乳酸菌によってD-アミノ酸(美容アミノ酸)を醸造中に産生~特許技術による特別醸造の『アミノみそ』


大阪市で味噌の製造販売を行なう株式会社大源味噌(本社:大阪府大阪市、代表:安齋善行)は、関西大学化学生命工学部 老川典夫教授との共同研究によって開発したD-アミノ酸(美容アミノ酸)を醸造中に産生させた特別醸造味噌『アミノみそ』において出願中だった「D-アミノ酸を含有する味噌の製造方法」の特許が1月承認されたと、23年2月27日日本食糧新聞ほか各メディアが伝えている。

開発された『アミノみそ』は、関西大学化学生命工学部 老川 典夫教授と創業198年の大阪の老舗味噌屋、大源味噌との共同研究によって開発した新規製造技術[ D-アミノ酸を含有する味噌の製造方法]に基づき、数ある乳酸菌の中から選定したある乳酸菌を仕込み時に同時に使用して醸造するという通常では考えられない、革新的な技術で製造された味噌としている。

乳酸菌→D-アミノ酸で、究極の“旨味”を実現した『アミノみそ』

選定した乳酸菌を仕込み時に同時に使用することで、通常仕込みでは検出されなかったあのD-アミノ酸(D-アラニン、D-アスパラギン酸)が産生された。D-アミノ酸とは、通常のみそに含まれているさまざまなL-アミノ酸とは違い、L-アミノ酸の鏡像異性体(※1)であり、自然界に多く存在するいわゆる必須アミノ酸だ。近年、D-アミノ酸は、その機能性又は呈味性に関する研究が進展しており、D-アミノ酸のさまざまな生理的機能が発見されている。※1 鏡像異性体:鏡に映した形をしている構造をもつもの。

D-アスパラギン酸(D-アミノ酸)は加齢とともに減少することが発見されており、肌機能を低下させる酸化を防ぐ効果や、ハリや弾力のある肌に欠かせないコラーゲンの産生を促進する美肌効果がL-アスパラギン酸より優れていることが見出されている。また、ヒトの角層に存在するD-アラニン(D-アミノ酸)も幼少期には多いものの加齢で減少することが発見されて、加齢により機能が低下する基底膜の構成成分である、ラミニン5の産生を促進することも解明されている。

特許概要

【特許番号】特許第7208661号(P7208661)
【登録日】令和5年1月11日(2023.1.11)
【発明の名称】D-アミノ酸を含有する味噌の製造方法
【特許権者】 【氏名又は名称】株式会社大源味噌
【発明者】 【氏名】安齋 善行 【【氏名】老川 典夫

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】 本発明は、別途準備したD-アミノ酸を添加することなく、D-アミノ酸を含有する味噌を製造することができる方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記製造方法によって得られた味噌、及び味噌中のD-アミノ酸を増加させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】 本発明者らが、別途準備したD-アミノ酸を添加することなく、D-アミノ酸を含有する味噌を製造することができる方法を開発すべく鋭意検討した結果、蒸した大豆と麹とを混合して仕込んだ後に、D-アミノ酸の生産能を有する乳酸菌を添加して一次熟成させ、さらに食塩を添加して二次熟成させることによりD-アミノ酸を含有する味噌が得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づき完成されたものである。以下省略。

この画期的な味噌の製品例はこれまでになく、既存の味噌製品と大きく差別化され、これにより、より健康志向・美意識の高い日本人だけでなく全世界の人々へ味噌の新たな魅力や価値を伝える大きなきっかけにしたいとしている。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://news.nissyoku.co.jp/news/okadas20230215090617831
https://www.atpress.ne.jp/news/283421
https://www.makuake.com/project/daigenmiso/


Latest Posts 新着記事

「AFURI」vs「雨降」—ブランドと地域性が交差する商標攻防戦の結末

はじめに 2025年4月、人気ラーメンチェーン「AFURI」を展開するAFURI株式会社と、日本酒「雨降(あふり)」を展開する吉川醸造株式会社との間で繰り広げられていた商標権を巡る争いに、知的財産高等裁判所が一つの決着をもたらした。AFURI社が主張していた吉川醸造の「雨降」商標に対する無効審判請求が棄却されたことで、両者のブランドの共存可能性が示唆された形だ。 本稿では、この裁判の経緯と背景、そ...

