UI上に描いた設計図から、システムが動作する基盤を自動構築~AIソフト開発環境の基本特許を取得


AIを利活用したサービスによる社会課題解決に取り組む株式会社エクサウィザーズ(東京都港区、代表:石山 洸)は、AIソフトウェアの開発環境「exaBase Studio」に関する基本特許を取得したことを22年11月9日公表した。 

今回取得した特許は、同社が開発中であるexaBase Studioの基本的な機能に関するもので、具体的には、AIソフトウェアの処理の流れをユーザーインターフェース(UI)上に図示すると、その内容を基にアーキテクチャの設計図を自動生成し、クラウドを含めたコンピューティング環境上にシステムが動作する基盤を自動で構築するというもの。

近年、さまざまなレベルでのノーコードやローコードのソフトウェア開発ツールが提供されており、これらを利用することでシステム開発が従来に比べて簡単になってきている。一方でこれらのツールを利用すると、ツールの制限範囲にとらわれることで開発の自由度が低下するため、高度なシステム開発には不向きであるという課題があった。

今回取得した特許においては、システムの部品にあたるコンポーネントの画像アイコンをUIの画面上に配置するだけで、ソフトウェア/システムの全体構造を設計できるというもの。特に、コンポーネントは事前に用意したものを利用できるほか、後から随時追加したり、新たなコンポーネントをプログラミングして追加したりすることも可能なため、開発の自由度を高めることができる。

このようにして設計した内容を基に、クラウドなどにシステム基盤を自動的に構築することも可能となる。今回取得した特許をもとに実現するexaBase Studioは、このように高度な設計からインフラ構築までのソフトウェア/システム開発を、一気通貫で容易に行うことができるという。

特許概要

【特許番号】特許第7170157号(P7170157)
【登録日】令和4年11月2日(2022.11.2)
【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
【特許権者】【氏名又は名称】株式会社エクサウィザーズ
【発明者】 【氏名】坂根 裕、 春田 真、石山 洸、前田 俊幸、大字 沙織、吉田 昇平、小俣 剛貴、キューティー パトリック

【要約】 【課題】自由度が高いシステム開発を容易にできるようにする。
【解決手段】一実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、システムの設計画面を表示する処理と、ユーザ操作に応じて、前記設計画面に、予め用意されたシステムコンポーネントの種類に対応するコンポーネント画像と、前記システムコンポーネント間のデータフローを示すフロー画像と、を配置する処理と、前記設計画面に配置された前記コンポーネント画像及び前記フロー画像に基づいて、前記システムの設計ファイルを生成する処理と、を含む。

今回の特許は、エクサウィザーズが本年5月に発表した「exaBase Studio」の着想に関連して出願したもの。exaBase StudioはAIソフトウェア設計のための「Canvas」と呼ぶわかりやすいUIを持ち、事業部門の担当者やデザイナーなどがエンジニアと共同で設計や開発に参画できるようになる。その結果を、AIを用いたデータ処理の流れや実行条件の記述に関するドメイン特化言語である「exaBase Blueprint」に出力し、その上で「Constructor」と呼ぶ機能がクラウドなどへのシステム基盤の自動構築を行う。

このような機能により、顧客企業が内製主導で設計・開発、運用を行うことが可能となり、実行環境の構築に必要な時間と費用、運用時の負担を、外注時と比較して費用対効果を引き上げることを可能にした。

図:本特許の全体像。点線部分は現時点でのトライアル提供範囲で、Machine Learning APIとAIモデルについては一部の機能を提供


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000138.000030192.html


Latest Posts 新着記事

村田製作所、“特許力”で世界を制す 年々強化される知財戦略の全貌

電子部品業界において、グローバルで確固たる地位を築く日本企業・村田製作所。同社はスマートフォン、自動車、通信インフラなど、あらゆる先端分野で不可欠な部品を供給し続けているが、その競争優位性の核心には、他社を圧倒する「特許力」がある。 村田製作所の特許出願数は、国内外で年々増加しており、特許庁が公表する「特許資産規模ランキング」においても常に上位を占める。2020年代以降、その特許戦略はさらに洗練さ...

