特許技術で向上する音質!進化した骨伝導イヤホンの技術とは?


骨伝導イヤホンとは、こめかみに振動を伝えることにより直接骨を震わせ、音として聴覚に認識させる製品だ。

通常、人が音を感知する際は、空気の振動により鼓膜が振動し、それがさらに耳の奥にある蝸牛(かぎゅう)に伝わることにより音として認識されている。
蝸牛は空気以外の振動も感知できるため、その性質を利用したのが骨伝導イヤホンである。

骨伝導イヤホンのメリットは2つ。耳を塞がないことと聴力に影響されないことだ。
サイクリングなどのスポーツ中に音楽を楽しみたい場合、耳を塞いでしまうと周囲の音が聞こえず危険であるが、骨伝導イヤホンなら耳を塞がずに安全に音楽を楽しむことができる。
また、鼓膜に原因がある難聴の方や聴力が衰えた方でも、骨伝導イヤホンであれば音を聞き取ることが可能だ。

開発当時は価格の高さや音質の低さがデメリットであったが、現在では満足できる音質の製品が購入できる価格で販売されるようになった。現時点で骨伝導イヤホンのデメリットとして指摘されている点は、低音の弱さや音漏れの問題である。

そのようなデメリットを解消するために、様々な特許技術が開発されている。今回は、米国のAfterShokz(アフターショックス)社の製品を例に、その技術を確認していこう。

AfterShokz社の骨伝導イヤホンTREKZ AIRは、こめかみに振動部を当てることで音を聴覚神経に届けるタイプの製品だ。耳を塞がず、周囲の音を聞き取ることができるので、安全に音楽を楽しめることが特徴になっている。

そんなAfterShokz社は、骨伝導イヤホンに関する複数の特許技術を持っている。

ここでは、それらの技術の中からTREKZ AIRに採用されている2つの技術を紹介する。
その2つの技術とは、「PremiumPitch+™」「LeakSlayer™」だ。

PremiumPitch+™

PremiumPitch+™は、AfterShokz社が独自開発したサウンド技術だ。従来の骨伝導と比較して高い音質を実現することができる。特に、微振動を組み合わせることにより、迫力のある低音が楽しめるようになったことが一番の特徴と言える。

LeakSlayer™

LeakSlayer™は、周囲への音漏れを防止する技術だ。この技術により、音漏れが最小限に抑えられるため、周囲の目を気にせずに骨伝導イヤホンで音楽を楽しむことができる。

今回紹介した2つの技術は、いずれも骨伝導イヤホンのデメリットを補完するものだ。骨伝導イヤホンの分野でも、日々様々な技術が開発されている。今後も技術開発は続き、骨伝導技術の向上は続いていくだろう。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://dime.jp/genre/626128/
https://blog.softbankselection.jp/30899/


Latest Posts 新着記事

福島市×富士フイルム、罹災証明簡素化システムを特許出願──災害対応DXの新モデル

地震、台風、水害、火山噴火──自然災害が頻発する日本において、行政が担う災害対応業務の中でも、被災者の生活再建に直結するものが「罹災証明書」の発行である。罹災証明書は、住宅などの被害状況を確認し、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などの判定を行政が下し、それを被災者に文書で交付するものである。これにより被災者は、公的支援や保険金の請求などが可能になる。しかし、その発行には時間と人的コストが...

ペロブスカイト特許競争が激化 日本の技術立国に試練

近年、次世代の太陽電池として注目されている「ペロブスカイト太陽電池」。軽量・柔軟・低コスト・高効率という四拍子揃ったこの技術は、従来のシリコン型太陽電池を補完あるいは置き換える存在として、世界中の研究機関・企業から熱い視線を浴びている。その中でも、中国勢の特許出願ラッシュが著しく、知財戦略の面でも日本は岐路に立たされている。 ペロブスカイト太陽電池とは何か ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト...

IBMの特許王国を支える“ミドルの力”——革新を続ける管理職育成の真髄

2020年、IBM(International Business Machines Corporation)は米国特許商標庁(USPTO)から9,130件の特許を取得し、28年連続で特許取得件数世界一の座を守った。これはApple(2,792件)、Microsoft(2,905件)、Google(1,817件)などの名だたるテックジャイアントを大きく引き離す数字であり、IBMがいかに継続的にイノベ...

メガネの新常識、「Zoff SNAP GRIP」登場──全国発売開始、究極のフィット感を実現

2025年5月16日、国内大手アイウェアブランド「Zoff(ゾフ)」は、新製品「Zoff SNAP GRIP(ゾフ・スナップグリップ)」を全国のZoff店舗およびオンラインストアにて発売した。この新商品は、Zoffが“究極の快適性”を追求した末に生み出した革新的なメガネフレームであり、現在特許出願中の新構造「スナップグリップ機構」を搭載している点が最大の特徴だ。 Zoffは、これまでにもリーズナブ...

三菱ケミカルG、CATLと特許契約締結 電解液技術をグローバル展開へ

2025年5月、三菱ケミカルグループ(以下、三菱ケミカルG)は、世界最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーである中国・寧徳時代新能源科技(CATL)に対し、リチウムイオン電池に使用される電解液の特許技術をライセンス供与する契約を締結したと発表した。電池材料業界における知財戦略の新たな局面を象徴するこの一件は、単なるライセンス供与という枠にとどまらず、日中間のEV産業連携、そして将来のバッテリ...

りんご飴に特許という選択肢。『ポムダムールトーキョー』が札幌すすきので描く知財スイーツ戦略

札幌市中央区・すすきのエリアに、日本初の“りんご飴専門店”として注目される「ポムダムールトーキョー(POMME DAMOUR TOKYO)」が出店しているのをご存じだろうか。単なる屋台スイーツの延長ではない。店舗で提供されるりんご飴には、企業としての確かなブランド戦略、独自技術の裏付け、そして知的財産権による保護という、現代的ビジネスの三拍子が揃っている。 今回は、札幌進出とともに特許取得が話題と...

テクノロジーで共生をつくる――オムロンが無償開放する“ゆにもの”特許の力

2025年、オムロン株式会社は、自社が保有する「ユニバーサルものづくり」に関する複数の特許技術を無償で開放することを発表した。この動きは単なる企業の社会貢献の枠を超え、製造業全体、ひいては日本社会の在り方に大きなインパクトをもたらす可能性を秘めている。 ■「ユニバーサルものづくり(ゆにもの)」とは何か? まず、オムロンが提唱する「ユニバーサルものづくり」、通称“ゆにもの”の概念を理解する必要がある...

BYD、電動化特許で世界をリード──寒冷地対応「自己発熱電池」で市場を拓く

中国のEV大手・BYD(比亜迪)が、電動化に関連する特許出願数で世界的に突出している。世界知的所有権機関(WIPO)のデータや中国国家知識産権局(CNIPA)によると、BYDはモーター制御、バッテリーマネジメント、駆動系統、熱制御技術など広範な分野で急速に特許出願を積み上げており、2023年の段階で「電動化技術」において世界トップクラスの知財ポートフォリオを築いている。 中でも注目すべきは、「寒冷...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る