知財活用をオープンイノベーションの起点にするメリットと具体的な方法

オープンイノベーションは、企業が外部の知識や技術を取り入れて新たな価値を創造する戦略であり、日本では最近とくに大手企業を中心に、様々な取り組みが積極的に行われています。

その起点として、単なるアイディアや座組のマッチングではなく、知的財産(知財)を活用することはスタートラインとして、共通目的ができ取組みやすいと言われています。

知財をオープンイノベーションの核とすることで、企業は新しい市場機会を開拓し、競争力を強化することが可能です。

知財活用のメリット

イノベーションの加速

企業が保有する知財を外部と共有することで、他社や研究機関、スタートアップがその知見を基に新しい製品や技術を開発できます。

このようなコラボレーションは、イノベーションの速度を大幅に加速させます。

新規市場の開拓

知財を活用することで、自社が参入していない市場に進出することが容易になります。

他企業との提携を通じて、自社の技術が新しい分野で応用される可能性が広がり、これにより新たな収益源を確保することができます。

リスクの分散

知財を外部にライセンス供与することで、研究開発のリスクを分散することが可能です。

外部のパートナーが知財を活用して市場投入に成功すれば、ライセンス料やロイヤルティー収入が得られ、企業にとってのリスクが軽減されます。

ブランド価値の向上

知財を積極的に活用する企業は、革新性や先進性を持つブランドとして市場から認識されることが多いです。

このようなイメージの向上は、顧客や投資家からの評価を高め、企業価値の向上に寄与します。

具体的な方法

オープン特許の提供

大企業が所有する特許をオープン特許として公開し、他社や研究機関が自由に活用できるように情報提供している企業もあります。

例えば、トヨタは環境技術に関する特許をオープン化し、業界全体の技術革新を促進していますし、Panasonicはオープンイノベーションの一環として、ビジネスヒント集などをWEBサイトにて公開しています。

さらに、情報プラットフォームとして、特許庁の開放特許データベースや、IPマーケットなどで様々な開放特許情報を閲覧することができます。

企業は新しいパートナーシップを構築し、技術の普及と市場拡大を図ることができます。

技術ライセンス契約の締結

知財を他社にライセンス供与することで、双方にとってメリットのある協業関係を構築します。

例えば、製薬業界では、大手製薬会社がスタートアップの新薬候補技術をライセンス供与し、共同で臨床試験や市場投入を行うことが一般的です。

共同研究開発の推進

企業が知財を持ち寄って共同研究開発を行うことで、リソースの共有と相乗効果を生み出します。

例えば、電機メーカーや自動車メーカーが共同で次世代バッテリー技術を開発することで、研究コストを分担し、技術開発のスピードを上げることができます。

知財マッチングプラットフォームの活用

知財を持つ企業とそれを必要とする企業をマッチングするプラットフォームを活用することで、効率的なパートナーシップを構築します。

日本では、「IPランドスケープ」や「知財アクセラレーター」などのサービスが提供されており、企業間の知財取引を円滑に進めるための支援を行っています。

まとめ

知財活用をオープンイノベーションの起点にすることは、企業に多くのメリットをもたらします。

知財の積極的な共有と外部との協力を通じて、企業はイノベーションを加速し、新たな市場機会を開拓しつつ、リスクを分散し、ブランド価値を高めることができ、これらの取り組みを通じて、日本企業はグローバル競争においても持続的な成長を遂げることが期待されます。


ライター

渡部一成

株式会社白紙とロック代表取締役

高校卒業後、20歳で起業しwebマーケティングや商品開発に関するコンサルティング事業を15年間経営。
さらに、バンコクでスタートアップ企業を設立し、海外でIT関連のプロダクト開発を経験。
その後、大手IT企業に特許を売却し、その資金で株式会社白紙とロックを設立。
創業後も複数の特許を取得。 その他にも、新規事業の立ち上げや、医療法人理事、大学で特別講師として授業を行うなど多角的に活動中。