クルマから操作ボタンがどんどん消える!?テスラ、ハンドルにタッチ操作を備える特許を出願


電気自動車メーカーのTesla(テスラ)が、ステアリングホイール(ハンドル)のスポーク部分にタッチパネルを搭載する、新しいユーザーインターフェイスの特許を2020年の2月に出願していた。

それは、ステアリングを握る右手と左手の親指で、タッチパネルをタップしたり、スライドしたり、スワイプすることで、様々な機能を操作することが可能で、例えば、横方向に指をスワイプすれば、カーオーディオで現在再生されている曲を、トラックリストに収録されている次の曲や前の曲に飛ばすことが出来、同様に縦方向に親指を動かせば、音量を増減、長押しすれば音声コントロール機能を起動させることも可能だ。

その際、タッチパネルのヴァイブレーションとサウンドでフィードバックされるので、操作したことが触感や耳で確認出来、つまり、手はステアリングを握ったまま、目は前方を見たままで、安全にインフォテインメント等の操作が可能というわけだ。

Tesla patent

このインターフェイスは、ダッシュボード中央に設置された大型ディスプレイとも連動しており、メニューを移動したり選択したりするのにも使える。ナビゲーション・システムの行き先を設定したり、エアコンの風量および温度調整も、ステアリングから手を離さずに操作が可能だ。また、アダプティブ・クルーズコントロールの速度や、先行車両との車間距離などの設定も、このタッチパネルで変更できる。

Tesla steering wheel patent

現在も同様のインターフェイスは、多くの自動車メーカーがステアリングに備わる物理スイッチで提供しているが、タッチパネルに置き換わることによって、より多彩な操作が可能になると考えられている。

さらに、テスラの考えたステアリングホイールは、スポークの下側にもタッチスクリーンが搭載されており、そこに「パーキング」「リバース」「ニュートラル」「ドライブ」と、ギアシフトのポジションを示すインジケーターが備わっている。

これは、ステアリングコラムから生えたウインカーレバーのようなテスラのシフトセレクターはやがて姿を消し、ステアリングホイールのスポークをタッチしてシフトする方式に変わるのかもしれない。

また、このステアリングホイールには、RFID検出機能(電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み取る機能)や、NFC(近距離無線通信)によるアクティベーション機能も搭載可能とのこと。クルマを始動させるためのキー代わりにもなるようだ。

「オートパイロット」という名称で、運転の自動化をいち早く進めてきたテスラだが、2020年現在、世界はまだ完全自動運転の実用化という段階には至っていない。とはいえ、このタッチパネル内蔵ステアリングホイールは、まだ特許出願の段階であり、このシステムが市販車に採用されるとなったわけではない。とりあえず思い付いたアイディアをまとめて特許を取得しておくということは、自動車会社ならずともよくあることだ。

【引用・参照】

https://japanese.engadget.com/jp-2020-02-10-tesla-steering-wheel-patent.html
https://www.gizmodo.jp/2020/02/tesla-touchpad-gesture-hapticfeedback.html
https://www.scribd.com/document/445922640/Tesla-steering-wheel-patent?ad_group=xxc1xx&campaign=VigLink&medium=affiliate&source=hp_affiliate
https://www.teslarati.com/tesla-steering-wheel-touchpads-gesture-controls-haptic-feedback/



Latest Posts 新着記事

知財の主戦場は「充電」から「交換」へ——CATLが先回りする日本市場の布石

世界最大級の車載電池メーカーCATLは、セルやパックの“モノづくり”を超えて、交換式バッテリーによる「BaaS(Battery as a Service)」へと事業射程を拡張している。交換ステーション、共通モジュール、運用ソフト、資産管理—この新モデルが成立するとき、勝負を決めるのは工場規模だけではない。規格化を押さえる特許と、サプライチェーン横断で効くサービス設計の知財である。中国本土では、Si...

