「羽生結弦を守るため」〝結弦〟を商標出願した会社の言い分〝羽生魂〟はすでに登録済み


これも王者の証しか。フィギュアスケート男子の五輪2連覇・羽生結弦(26=ANA)が思わぬ分野で〝人気〟を博している。著名人の名前をモチーフにした商標を出願するケースは後を絶たないと東スポWeb20211014日伝えている。

来年の北京五輪を前にして羽生を連想させる複数のワードが出願されていることが発覚。一体どんな目的で商標が狙われたのか。出願元を直撃すると意外な回答が…。

羽生が商標のターゲットになるのは今回が初めてではない。2019年夏には中国企業が「羽生結弦」を商標出願して話題になっており、強くて清潔感あるイメージを利用してひと儲けをもくろむ者は後を絶たない。

北京五輪が迫る中、本紙が特許庁のデータベースを検索すると「羽生魂」「結弦」が出願されていた。今回もまた抜群の好感度を誇る羽生にあやかろうとしているのか?

昨年11月に商標登録された「羽生魂」を出願した株式会社ジャパンインポートシステム(東京・中央区)に問い合わせると、担当者は「羽生選手とは全く関係ありません」と否定。「弊社は埼玉県羽生市にゆかりがあって商品を作ろうと企画したんです」と説明した。

同社は「羽生魂」を19年8月に出願し、20年7月に一度は拒絶された。その理由は「『羽生魂』は平昌オリンピックにて羽生結弦選手が男子フィギュアスケートで金メダルを獲得した後に新聞等で広く取り上げられた語(中略)『羽生』の文字は『羽生結弦』氏の著名な略称と認識されるもの」(特許庁)。

しかし、同社は不服として「いついかなる場合にも『羽生』といえば『羽生結弦』氏を指すほどに、略称として著名でしょうか」と意見書で反撃。

「羽生」の文字は一般的に「埼玉県羽生市」の方がネットの検索ヒット数が多いことを示しつつ「いくら『羽生結弦』氏が著名人だとしても、地名の方が使用回数は遥かに多くなっています」(原文ママ)と主張した。これが認可され登録に至ったようだ。

一方、「結弦」は昨年9月に出願された。こちらも当然ながら同様の理由で拒絶され、今年8月に正式に却下が決まった。出願した有限会社渡辺酒造店(岐阜・飛騨市)は反論しなかったようだが、なぜか? 担当者を直撃すると「申請はしましたが、あまり好ましくなかったと判断した」と説明しつつ「私たちは羽生結弦選手のファン。ズルい人たちが商標を使わないように押さえておこうと考え『結弦』を守るために出願しました」と裏事情を明かした。

 過去には女子テニスの大坂なおみ(日清食品)が19年2月に全豪オープンを制覇した直後には一般男性によって「大阪城なおみ」が出願され、約1年半後に「本人を想起させる」との理由で拒絶。男子テニスの錦織圭(日清食品)は〝悪用〟を未然に防ぐためか、愛称の「エア・ケイ」を自ら商標登録している。

今回の2件に悪意はなかったが、北京五輪に向けて羽生人気に便乗する企業が出てくる可能性は大。これもまたスーパースターの宿命といえそうだ。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.tokyo-sports.co.jp/sports/figure-skating/3718891/


Latest Posts 新着記事

GE薬促進の陰で失われる特許の信頼性―PhRMAが警告する日本の制度的リスク

2025年4月、米国研究製薬工業協会(PhRMA)が日本政府に提出した意見書が、医薬業界および知財実務者の間で波紋を呼んでいる。矛先が向けられたのは、ジェネリック医薬品(GE薬)に関する特許抵触の有無を判断する「専門委員制度」だ。PhRMAはこの制度の有用性に疑問を呈し、「構造的な問題がある」と批判した。 一見すれば、専門家による中立的判断制度は知財紛争の合理的解決に寄与するようにも思える。だが、...

