InfineonがInnoscienceに対するGaN特許侵害訴訟を拡大、3件の特許侵害を追加


InfineonがInnoscienceに対するGaN特許侵害訴訟を拡大、3件の特許侵害を追加

Infineon Technologiesは、Innoscience (Zhuhai) Technologyおよびその米国子会社に対する特許侵害訴訟を拡大し、GaN(ガリウムナイトライド)関連の特許侵害を新たに3件追加したことが明らかになりました。この訴訟は、2024年3月にカリフォルニア州北部地区地方裁判所に提出されたもので、元々は米国特許9,899,481号の侵害を理由に提起されましたが、今回の訴訟ではさらに米国特許第8,686,562号、第9,070,755号、第8,264,003号が追加されました。

また、Infineonはこれらの特許侵害に対する法的請求を米国国際貿易委員会(USITC)にも提出し、米国市場におけるInnoscience製品の販売差し止めと損害賠償を求めています。この特許侵害訴訟は、InnoscienceがNVIDIAのデータセンタ向けサーバモジュールに使用しているGaNコンポーネントが問題となっており、特許侵害が行われたとして訴えが提起されています。

業界関係者によれば、Infineonがこの法的措置を強化した背景には、NVIDIAのモジュールにInnoscience製のGaNコンポーネントが採用されていることが影響していると指摘されています。NVIDIA自身はモジュール内の小型パワー半導体サプライヤに特段の関心を示していないとされていますが、Infineonの動きは、特許侵害に対する警告や、Innoscienceの海外進出を阻止するための戦略的な一環であると見られています。

InfineonのGaN特許ポートフォリオは、世界でも最も包括的なものであり、約350件の特許ファミリーを含んでいます。このポートフォリオには、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、およびGaNのパワートランジスタと、それに関連するドライバやコントローラの特許が含まれています。これにより、InfineonはGaN市場での強力な地位を築いています。

また、今回の訴訟は、InnoscienceがNVIDIAを通じて米国市場に進出しようとする動きに対する対応であるとも考えられます。Innoscienceに対しては、過去にも米Efficient Power Conversion (EPC)がGaN特許侵害訴訟を提起しており、これに対する再審査要求が現在進行中です。11月にはこの再審査の結果が米国で下される見込みです。

Infineonが持つ強力なGaN特許ポートフォリオは、世界中のGaN関連企業に大きな影響を与えており、多くの企業がInfineonに特許使用料を支払う必要が生じる可能性があります。このため、InnoscienceがInfineonの特許に対して異議を唱える可能性は低いと見られています。

GaN技術は現在、様々な中電圧アプリケーションに拡大しており、中国市場でもその需要が高まっています。中国は半導体の自給自足を推進しており、こうした動きに対する対応として、Infineonのような外国企業が特許を武器に市場での競争を行う姿勢を強めています。


Latest Posts 新着記事

ジェネリック業界の常識を変えるか――東和薬品が進める供給網再設計

いま東和薬品が見ているのは、価格競争より供給能力の壁だ 東和薬品の吉田逸郎社長は2026年5月14日の決算説明会で、特許満了医薬品の生産能力増強に向けた協業について、「まだ限定出荷もあり、需要に対する供給が追いついていない。生産量をまだ増やしていく必要がある」と述べ、さらなる協業拡大に意欲を示したと報じられている。東和薬品はすでにCDMOのアドラゴスファーマ川越、三和化学研究所との協業を進めている...

スタートアップの社運をかけた反撃――ビーサイズ対MIXIの深層

このニュースが重いのは、単なる特許訴訟ではないからだ ビーサイズがMIXIに対して特許訴訟で反撃した、という話が注目を集めたのは、単にスタートアップが大企業を訴えたからではない。 本当に重いのは、その前段に協業や出資の打診があり、その後に競合製品の参入が起きた、という流れが語られている点にある。 Business Insider Japanによれば、2019年にビーサイズはMIXI側と面談し、出資...

超大型新薬の失効で何が起きるのか――製薬株のジレンマの深層

2026年から始まるのは、単なる減収ではなく「評価の組み替え」だ 製薬株にとって特許切れは昔から避けられない宿命だった。 だが、2026年から2030年にかけての波が特に重いのは、失効するのが単なる主力品ではなく、企業価値を支えてきた超大型薬だからである。Optumは2026年を「大きな特許切れの始まり」と位置づけ、後発品やバイオシミラーの影響が本格化すると整理している。さらに業界分析では、202...

“もっと賢いAI”では足りない――Googleが示した信頼性向上の新ルール

いま問題になっているのは、AIが答えられるかではなく「なぜそれを信じるのか」だ 生成AIの進化で、文章を作ること自体はかなり当たり前になった。 要約もできる。説明もできる。比較も提案もできる。 だが企業でも一般ユーザーでも、最後にいつも残るのは同じ疑問である。 その答えは、なぜ信じていいのかという問いだ。 この点で、Googleが出願している特許はかなり示唆的だ。 Googleの公開特許 JP20...

日本特許取得で見えた、抗体創薬ビジネスの新しい競争軸

今回のニュースは、単なる知財取得の話では終わらない 英Fusion Antibodies plcは2026年5月11日、日本で特許を取得したと発表した。対象は特許出願番号2021-519644で、日本特許第7853096号として正式に登録されたという。特許名称は「Antibody Library and Method(抗体ライブラリおよび方法)」で、同社はこの権利が自社の抗体発見プラットフォームを...

3Dプリント時代の本当の可能性――MIT「Y-zipper」が示した答え

古い特許が突然“新技術”に見える瞬間がある 技術の世界では、新しさは必ずしも「最近考えついたもの」だけを意味しない。 むしろ、本当に面白いのは、昔は実現できなかった発想が、時代を経て突然現実味を帯びる瞬間である。MITが発表した3面ジッパー「Y-zipper」は、まさにその典型だ。MIT Newsによれば、この設計はMITのBill Freeman教授による約40年前の特許発想に着想を得ており、当...

“検索するAI”ではなく“見抜くAI”へ――Aconnect進化の本質

欧州特許対応は、単なる検索対象の追加ではない ストックマークの製造業向けAIエージェント「Aconnect」は、2026年4月30日、特許調査エージェントの調査対象に新たに欧州特許(EPO)を追加したと発表した。これまで対象だったのは日本特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、世界知的所有権機関(WIPO)の公報で、今回の対応によって、欧州企業の特許を含むより広範な先行技術調査やクリアラン...

“銀行を壊さないブロックチェーン”は広がるか――Swift連携特許を読む

今回の特許は、単なるブロックチェーン活用ニュースでは終わらない 株式会社Datachainは2026年5月1日、Swiftと連携したステーブルコインを用いた送金システムに関する特許登録が完了したと発表した。特許名は「ステーブルコインを用いた送金システム」、特許番号は第7850327号、登録日は2026年4月14日で、特許権者は株式会社Progmatと株式会社Datachainであると公表されている...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

大学発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る