松山市の「野球拳おどり」、祭りの名称で自治体が商標登録出願

松山市の「野球拳おどり」、祭りの名称で自治体が商標登録出願


愛媛県松山市が発祥のお座敷芸「野球拳」をもとにした「野球拳おどり」について、松山市と松山商工会議所が出願した商標登録が2020年10月13日に公開された。

「野球拳おどり」は大正時代に松山市で生まれ、「アウト、セーフ」のかけ声とともに芸者とじゃんけんをするお座敷芸「野球拳」をもとにした踊りで、昭和41年から始まった夏の「松山まつり」の第5回=昭和45年から採用され披露されていることで知られている。この「野球拳おどり」について、祭りの実行委員会に加わっている松山市と松山商工会議所によってその踊りの名称が商標登録出願されていた。

松山まつり (野球拳おどり・野球サンバ)

松山商工会議所によると、「野球拳おどり」の名称がほかの団体に勝手に利用されるなどでおどりのイメージ低下を防ぐなどの目的から松山市とともに出願を行ったとのこと。
今回の出願では、「祭りの企画・運営または開催」を対象としているためそのほかの商品やサービスでは名称を使用できるとしている。

本家「野球拳」の4代目家元である松山市の澤田剛年さんは、「出願の報告は受けていますが、野球拳にふさわしくないものも世の中に出てきているので、区別するためにも商標登録は必要だと思う」と話している。
特許庁のデータベースによると、全国の自治体が登録している商標はあわせて約1600近くにのぼり、地域ブランドの保護を目的に農産物などの特産品を自治体や地元の団体が商標登録するケースは全国で広がっているが、今回踊りの名称で自治体が商標登録を出願するのはきわめて珍しいケースと言える。

一方、地名と商品名を組み合わせた「地域ブランド」を保護して、活性化につなげようと、生産者団体が特産品の商標を取得する「地域団体商標」の制度がある。
これは、地域の産品等について、事業者の信用の維持を図り、「地域ブランド」の保護による地域経済の活性化を目的として2006年4月1日に導入され、「地域ブランド」として用いられることが多い地域の名称及び商品(サービス)の名称等からなる文字商標について、登録要件を緩和する制度。
通常、「地域名+商品(サービス)名」の組み合わせからなる文字商標は、「全国的に周知」となっていなければ登録できない。また、地域の名称には現在の行政区画名ばかりでなく旧地名、旧国名、河川名、山岳名、海域名なども含まれる。また、産地等を表示する際に付される文字として慣用されている文字(本場、特産、名産等)を組み合わせることもできる。

【参照】
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0201
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201111/k10012705681000.html
https://newsch.xyz/149804/
http://www.m-festa.jp/


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