戸籍業務を劇的効率化!「AI相続ミツローくん」新特許で相続手続きを変える


このたび、株式会社サムポローニア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:竹内澄成)が提供する「AI相続ミツローくん」が、新たに特許第7714754号(発明名称:「少ない資料で相続人の相続順位を特定するシステム」)を取得し、自治体や金融機関への導入展開を進めています。本稿では、取得特許の概要、技術的な背景、導入のメリット、今後の展望までを詳しく解説します。

1. 特許の概要とその意義

  • 特許番号:第7714754号

  • 発明の名称:少ない資料で相続人の相続順位を特定するシステム

  • 出願日:令和6年9月10日(2024年9月10日)

  • 登録日:令和7年7月18日(2025年7月18日)

従来の相続手続きでは、被相続人および相続人全員の戸籍取得が必須であり、取得手続きの煩雑さや時間を要するという課題がありました。しかし、この新特許により、「被相続人の戸籍謄本と相続人の印鑑証明書」の組み合わせだけで相続順位を特定できるようになり、相続手続きの迅速化と事務負担の大幅な軽減が実現します。印鑑証明書は取得しやすく、顧客や関係者の負担も緩和される点が大きなメリットです。

2. AI-OCRによる戸籍解析技術と特許ラインアップ

「AI相続ミツローくん」は、これまでにもAI-OCR技術を活用し、戸籍謄本の読み取りから相続関係説明図の自動作成、相続人特定までを効率化してきました。既に複数の特許も取得済みです。

取得済みの主な特許:

  • 特許第6283343号:適用法が異なる複数世代にわたる相続人を特定するプログラム

  • 特許第7072949号:戸籍をOCR読み込みし相関図を作成するシステム

  • 特許第7278668号:OCRによる読み取り誤りや外字・旧字を補正する機能

  • 特許第7349208号:相続関係人を時系列で整理・表示する機能

  • 特許第7366474号:年代別戸籍判定機能

  • 特許第7642716号:相続人判定シートおよび表示装置

これらの技術により、「AI相続ミツローくん」は戸籍のOCR化と解析、不足戸籍の“見える化”、相続関係図の自動生成を可能とし、相続手続きのDX化を強力に支援します

3. 自治体・金融機関への導入展開の状況

すでに、金融機関への本格案内は2025年から開始され、大手行や地方銀行約20行、証券会社、信用保証協会などから照会が寄せられています。

また、金融機関向け「相続センター」設立の構想も進められており、EAJ(エスクロー・エージェント・ジャパン)グループが戸籍業務を一括請け負うスキームにより、金融機関の業務負担軽減と効率化を実現します。

自治体との連携においても、不足戸籍の最新自治体特定や請求書類作成、タックシール・郵送手続きなどをワンストップで支援する仕組みが強みです。

4. 技術的優位性と社会的インパクト

技術的優位性

  • 限られた資料からの相続順位特定(特許第7714754号)

  • OCRによる高精度の戸籍解析+旧字や縦書き対応

  • 可視化による不足戸籍の一目把握

  • 業務フロー全体の一括整備とBPO提供

社会的インパクト

  • 相続関連業務は高齢化に伴い増加しており、自治体や金融機関の事務負担は年々重くなっています。

  • 本システムにより、事務処理の迅速化、転記ミスや過誤の軽減が期待され、訴訟リスクの低減にもつながります。

  • 金融機関ではコストセンター化していた相続手続きが、業務効率化と外注体制構築により、経営資源を他のサービスへ振り向ける余裕が生まれます。

5. 今後の展開と期待

  • 手書き戸籍や縦書き対応の解析技術の実証実験を開始しており、結果に応じて製品に順次実装予定です。

  • 今後は、さらなる追加機能の開発とともに、相続関連業務インフラとしての普及促進を目指します。

  • EAJグループは、金融機関だけでなく、信託銀行や自治体など幅広いステークホルダーとの連携を強化しつつ、業務フローの標準化・効率化を推進していく構えです。

結び

「AI相続ミツローくん」は、新特許取得を起点に、従来多くの手間と時間を要していた相続手続きの革命を本格的に推進しています。戸籍と印鑑証明書という少ない資料から相続順位を正確に特定できる技術、OCR解析と可視化による効率改善、BPOによる業務代行体制、自治体との連携によるワンストップ支援体制など、社会課題の解決に向けた多面的アプローチが評価される次世代インフラとして期待されています。

今後の動向にも注目してまいりましょう。


Latest Posts 新着記事

終わりなき創造の旅 厚木の発明家が挑む“次の技術革命”」

特許数でギネス更新 21世紀のエジソン、厚木に―発明の街が問いかける、日本の未来図 神奈川県厚木市―東京からわずか1時間足らずの距離にあるこの街が、世界の技術史に名を刻んだ。特許数の世界記録を更新した発明家、山﨑舜平(やまざき・しゅんぺい)氏が拠点を構えるのが、まさにこの地である。彼の名がギネス世界記録に再び載ったというニュースは、科学技術の世界だけでなく、日本人のものづくり精神を象徴する話題とし...

