伊達巻の革新:卵黄を控えた新しいレシピ


今回のコラムは、株式会社紀文食品による、卵黄フリーの伊達巻に関する特許を紹介します。
特許7121554 卵黄量を控えた伊達巻生地及びその製造法

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-7121554/934503F01AD19D6C9338E080363343247637B982C410FF09ED7C723E360062A8/15/ja

伝統と革新の融合

おせち料理の中でも特に色鮮やかで目を引く伊達巻。その伝統的なレシピは、長年にわたり日本の正月を彩ってきました。しかし、伊達巻は多くの卵を使用する食品であり、多くの問題点がありました。魚肉練食品の製造等で有名な株式会社紀文食品の特許は、卵黄の使用を控えた新しい伊達巻のレシピを提供するものです。

卵黄を減らす理由

この発明の背景には、加工食品や調理済み食品での卵の使用傾向があります。特に洋菓子やマヨネーズ製造では、卵黄よりも卵白が余剰になることが多いのです。この発明は、そうした余剰の卵白を有効活用し、同時に卵アレルギーを持つ人々にも配慮した伊達巻を提供することを目指しています。
革新的なレシピの特徴
この新しい伊達巻は、魚肉すり身、卵白(または卵白と全卵の混合物)、豆乳、そして食物繊維を主要成分としています。特に注目すべきは、食物繊維としてセルロースを使用する点です。これにより、卵黄の減少に伴う味覚と食感の低下を補い、伊達巻特有の食感を維持しています。

製造プロセスの工夫

この伊達巻の製造プロセスには、発泡工程と焙焼工程が含まれます。発泡工程では、原料を撹拌混合した後、発泡機で空気を抱き込ませます。これにより、軽やかでふんわりとした食感が生まれるのです。焙焼工程では、この発泡させた原料を平板状にして焙焼し、伊達巻特有の形状に仕上げます。

まとめ

この発明は、伊達巻の伝統的なレシピに革新をもたらし、食品廃棄の問題にも一石を投じるものです。卵黄を控えることで、コスト削減とアレルギー対策を図りつつ、伊達巻の伝統的な食感と味を維持することに成功しています。これからのおせち料理において、この新しい伊達巻がどのような役割を果たすのか、大いに期待されます。


ライター

+VISION編集部

普段からメディアを運営する上で、特許活用やマーケティング、商品開発に関する情報に触れる機会が多い編集スタッフが順に気になったテーマで執筆しています。

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