が潜んでいる。本稿では、「電池特許CATL以外にも」「特集AIを冷やせ」を含め、いま注目すべき5本のトピックを整理し...

バックオフィス改革へ ミライAI、電話取次自動化で特許取得

AI技術の進化が加速するなか、企業のバックオフィスや顧客対応の現場では「省人化」「自動化」をキーワードとした取り組みが急速に広がっている。その中で、AIソリューションを展開するミライAI株式会社は、従来の電話取次業務を人手に頼ることなく「完全無人化」するための技術を開発し、特許を取得したと発表した。この技術は、音声認識・自然言語処理・対話制御を組み合わせ、従来課題とされてきた「誤認識」「取次精度の...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る