ペットの健康、気持ち・・・ ITベンチャーの技術に国内外が注目

IoT(モノのインターネット)などのテクノロジーを活用して猫や犬の飼育の質を高める「ペットテック」が注目を集めている。国内のITベンチャーがペットの健康状態を把握したり、感情に迫ったりする世界最先端の技術開発を進めており、国内大手メーカーが連携を深めていると毎日新聞は22年7月18日次のように伝えている。

衛生用品大手ユニ・チャーム(東京)は4月、ITベンチャー「RABO(ラボ)」(東京)との資本業務提携を発表した。ユニ・チャームはペット用品の国内シェアトップ。高原豪久社長は「ペットケア事業のDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタルを活用した業務改革)を大きく後押しする。ラボ社の事業拡大にも貢献したい」とコメントした。

ラボは、東京海洋大大学院で野生動物の生態を研究した伊豫愉芸子(いよゆきこ)社長(41)が2018年に創業した。「バイオロギング」と呼ばれる、動物に小型機器を取り付けて生態を調査する手法を猫に応用。首輪に付けた記録計を通して、飼い主が行動をスマートフォンアプリで24時間見守れるウエアラブル端末「Catlog(キャトログ)」を19年に商品化した。走る、食べる、寝るなど7種類の行動を記録して蓄積し、健康状態を可視化。リアルタイムでスマホに届く。
21年8月には、猫のトイレの下に敷いて排せつ量や回数などを記録する端末「キャトログボード」も商品化した。同11月にはユニ・チャームの猫用トイレ「デオトイレ」とコラボキャンペーンを開催しており、今回の提携につながった。同社でデオトイレ開発に携わった池上武シニアマネジャー(46)は「我々もアンケートなどで調査しているが、それでは分からない猫の行動をデータで可視化する技術は世界をリードしている。フードや健康チェックなど新たな商品開発にも生かしたい」と意気込む。

ラボは今年1月、米ラスベガスで開催された世界最大級の家電IT見本市「CES」に初めて出展。現地のIT企業から「私たちも端末を作ったが行動分類がうまくできない」などと引き合いがあったという。今回、ユニ・チャームとベンチャーキャピタル5社を引受先とする第三者割当増資を行い13・2億円を調達。伊豫さんは「世界中では6億匹の猫が人間と暮らしている。アプリの多言語化などグローバル展開を進め、世界中の猫に健康に暮らしてほしい」と見据える。

ペットテックはIT大国の米国を中心に発展しており、AI(人工知能)を駆使した見守りカメラや、ペットの運動量をコントロールできるおもちゃ、ペットの顔を認証する自動給餌器、運動量を測って温度を調整するケージなどが開発された。日本でも、犬や猫の遺伝子を検査して健康管理に生かせる「ポンテリー」(東京)などのサービスが生まれている。

「ラングレス」(東京)は、犬の心拍の変動を解析して「ハッピー」「ドキドキ」など五つの感情を色で表現するウエアラブル端末「イヌパシー」を17年に商品化した。特殊なマイクとデジタル化技術で毛皮の上からでも心拍を正確に測り、心電図の波形から犬の情動を瞬時に解析するアルゴリズムは世界初の特許技術だ。さらに、健康食品大手「キューサイ」(福岡市)の犬用サプリメント開発に、犬が喜ぶかどうかのデータを提供して支援するなど幅を広げる。

【発明の名称】心拍信号抽出回路及び動物感情推定装置
【氏名又は名称】株式会社ラングレス
【発明者】 【氏名】山口 譲二
【公開番号】特開2021-90425(P2021-90425A)

ラングレスの山入端(やまいりばた)佳那社長(37)は「ペットとは会話できないので、本当はそれぞれ個性は違うのに尊重されにくかった。感情を理解すること自体が楽しいし、データの蓄積はヘルスケアにもつながる」と強調する。

矢野経済研究所の19年の試算によると、ペットテックの国内の市場規模が17年度の2・3億円から18年度には7・4億円に成長したと推計する。今年6月に犬猫に飼い主の情報を記録するマイクロチップ装着を義務付ける改正動物愛護法が施行されたのを受けて、23年度に50・3億円まで成長すると試算している。

山入端さんはペットテックの動向について「米国は特に犬は大型で庭も広く、ITの力で合理的に犬らしい自由な生活をさせることに力点を置いている。日本では小型ペットの室内飼いが多い上に新型コロナウイルスの影響もあって『家族』として大切にするための技術が重視されている。ただ、その技術はまさに黎明(れいめい)期で、伸びる余地が大きいブルーオーシャン(未開拓市場)です」と分析している。【錦織祐一】


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://mainichi.jp/articles/20220718/k00/00m/040/003000c

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。

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