BYD・HUAWEI・XIAOMIが描くEVの未来図:特許情報から探る勝者の条件

中国の電気自動車(BEV)産業は、急速な技術革新と政府支援を背景に、世界市場を席巻しつつある。その最前線に立つのが、BYD(比亜迪)、HUAWEI(華為)、XIAOPENG(小鵬)、NIO(蔚来)、ZEEKR(極氪)、そしてXIAOMI(小米)といった企業群である。彼らの競争力の源泉には、特許戦略に基づいた技術開発と事業戦略がある。本稿では、各社の特許情報と独自の取り組みから、その強みと潮流を読み...

ブリングアウト、複数面談のビッグデータを効率解析する技術の特許取得

人材採用における「面談」の在り方が、今、大きな転換期を迎えている。履歴書や職務経歴書といった定型情報では読み取れない人物像を、企業はより深く、多面的に把握しようとしている。そのため、1回の面談で即決するのではなく、複数の担当者による複数回の面談を通じて候補者を評価するケースが増加している。 こうした「複数面談」時代の課題は、面談記録の管理と評価の一貫性だ。面談官が異なれば、見る視点や質問の切り口、...

Samsungの特許が描く未来のXR体験:Galaxy RingとWatchで広がる操作の可能性

XR(Extended Reality)の進化は、ハードウェアの小型化や表示性能の向上だけでなく、ユーザーインターフェース(UI)の革新にこそ真価が問われている。どれほど高精細な映像を表示できたとしても、その世界を直感的に操作できなければ、ユーザー体験は限定的なものにとどまってしまう。AppleのVision Proが「視線とジェスチャー」を組み合わせた操作体系で話題を集めたのも、この直感性に焦点...

DeepSeekの衝撃、その先にある“中国のAI戦略”とは

2024年、中国発の大規模言語モデル「DeepSeek」が登場し、AI業界に衝撃を与えた。ChatGPT-4と比較しても遜色ない性能を持ちながら、オープンソースとして公開され、誰もが利用・改良できるというその姿勢は、クローズド戦略をとる米国の主要AI企業とはまったく異なる方向性を示していた。 2025年現在、中国発AIモデルの躍進は一過性のものではなかったことが証明されつつある。DeepSeekの...

「錆びない未来建築」大阪・関西万博に採用された沖縄発コンクリート技術とは?

2025年4月、大阪・夢洲において開幕する大阪・関西万博。その会場には、世界中から訪れる来場者の目を引く斬新なパビリオン群が並ぶ。だが、注目すべきはその「デザイン」だけではない。建築資材として使われている“ある特殊なコンクリート”が、業界関係者や専門家の間で静かな話題を呼んでいる。 それが、沖縄県内の建材系企業によって開発された「炭素繊維強化コンクリート(Carbon Fiber Reinforc...

ペロブスカイト・タンデム太陽電池が切り開く世界―中国が示した現実解

2025年春、中国の大手太陽光発電メーカー「トリナ・ソーラー」が発表したニュースが、エネルギー業界を大きく揺るがせた。それは、ペロブスカイト・シリコンタンデム構造を持つ太陽電池モジュールにおいて、実用サイズで世界初となる最大出力808Wを達成したという報道だ。この成果は単なる性能の誇示ではなく、世界中の研究者・企業が長年追い求めてきた「次世代太陽電池の商業化」という夢を現実に近づけるものとして、極...

Google、スマホの“側面&背面タッチ”操作に新提案─片手操作の未来を変える特許技術

2025年3月、Googleが出願した新たな特許が注目を集めている。この特許は、スマートフォンの側面および背面にタッチセンサーを搭載し、ユーザーがタップやスワイプといったジェスチャーで各種操作を行えるというもの。既存のタッチスクリーン中心の操作体系に、新たな入力インターフェースを加えることで、より直感的で負担の少ないUX(ユーザーエクスペリエンス)を実現する狙いがあると見られる。 この特許は、将来...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

大学発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る