破産からの逆襲―“夢の電池”開発者が挑む、特許逆転劇と再出発

2025年春、かつて“夢の電池”とまで称された次世代蓄電技術を開発していたベンチャー企業が、ついに再建を断念し、破産に至ったというニュースが駆け巡った。だが、そのニュースの“続報”が業界に波紋を呼んでいる。かつて同社を率いた元CEOが、新会社を設立し、破産企業が保有していた中核特許の“取り戻し”に動き出しているのだ。 この物語は、単なる一企業の興亡を超え、日本のスタートアップエコシステムにおける知...

サンダル革命!ワークマン〈アシトレ〉が“履くだけ足トレ”でコンディションまで整うワケ

「サンダルなのに快適」「履いた瞬間にわかる」「この値段でこれは反則級」――こうした驚きと称賛の声が続出しているのが、ワークマンの〈アシトレサンダル〉だ。シンプルな見た目に反して、履き心地・健康効果・歩行補助といった多面的な機能を備える同製品は、単なる夏の室内履き・外出用サンダルという枠を超えて「履くことで整う道具」として注目されつつある。 このコラムでは、アシトレサンダルの具体的な機能や構造だけで...

斬新すぎる中国製“センチュリーMPV”登場!アルファード超えのサイズと特許で快適空間を実現

中国の高級ミニバン市場に、新たな主役が登場した。GM(ゼネラルモーターズ)の中国ブランド「ビュイック(Buick)」が展開するフラッグシップMPV「世紀(センチュリー/CENTURY)」は、その名の通り“100年の誇り”を体現する存在だ。日本の高級ミニバンの代名詞・トヨタ「アルファード」をも超えるボディサイズに、贅沢を極めた2列4人乗りの内装、そして快適性を徹底追求した独自の“特許技術”が組み込ま...

実用のドイツ、感性のフランス──ティグアン vs アルカナ、欧州SUVの進化論

かつてSUVといえば、悪路走破性を第一義に掲げた無骨な4WDが主役だった。しかし今、欧州を中心にSUVの在り方が劇的に変化している。洗練されたデザイン、都市部での快適性、電動化への対応、そしてブランドの哲学を反映した個性の競演。そんな潮流を牽引するのが、フォルクスワーゲン「ティグアン」とルノー「アルカナ」だ。 この2台は単なる競合ではない。それぞれ異なる立ち位置とブランド戦略を背景に、「欧州SUV...

戦略コンサルはもういらない?OpenAI『Deep Research』の衝撃と業界の終焉

OpenAI「Deep Research」のヤバい背景 2025年春、OpenAIがひっそりと発表した新プロジェクト「Deep Research」。このプロジェクトの正体が徐々に明らかになるにつれ、コンサルティング業界に戦慄が走っている。「AIは単なるツールではない」「これは人間の知的職業に対する“本丸攻撃”だ」とする声もある。中でも、戦略コンサル、リサーチアナリスト、政策提言機関など、いわゆる“...

老化研究に新展開——Glicoが発見、ネムノキのセノリティクス作用を特許取得

はじめに:老化研究の新潮流「セノリティクス」 近年、老化そのものを「病態」と捉え、その制御や治療を目指す研究が進んでいる。中でも注目されるのが「セノリティクス(Senolytics)」と呼ばれるアプローチで、老化細胞を選択的に除去することで、慢性炎症の抑制や組織の若返りを促すというものだ。加齢とともに蓄積する老化細胞は、がんや糖尿病、心血管疾患、認知症といった加齢関連疾患の引き金になるとされ、これ...

EXPO2025に見る「知と美」の融合──イタリア館が描く未来の肖像

2025年大阪・関西万博(EXPO2025)が近づくなか、多くの国が自国の強みをテーマにパビリオンを構築している。イタリアといえば、多くの人が思い浮かべるのは、パスタやピザ、ワインといった「食」、アルマーニやプラダ、グッチなどの「ファッション」だろう。しかし、イタリアの真の魅力はそれだけではない。今回の万博では「もうひとつのイタリア」、すなわち高度な技術力と伝統文化、そして未来志向の融合が強く打ち...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

大学発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る