スイスの巨大企業Nestle(ネスレ)


前回、「2024年はスイスの特許に注目!?」ついて書かせて頂いたが、今回はそんなスイスの巨大企業Nestleについて。

現在、世界の時価総額ランキングを見ると3社スイスの企業が50位以内に入っている。
28位:Nestle(ネスレ)
44位:Roche
49位:Novartis
日本は1社、トヨタの34位のみなので、
トヨタよりも巨大なグローバルカンパニーだと言われると少し驚く人も多いと思います。

ネスレと言えば、「ネスカフェ」インスタントコーヒーのイメージが強く、コーヒーメーカーだと思いそうだが、
創業者は薬剤師のアンリ・ネスレさんで、創業時は母乳で育つことのできない新生児用のベビーフードを開発し販売しており、
その後はチョコレートやアイスクリーム、ヘルスケアなど買収を続けながら拡大成長している。

チョコレート関連商品だと、キットカットやミロ、エアロなどが有名で、
キットカットは日本企業のお菓子だと勘違いをしている人も多いほど、なじみ深い商品がある。

実は、代名詞の「ネスカフェ」よりも先に、インスタントコーヒーを発明していたのは日本人。
科学者の加藤博士氏が『ソリュブル・コーヒー』と名付けて発表したのがインスタントコーヒーの始まりと言われている。

しかし、この方特許にあまり詳しくなかったのか、興味がなかったのか・・・。
特許化されたのは、発表から2年後に権利取得。
Googlepatent|US735777A(https://patents.google.com/patent/US735777A/en
(この点に関しては、諸説あり権利化していないと書かれている記事もありましたが、特許権自体はありました)

素晴らしい発明だったにも関わらず、商品化までは至らなかったようですが、
後にアメリカ人発明家のジョージ・ワシントン氏がインスタントコーヒーの特許を取得し、そちらは商品化まで進んだとされている。
発表よりも前に権利化していれば、、、と察するところですが、「知財戦略」の大切さを教えてくれる歴史的事例ですね。

さらにその後、ブラジル政府から依頼を受けたネスレ社が、
約8年かけて開発した「加熱によるスプレードライ製法」で、インスタントコーヒーを製品化し成功を収めた。
当時から、技術開発力はもちろんだが、「技術の活用力」マーケティングセンスが素晴らしかったのかもしれない。

日本企業は職人気質なところが未だにあるが、
どんなに素晴らしい技術や特許があっても、活用されないと意味がないので学ぶべきところも多いはず。

※データ参考元|Googleのmarketcapランキング
https://companiesmarketcap.com/


ライター

渡部一成

株式会社白紙とロック代表取締役

高校卒業後、20歳で起業しwebマーケティングや商品開発に関するコンサルティング事業を15年間経営。
さらに、バンコクでスタートアップ企業を設立し、海外でIT関連のプロダクト開発を経験。
その後、大手IT企業に特許を売却し、その資金で株式会社白紙とロックを設立。
創業後も複数の特許を取得。 その他にも、新規事業の立ち上げや、医療法人理事、大学で特別講師として授業を行うなど多角的に活動中。




Latest Posts 新着記事

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

特許が“耳”を動かす──『葬送のフリーレン リカちゃん』が切り開く知財とキャラクター融合の新時代

2025年秋、バンダイとタカラトミーの共同プロジェクトとして、「リカちゃん」シリーズに新たな歴史が刻まれた。 その名も『葬送のフリーレン リカちゃん』。アニメ『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンの特徴を、ドールとして高精度に再現した特別モデルだ。特徴的な長い耳は、なんと特許出願中の専用パーツ構造によって実現されたという。 「かわいいだけの人形」から、「設計思想と知財の結晶」へ──。今回は、...

“低身長を演出する靴”という逆転発想──特許技術で実現した次世代『トリックシューズ』の衝撃

ファッションと遊び心を兼ね備えた新発想のシューズ「トリックシューズ」が市場に登場した。通常、多くの「シークレットシューズ」や「厚底スニーカー」は身長を高く見せるために設計されるが、本モデルは逆に身長を「低く見せる」ための構造を意図しており、そのためにいくつもの特許技術が組み込まれているという。今回は、このトリックシューズの設計思想・技術構成・使いどころ・注意点などを掘り下げてみたい。 ■ コンセプ...

“特許力”が食を変える――味の素が首位に輝く、2025年 食品業界特許資産ランキングが示す未来戦略

2025年版の「食品業界 特許資産規模ランキング」で味の素が第1位となった。評価は、個々の特許の“注目度”をスコア化して企業ごとに合算する方式(パテントスコア)で、2024年度(2023年4月1日〜2025年3月末登録分)を対象としている。トップ10は、1位 味の素、2位 日本たばこ産業(JT)、3位 Philip Morris Products、4位 サントリーHD、5位 キリンHD、6位 CJ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る