中国、特許件数が過去最高を更新、知財権保護の強化を推進


中国の特許件数が過去最高を更新、知財権保護の取り組み強化

中国国家知識産権局の申長雨(しん・ちょうう)局長は、2024年6月末時点で中国の有効発明特許件数が442万5千件に達し、人口1万人当たりの高価値発明特許保有件数が12.9件に上ったと発表しました。この結果は、2021年から2025年にかけて進められている「第14次5カ年規画」の目標を前倒しで達成したことを示しています。また、知財権保護に関する社会満足度も82.04点に達し、過去最高を記録しました。

特許の実用化が進む中、2024年1月から6月までの期間で、大学や科学研究機関による特許の権利譲渡や実施許諾件数は前年同期比で22.2%増加しました。この動きは、特にハイエンド、スマート化、そしてグリーン産業といった先端分野での実用化が加速していることを反映しています。中国は今後も、特許の実用化を推進し、特許の市場価値を最大化することで、企業の競争力を高めることを目指しています。

さらに、中国は知財権保護の強化に向けて、データ保護に関するルール制定を推進しています。17の省や自治区、直轄市で試行事業を展開し、データ要素の流通と利用の利便性を高める取り組みが進行中です。国家知財権保護モデル区として25カ所の建設が進められており、国家級知財権保護センターおよび知財権の迅速な権利保護センターが115カ所設立される計画も承認されました。

また、外国企業による中国での特許出願件数も増加傾向にあります。6月末時点で、外国出願人による中国での発明特許出願件数は91万9千件に達し、商標の有効登録件数は213万5千件となりました。さらに、中国と欧州連合(EU)は244件の地理的表示(GI)の相互保護を実現し、第2弾として350品目のGI相互保護リストが発表されました。これにより、中国とEUの経済・貿易関係がさらに強化される見込みです。

今後、中国国家知識産権局は、特許の産業化と市場価値の最大化に重点を置く方針です。この取り組みは、企業の競争力向上と新たな産業発展のエネルギーを創出することを目指しています。また、国際的な知財権保護の取り組みも強化され、中国はグローバルな知財権保護のリーダーシップを確立することを目指しています。


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