環境×技術×知財 BlueArchがつくる“持続可能な海洋モニタリング”の新モデル

海岸林、マングローブ、塩沼、藻場などの ブルーカーボン生態系 は、地球温暖化対応の大きな鍵となる。これらの環境は、陸上森林よりも濃密に炭素を隔離する能力を持つという報告もある。Nature+2USGS+2 だが、こうした海・沿岸域の調査・保全には「アクセス困難」「高コスト」「リアルタイム性の欠如」といった課題が横たわる。ここに、ドローン技術、GPS(あるいは水中位置推定技術)、そして特許設計による...

ファーウェイ、特許で動く EV×5G基地局に見る中国知財の拡張戦略

■ 序章:静かに増える“赤い知財網” 特許庁の公開データを丹念に追うと、近年ひとつの変化が浮かび上がる。日本国内での中国企業による特許出願が、2015年以降、年率二桁で増加しているのだ。 とりわけ通信・電池・モビリティといった「脱炭素×デジタル」分野に集中しており、日本企業が得意とする領域を正面から狙っている。こうした動きの中心にいるのが、通信大手・華為技術(ファーウェイ)である。 米中摩擦のさな...

終わりなき創造の旅 厚木の発明家が挑む“次の技術革命”」

特許数でギネス更新 21世紀のエジソン、厚木に―発明の街が問いかける、日本の未来図 神奈川県厚木市―東京からわずか1時間足らずの距離にあるこの街が、世界の技術史に名を刻んだ。特許数の世界記録を更新した発明家、山﨑舜平(やまざき・しゅんぺい)氏が拠点を構えるのが、まさにこの地である。彼の名がギネス世界記録に再び載ったというニュースは、科学技術の世界だけでなく、日本人のものづくり精神を象徴する話題とし...

知財は企業の良心を映す鏡――4億ドル評決が語るイノベーションの倫理

2025年10月、米テキサス州東部地区連邦地裁で、韓国の大手電子機器メーカー・サムスン電子に対し、無線通信技術の特許侵害を理由に4億4,550万ドル(約690億円)の賠償を命じる陪審評決が下された。この判決は、単なる企業間の紛争を超え、ハイテク産業における知的財産権(IP)の重みを再認識させる事件として、世界中の知財関係者の注目を集めている。 ■ 「技術を使いたいが、支払いたくない」——内部文書が...

知財が揺るがす電機業界――TMEIC×富士電機、UPS特許訴訟の裏側

2025年夏、産業用電源装置分野を揺るがすニュースが伝わった。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が、富士電機の無停電電源装置(UPS)製品が自社の特許を侵害しているとして、韓国において訴訟および輸入禁止の措置を求めた件である。韓国貿易委員会(KTC)は8月下旬、TMEICの主張を一部認め、富士電機製の特定UPSモデルについて韓国への輸入を禁止する決定を下した。日本企業同士の知財紛争が、国外で具...

「JIG-SAW、AI画像技術で米国特許を獲得へ 知財を武器にグローバル競争へ挑む」

はじめに:発表概要と意義 JIG-SAW(日本発の IoT / ソフトウェア/AI ベンチャーと理解される企業)は、米国特許商標庁から「コンピュータビジョン技術」に関する Notice of Allowance(特許査定通知) を取得した旨を、自社ウェブサイトおよびニュースリリースで公表しています。 具体的には、JIG-SAW は「コンピュータビジョン技術、画像処理・画像生成支援技術」分野において...

「特許で世界を包囲する中国 イノベーション強国への加速」

はじめに:なぜ国際特許出願数が注目されるか イノベーション(技術革新)の国際競争力を測る指標として、研究開発投資、論文発表数、特許出願数などが長らく注目されてきました。特に国際特許(例えば、特許協力条約 PCT 出願、あるいは各国出願による外国での保護を意図した出願)は、一国の発明・技術が国際市場を見据えて保護を志向していることを示すため、技術力だけでなく国際志向性の強さも反映します。 近年、中国...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る