トヨタ・中国勢が躍進 2024年特許登録トップ10に見る技術覇権の行方

2024年における日本企業の特許登録件数ランキングが、特許庁公表の「特許行政年次報告書2025年版」により明らかになりました。その結果、国内企業上位10社には、自動車関連企業が3社名を連ね、さらに中国企業の技術力と知財戦略の成長が際立つ結果となりました。本稿では、トップ10企業の顔ぶれを振り返るとともに、自動車関連企業の動向、中国勢の勢い、そして今後の展望について解説します。 ■ ランキング概要:...

メルク、英ベローナを100億ドルで買収 キイトルーダ後を見据えCOPD新薬を強化

米製薬大手メルク(Merck & Co.、日本ではMSDとしても知られる)は、英国バイオ医薬品企業ベローナ・ファーマ(Verona Pharma)を約100億ドル(1兆4,700億円)で買収することで基本合意に至りました。買収金額は現地株式の米国預託株式(ADS)1株あたり107ドルで、これは直近の株価に対して約23%のプレミアムを上乗せした水準です。 背景:キイトルーダの特許切れと「ペイ...

知財覇権争い激化 中国企業が日本の次世代技術を標的に

中国企業、日本で次世代技術の知財攻勢強化 特許登録が急増 日本における次世代技術分野で、中国企業による特許登録件数が急増している。AI(人工知能)、量子技術、電気自動車(EV)、通信(6G)といった先端分野での出願が目立ち、知的財産権を活用したグローバル戦略の一環とみられる。中国勢の台頭により、日本国内企業の技術優位性や将来的な事業展開に影響を及ぼす可能性があるとして、専門家や政策当局も注視してい...

「aiwa pen」誕生!端末を選ばない次世代タッチペン登場

株式会社アイワ(aiwa)は、ワコム株式会社が開発した先進的なAES(Active Electrostatic)方式の特許技術を搭載した新製品「aiwa pen(アイワペン)」を、2025年7月3日より全国の家電量販店およびオンラインショップにて販売開始したと発表しました。マルチプロトコル対応によって、Windows・Android・Chromebookなど様々な端末での利用を可能にし、使う端末を...

完全養殖ウナギ、商用化へ前進 水研機構とヤンマーが量産技術を特許化

絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの持続的な利用に向けた大きな一歩となる「完全養殖」技術の量産化が、いよいよ現実味を帯びてきた。国の研究機関である水産研究・教育機構(以下、水研機構)と、産業機械メーカーのヤンマーホールディングス(以下、ヤンマー)が共同で開発を進めてきたウナギの完全養殖技術について、両者が関連する特許を取得したことが明らかになった。 これにより、これまで不可能とされていたウナギ...

ミライズ英会話、AI活用の語学教材生成技術で特許取得 EdTech革新が加速

英会話スクール「ミライズ英会話」(運営:株式会社ミライズ、東京都渋谷区)は、AIを活用した「完全パーソナライズ語学教材自動生成技術」に関する特許を、2025年5月に日本国内で正式に取得したと発表した。この技術は、学習者一人ひとりの語学レベルや目的、学習傾向に応じて最適な学習教材をリアルタイムで生成・更新するという、従来にない革新的な仕組みである。 本技術の特許取得により、語学教育における個別最適化...

トランスGG、創薬支援で前進 エクソンヒト化マウスの特許が成立

株式会社トランスジェニック(以下、トランスGG)は、2025年6月、日本国内において「エクソンヒト化マウス」に関する特許が正式に成立したと発表した。本特許は、ヒト疾患の分子機構解析や創薬における薬効評価、毒性試験など、幅広い分野で活用が期待される次世代モデル動物に関するものであり、今後の創薬研究において大きなインパクトを与えるものとなる。 ■ エクソンヒト化マウスとは エクソンヒト化マウスは、マウ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る