株式会社mediVR(本社:大阪府豊中市 代表:原正彦)は、知財活用ベンチャーとして令和5年度「知財功労賞 経済産業大臣表彰」を受賞したと、23年4月11日プレスリリースで公表し、同時に知財戦略の一部を公開している。知財功労賞とは、知的財産権制度を有効活用し、制度の発展に貢献した企業等に贈られる賞で、4月18日の「発明の日」に表彰式が行われる。
同社はVRリハビリテーション用医療機器mediVRカグラにおいて16の特許技術を有しており、知財経営に力を入れている。同社の知財戦略は、これから医療機器を世に出そうとしているベンチャーの参考になるかもしれないと知財功労賞受賞を記念し、その戦略の一部はno+eで公開している。
特許技術が詰まったmediVRカグラは、VRを活用しセラピストが脳と身体の情報処理過程の異常を整理することをサポートするリハビリテーション用医療機器で、循環器内科医の原正彦が大阪大学との産学連携により開発し、2019年から販売を開始し、現在では全国の大学やリハビリテーション病院、介護付き有料老人ホーム、デイケア施設に導入されている。
2023年4月現在、mediVRは以下の特許を取得しており、このなかで特に重要なのが、「マルチチャネルバイオフィードバックシステムによって脳の再編成を促す技術」。mediVRカグラでは、リーチング動作が成功すると画面が光って「あっぱれ!」という文字が表示され、ピコーンと音が鳴り、コントローラーが振動する。視覚・聴覚・触覚と多方面から強力なフィードバックを行うことで、身体の使い方を脳が効率的に学習できる技術だ。
また、「Sensory ConflictによるVR酔いを予防するための技術」。一般的に、VRでゲームや動画を見ると、約3割の方がめまいや不快感を感じると言われ、医療機器として安全に運用するために、私たちは内耳と視覚情報に齟齬を生じさせないための工夫を凝らし、VR酔いの発生頻度を0.5%未満に抑えた。これによって、平衡感覚障害患者の症状がmediVRカグラのリハビリによって改善する事例も生まれている。
これまで医学界では「VRリハビリテーションには“楽しい”以外の効果はない」というのが定説だったが、mediVRカグラを使ったリハビリでは脳性麻痺で車いすを使っていた小児が一ヶ月で杖を使って歩けるようになるなど、さまざまな治療実績が生まれている。
自信を持って販売できるようになるまでには、多大な時間と労力を必要とし、安易に模倣されることを防ぐため、ひとつひとつの技術に対してきちんと特許を取得し機器を守っている。
今回の受賞については、特許を活用した製品販売戦略や競合対策、社内教育体制、海外展開を視野に入れた計画的な取り組みが評価されたとしている。
具体的な受賞のポイントは
①社長自身が知財に非常に精通しており、ほぼすべての特許出願において面接審査を活用して社長自ら特許庁の審査官とディスカッションし、海外でも通用可能な強い特許を取得するなど、経営と知財を一体で検討している。②社内研修として、審査官、審判官との面接の同席や明細書、補正書の作成に参加することで、全社員のリテラシーを高めている。さらに、すべての社員がJ-Platpat等を用いてアイデアの新規性に関する検証ができるレベルに達することができるよう、教育体制が整備されている。
③将来的に取得可能な知財をリスト化し、20年の権利有効期間を適切にオーバーラップさせながら数年毎に新規特許取得を繰り返していく知財戦略を進めており、長期的な知財戦略を立案・実行している。
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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