知財は企業の良心を映す鏡――4億ドル評決が語るイノベーションの倫理

2025年10月、米テキサス州東部地区連邦地裁で、韓国の大手電子機器メーカー・サムスン電子に対し、無線通信技術の特許侵害を理由に4億4,550万ドル(約690億円)の賠償を命じる陪審評決が下された。この判決は、単なる企業間の紛争を超え、ハイテク産業における知的財産権(IP)の重みを再認識させる事件として、世界中の知財関係者の注目を集めている。 ■ 「技術を使いたいが、支払いたくない」——内部文書が...

知財が揺るがす電機業界――TMEIC×富士電機、UPS特許訴訟の裏側

2025年夏、産業用電源装置分野を揺るがすニュースが伝わった。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が、富士電機の無停電電源装置(UPS)製品が自社の特許を侵害しているとして、韓国において訴訟および輸入禁止の措置を求めた件である。韓国貿易委員会(KTC)は8月下旬、TMEICの主張を一部認め、富士電機製の特定UPSモデルについて韓国への輸入を禁止する決定を下した。日本企業同士の知財紛争が、国外で具...

「JIG-SAW、AI画像技術で米国特許を獲得へ 知財を武器にグローバル競争へ挑む」

はじめに:発表概要と意義 JIG-SAW(日本発の IoT / ソフトウェア/AI ベンチャーと理解される企業)は、米国特許商標庁から「コンピュータビジョン技術」に関する Notice of Allowance(特許査定通知) を取得した旨を、自社ウェブサイトおよびニュースリリースで公表しています。 具体的には、JIG-SAW は「コンピュータビジョン技術、画像処理・画像生成支援技術」分野において...

「特許で世界を包囲する中国 イノベーション強国への加速」

はじめに:なぜ国際特許出願数が注目されるか イノベーション(技術革新)の国際競争力を測る指標として、研究開発投資、論文発表数、特許出願数などが長らく注目されてきました。特に国際特許(例えば、特許協力条約 PCT 出願、あるいは各国出願による外国での保護を意図した出願)は、一国の発明・技術が国際市場を見据えて保護を志向していることを示すため、技術力だけでなく国際志向性の強さも反映します。 近年、中国...

「AI×知財が生む国産イノベーション ナレフルチャットの議事録特許が拓く未来」

2025年秋、CLINKS株式会社が提供する法人向け生成AIチャット「ナレフルチャット」が、議事録生成技術に関する特許を取得した。 このニュースは単なる技術発表にとどまらず、「AIが人の仕事の記録と知識をどう扱うか」という大きな変化の象徴でもある。 いま、AIは“人の代わりに考える”段階から、“人の思考を支える”段階へと進化している。 その中で、「会議をどう記録し、どう活かすか」は、企業の知的生産...

「日用品にも知財戦争 クレシア×大王製紙、“3倍巻き”特許訴訟の行方」

はじめに:争点と構図 日本製紙クレシア(以下「クレシア」)は、トイレットペーパーについて、従来品に比して「長さ3倍(長巻き)」としつつ実用性を保つ技術を有する特許を取得しており、これを背景に、同種製品を販売する大王製紙(以下「大王製紙」)に対し、製造・販売の差止めおよび約3,300万円の損害賠償を求めて訴訟を提起しました。 第1審(東京地裁)では、クレシアの請求は棄却され、大王製紙の製品がクレシア...

「ナノレベルの精度を支える静電チャック ― ウエハー温度均一化の秘密」

ウエハー温度を均一に保つ静電チャック ― 半導体製造を支える見えない精密技術 半導体製造の現場では、目に見えない高度な工夫が、日々の歩留まりや性能向上に直結しています。その代表例の一つが、静電チャック(Electrostatic Chuck, ESC)です。静電チャックは、半導体ウエハーをチャック面で静電力により吸着保持し、ナノメートル単位の加工を可能にする装置です。表面からはただの「吸着板」のよ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る