株式会社エクサウィザーズ(本社:東京都港区 代表:春田真)は、AIと光学技術を組み合わせた異常検知技術の特許を取得したことを、23年4月27日プレスリリースで公表した。この技術の活用を通じて、製品の不良検知のほか微細な異物の混入、果物や青果の内部の痛みなど人の目では難しかった異常の検知が可能になるとしている。
AIの普及によって外観検査の技術が飛躍的に発展しており、異常部位を見つける「異常検知」、特定の対象を検出する「物体検出」、検査対象を状態ごとに分ける「分類」などの目的で活用が始まっている。これまでは人の目で行ってきた検査をAIに代替させることが主だったが、人の目では判断できないような異常や状態の変化を検出するニーズも高まっており、本技術が対象とするものだとしている。
この度、特許を取得したAIと光学技術を組み合わせた技術は、対象物に同時に照射した赤外線、近赤外光線、紫外線などの異なる特性を有する光に起因する光学的な反応や、照射する波長の最適化を通じて異常の検知を可能としている。
さらに、本特許は試作したシステムを基に出願したもので、同社では、これまでに培った技術や、本特許技術も活用し、顧客の要望に応じた最適な検知・検出・分類システムを構築していくとしている。
想定するユースケース
・生産工程上で動いている物体や、生産物と同色または透明であるなど、人の目では判断が難しい異物混入の検知
・塗装の浮きやコンクリートの剥がれなど、異常部位が小さい、もしくは周囲との変異が微小なため、目視の判断が難しい生産物や加工品の不良検知
・スーパーや倉庫内における青果の痛みや果物の熟し過ぎの把握など、多くの対象が存在する環境における外見的な特徴の変化が少ない異常の検知
・農場における植物や果実の病害など、検査対象以外の物体が同時に映り込む環境での異常検知
システムでの処理手順
本技術をシステムとして実装する際には以下の手順で検出することを想定。
① 対象とする物体の特徴についてAIが学習
② カラー画像と、赤外線や紫外線など様々な波長領域の光の反射光を撮影
③ AIがカラー画像から対象物の種類や位置を推論して認識
④ AIが適切な波長データの組み合わせを選択し、異常の内容を明確化
(例:果物や野菜の痛みの検知には近赤外のデータ、植物の活性度の検知には近赤外と赤領域の差分データを活用するなど)
本特許の適用例。人の目には判別が難しい対象の可視化と検知を行なっている。
特許概要
【特許番号】 特許第7223194号
【発明の名称】 情報処理方法、コンピュータプログラム、情報処理装置及び情報処理システム
【登録日】 2023年2月7日
【特許権者】 株式会社エクサウィザーズ
【発明者】 【氏名】山下聖悟
【要約】 【課題】撮影画像に基づく対象物の状態検出の精度を向上することが期待できる情報処理方法、コンピュータプログラム、情報処理装置、撮影装置及び情報処理システムを提供する。
【解決手段】本実施の形態に係る情報処理方法は、情報処理装置が、対象物を第1波長帯の光に基づいて撮影した第1画像を取得し、前記対象物を第2波長帯の光に基づいて撮影した第2画像を取得し、前記第1画像に対するセグメンテーションを行って前記対象物が写された画像領域を特定し、特定結果に基づいて、前記第2画像から前記対象物の状態を検出する。前記第1波長帯は可視光線の波長帯であってよく、前記第2波長帯は赤外線の波長帯であってよい。前記情報処理装置が、前記第1画像に基づいて前記対象物を分類し、前記対象物の分類結果及び前記特定結果に基づいて、前記第2画像から前記対象物の状態を検出してもよい。
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