パナソニック、10万件以上の知的財産情報を公開 — 新たな製品やサービス創出を目指して


パナソニックホールディングス(HD)は、自社が保有する10万件以上の特許などの知的財産情報を公開する新しいプラットフォーム、「技術インデックス」を立ち上げました。この施策は、未活用の休眠技術を外部企業と連携させ、新たな製品やサービスの創出を促進するためのものです。本社は大阪府門真市に位置しています。

技術インデックスの開設背景として、同社はグループ内でさえ技術の担当者を特定するのが困難な状態があり、多くの技術が休眠状態に陥っていたと説明しています。この問題を解決するため、令和3年に社内向けの技術インデックスを作成しました。この社内版は月間1500件のアクセスを受け、10件以上の新規事業の立ち上げに貢献しています。この成功を受けて、今回社外向けの技術インデックスが公開されることとなったのです。

公開されている情報は「ウェルビーイング」および「環境」という二つのカテゴリに分類されています。前者は人々の持続的な幸福を支援する技術を、後者は脱炭素社会に貢献する技術を主に扱っています。利用者は、感情を読み取る独自のセンサー技術や電動車(EV)に関連する技術など、数万件のデータを簡単に検索できます。

パナソニックホールディングスの最高技術責任者(CTO)である小川立夫氏は「脱炭素などの取り組みは単独の企業では解決できない問題であり、早期からの多様な企業との協力が求められている」と述べました。

技術インデックスの公開を祝して、パナソニックホールディングスは関係企業向けに開発中の技術を展示する展示会を初めて開催します。さらに、本社敷地内に新しい技術開発棟を建設予定であり、7年後に竣工するとのことです。この新施設は、他社との協力を進める拠点として利用される予定です。

この新しい取り組みは、企業間の連携を深化させ、新たな技術の開発と実装を加速するものと期待されています。技術インデックスは、未活用の技術の価値を引き出し、新しい製品やサービスを創出するための重要なステップとなりうると言えます。

技術の進歩とイノベーションがますます重要になる中で、パナソニックの取り組みは、未利用技術の可能性を最大限に引き出し、さまざまな産業と社会に貢献する新しい道を切り開くものと期待されます。このようなプラットフォームは、技術革新と経済成長を促進する上で非常に有用であり、今後他の企業も同様の取り組みを行う可能性があります。


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