怪獣特撮映画『シン・ゴジラ』に登場するゴジラの形状について、知財高等裁判所(宮坂昌利裁判長)は特許庁が立体商標と認めなかった審決を取り消し、東宝の主張を支持する判決を下した。
東宝は2020年9月、フィギュアやおもちゃなどの商品に使うことを目的として、映画『シン・ゴジラ』に登場する「第4形態」のゴジラの形状を立体商標として出願。しかし、特許庁は今年3月に「恐竜や空想上の動物に見られる形状の一種に過ぎない」として、この商標登録を認めない審決を出していた。これに対し東宝は5月に審決取消を求めて提訴していた。
知財高裁は10月30日、判決において「シン・ゴジラ」のゴジラは無数のひだと岩肌のような陰影が特徴的な体形であり、消費者の間でキャラクターの象徴として認識されていると指摘。60年以上続く映画シリーズの人気を背景に、「圧倒的な認知度がある」として立体商標としての登録に妥当性があると判断した。
なお、今回の判決について特許庁が不服の場合、最高裁に上告することが可能だが、特許庁が判決を受け入れる場合、商標登録が進む見通しである。
企業が自社の商品やサービスを他社と区別するためには、文字や図形だけでなく立体も商標として登録できる制度が整備されている。これまでにも、不二家の「ペコちゃん」や明治の「きのこの山」、カシオ計算機の「G-SHOCK」初号機などが立体商標として認められている例がある。
東宝の担当者は「裁判所が当社の主張を認めたことを大変喜ばしく思う。今後もゴジラをはじめとした当社IPの権利活用と保護に努めていく」とコメントしている。
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