iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づいた使用だった~商標権の威力でその使用料は年1.5憶


「アイフォーン」名使用の対価は年1・5億円、アップルが日本企業へ支払い…商標権の威力。読売新聞オンラインが22年11月13日次のように伝えている。

世の中にあふれる様々な商品やサービスの名称である商標。ほかと区別する役割を果たしているだけでなく、認知度やイメージが高ければそれだけで売り上げ増をもたらすことも期待できる。企業にとって大事なこの知的財産を第三者の勝手な使用から守る仕組みが、商標権だ。

「iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています」~国内では9月16日に発売された米アップルのスマートフォンの最新モデル「iPhone(アイフォーン)14」。各国・地域向けにつくられている公式サイトで日本向けにだけ、この断り書きが表示される。
2008年の日本での初代モデル発売にあたり、アップルは商品名を「アイフォン」にしようとしたとされる。そこに、インターホン製造大手アイホン(名古屋市)が自社製品の名称に似ていると主張した。

アイホンは、1955年に国内で商標登録済みだった。両社はスマホの日本語名をアイフォーンとし、アイホンがアップルに国内での使用許諾を与えることで合意。アイホンは詳細を明らかにしていないが、連結損益計算書には1.5億円程度を受取ロイヤリティーとして計上している。アップルが使用の対価として支払っているとみられる。

1969年に誕生し、世界的に売れ続ける独アディダスの名作スニーカー「スーパースター」にも日本企業が関係する。国内では、靴製造のムーンスター(福岡県久留米市)が類似の英語表記「SUPER STAR」の商標権を保有する。

商標権の威力は大きい。名称を独占的に使え、使用には対価を受け取ることができる。無断で使用されれば、損害賠償を請求することも可能だ。

商標権を得るには特許庁に出願する必要がある。日本では、先に手続きした方を原則として優先する「先願主義」が取られている。特許庁商標課の大塚正俊さんは「世界の主流と同じ方式」と説明する。アイホンやムーンスターはこうした「早い者勝ち」ともいえる仕組みを使って、世界的な巨大企業に先んじた。

商品やサービスを開発・実用化していなくても出願はできるが、何でも登録が認められるわけではない。年間出願数18万~19万件程度のうち2割前後は認められない。似た名称が登録済みだったり、独自性がないと判断されたりするためだ。登録は使用を前提としているので、休眠状態が続けば取り消されることもある。

商標の概要

登録番号:第460472号
登録日:昭和30(1955)年 2月 16日
商標(検索用):アイホン
称呼(参考情報):アイホン
権利者氏名又は名称:アイホン株式会社
住所又は居所:愛知県名古屋市


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221112-OYT1T50174/
https://www.apple.com/jp/iphone/


Latest Posts 新着記事

AI×半導体の知財戦略を加速 アリババが築く世界規模の特許ポートフォリオ

かつてアリババといえば、EC・物流・決済システムを中心とした巨大インターネット企業というイメージが強かった。しかし近年のアリババは、AI・クラウド・半導体・ロボティクスまで領域を拡大し、技術企業としての輪郭を大きく変えつつある。その象徴が、世界最高峰AI学会での論文数と、半導体を含むハードウェア領域の特許出願である。アリババ・ダモアカデミー(Alibaba DAMO Academy)が毎年100本...

翻訳プロセス自体を発明に──Play「XMAT®」の特許が意味する産業インパクト

近年、生成AIの普及によって翻訳の世界は劇的な変化を迎えている。とりわけ、専門文書や産業領域では、単なる機械翻訳ではなく「人間の判断」と「AIの高速処理」を組み合わせた“ハイブリッド翻訳”が注目を集めている。そうした潮流の中で、Play株式会社が開発したAI翻訳ソリューション 「XMAT®(トランスマット)」 が、日本国内で翻訳支援技術として特許を取得した。この特許は、AIを活用して翻訳作業を効率...

特許技術が支える次世代EdTech──未来教育が開発した「AIVICE」の真価

学習の個別最適化は、教育界で長年議論され続けてきたテーマである。生徒一人ひとりに違う教材を提示し、理解度に合わせて学習ルートを変化させ、弱点に寄り添いながら伸ばしていく理想の学習プロセス。しかし、従来の教育現場では、教師の業務負担や教材制作の限界から、それを十分に実現することは難しかった。 この課題に真正面から挑んだのが 未来教育株式会社 だ。同社は独自の AI学習最適化技術 で特許を取得し、その...

抗体医薬×特許の価値を示した免疫生物研究所の株価急伸

東京証券取引所グロース市場に上場する 免疫生物研究所(Immuno-Biological Laboratories:IBL) の株価が連日でストップ高となり、市場の大きな注目を集めている。背景にあるのは、同社が保有する 抗HIV抗体に関する特許 をはじめとしたバイオ医薬分野の独自技術が、国内外で新たな価値を持ち始めているためだ。 バイオ・創薬企業にとって、研究成果そのものだけでなく 知財ポートフォ...

農業自動化のラストピース──トクイテンの青果物収穫技術が特許認定

農業分野では近年、深刻な人手不足と高齢化により「収穫作業の自動化」が急務となっている。特に、いちご・トマト・ブルーベリー・柑橘など、表皮が繊細な青果物は人の手で丁寧に扱う必要があり、ロボットによる自動収穫は難易度が極めて高かった。そうした課題に挑む中で、株式会社トクイテンが開発した “青果物を傷付けにくい収穫装置” が特許を取得し、農業DX領域で大きな注目を集めている。 今回の特許は単なる「収穫機...

<社説>地域ブランドの危機と希望――GI制度を攻めの武器に

国が地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度をスタートしてから10年が経つ。ワインやチーズなど農産物を地域の名前とともに保護する仕組みは、欧米では産地価値を国境を越えて守る知財戦略としてすでに大きな成果を上げてきた。一方、日本でのGI制度は、導入から10年が経った今ようやくその重要性が幅広く認識される段階に差し掛かったと言える。 農林水産省によれば、2024年時点...

保育データの構造化とAI分析を特許化 ルクミー「すくすくレポート」技術の本質

保育業界におけるDXが本格的に進む中、ユニファ株式会社が展開する「ルクミー」は、写真・動画販売や登降園管理、午睡チェックシステムなどを通じて保育の可視化と効率化を支えてきた。その同社が開発した 保育AI™「すくすくレポート」 が特許を取得したことは、保育現場のデジタル化における大きな節目となった。 「すくすくレポート」は、子どもの日々の成長・発達をAIが分析し、保育士の観察記録を補助...

JIG-SAW、動物行動AIの“核技術”を米国で特許化 世界標準を狙う布石に

IoTプラットフォーム事業を展開する JIG-SAW株式会社 が、米国特許商標庁(USPTO)より「AI算出によるベクトルデータをベースとしたアルゴリズム・システム」に関する特許査定を受領した。対象となるのは 動物行動解析分野—つまり動物の動き・姿勢・行動をAIで読み取り、ベクトルデータとして構造化し、行動傾向や異常を自動判定するための技術だ。 近年、ペットヘルスケア、畜産、動物実験、野生動物の行...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る