4月に出願公開されたAppleの新技術〜ローカル光学遮蔽〜


はじめに

今回のコラムは、4月3日に出願公開された、VR/AR技術にとって非常に有用な、光学遮蔽に関するAppleの特許出願を紹介します。

発明の名称:SYSTEMS, METHODS, AND DEVICES INCLUDING OPTICAL OCCLUSION DETECTION

出願人名:Apple Inc.

発明者:CHEN Tong等

公開日:2025年4月3日

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/US-A-2025-0110579/50/ja

仮想現実(VR)および拡張現実(AR)体験において、利用者の動きを正確に追跡する空間追跡技術は、没入感を高める上で不可欠です。

特に、外部センサーを用いてデバイスの位置や姿勢を検出するいわゆる「Outside-In光学追跡方式」は、その高い精度から広く採用されています 。

(参考)https://www.xr-lifedig.com/beginner/250117_01

しかし、従来のOutside-In光学追跡技術は、ある課題を抱えていました。

従来技術の問題点

従来のOutside-In光学追跡システムでは、デバイスに搭載された複数の発光体(例えば、LED)を外部センサーで捉え、その位置関係からデバイスの空間的な位置や姿勢を算出します 。

しかし、利用者がデバイスを保持する際、手や他の物体によって発光体の一部が遮蔽される状況は頻繁に発生します 。

遮蔽された発光体は追跡に寄与しないにもかかわらず、従来のシステムでは発光体は駆動され続け、無駄な電力を消費していました 。

さらに、部分的な遮蔽は追跡のロバスト性を低下させる要因となっていました。

本発明において、Outside-In光学追跡技術のロバスト性は、例えば、一部の発光体が遮蔽されてしまうような状況でも、追跡システムが正確に機能し続ける能力を意味します。   

技術の概要

この課題に対し、本発明は、発光体の遮蔽状態を「ローカル」に検出する機構を提案するものです。

具体的には、各発光体の近傍に光検出器を配置し、発光体から放射された光が遮蔽物によって反射して光検出器に戻る光量を測定します。

遮蔽時に光検出器に入射する光量は、遮蔽されていない場合に比べて増加するという原理を利用します(グラフ参照)。

これにより、遮蔽されている発光体の駆動を抑制または制御することが可能になり、消費電力が低減し、デバイスの駆動時間が延長されます。

さらに、遮蔽状態を考慮した追跡アルゴリズムを実装することで、部分的な遮蔽が発生した場合でも、安定した追跡性能、すなわちロバスト性を確保できることになります 。

まとめ

本発明は、Outside-In光学追跡技術の性能を大きく向上させる可能性を秘めています。

VR/ARデバイスへの貢献として、より長時間、より快適な体験を提供し、さらなる普及を後押しするでしょう。具体的には、バッテリー駆動時間の延長、発熱の抑制、遮蔽に強い安定した追跡性能の実現などが挙げられます。

また、現在Outside-In光学追跡技術が活用されている分野を広くみたときには、次に示すような他の分野への応用も期待されます。

スマートフォンの近接センサー:

通話中に顔が近づいたことをより正確に検知し、誤作動を防止し、省電力化にも貢献します。

ジェスチャー認識システム:

手の動きを高精度に認識し、より直感的なインターフェースを実現します。

例えば、スマートホーム機器の操作や、プレゼンテーションでの利用などが考えられます。

ロボットの障害物検知:

より詳細な周辺環境の把握を可能にし、安全で効率的な動作を支援します。

例えば、工場での自動搬送や、家庭用ロボットでの利用などが考えられます。

自動車の自動運転:

車内外の状況を正確に把握し、安全運転をサポートします。

例えば、乗員の姿勢検知や、死角検知などに利用できます。

このように、本発明は、私たちの生活をより豊かに、より便利にする技術としての発展が期待できるでしょう。



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