ソニーが取得した特許から、PS5向けの新型VRヘッドセットの「PlayStation VR2」では、VRで発生する「ゴッドレイ」問題が解決されている可能性が浮上しているとIT系ニュースサイトGigazineは22年2月9日次のように伝えている。
VRヘッドセットでは「ゴッドレイ」と呼ばれるハイコントラスト時に光のラインが発生するケースがあり、これはいわゆるレンズフレアのような現象だ。しかし、ソニーが取得した特許から、「PlayStation VR2ではゴッドレイ問題が解決されている可能性がある」と海外メディアのArs Technicaが報じている。
通常のレンズは表面が湾曲しており一定の厚みがあるが、その厚みを減らすべく作られたのがフレネルレンズ。フレネルレンズは通常のレンズよりもはるかに焦点距離が短く、本体は薄くて軽いため、VRヘッドセットに最適なレンズとされている。しかし、レンズ表面の凹凸の縁部分に当たった光が横方向に折れ曲がるケースがあり、これが目に当たるとゴッドレイ問題を引き起こす。
ソニーのVRヘッドセットであるPlayStation VRの場合、通常の湾曲レンズを採用することでゴッドレイ問題を回避していた。しかし、PlayStation VR2では公式製品ページ上の情報から、レンズ部分に「軽量でバランスのとれたフレネルレンズ」を採用していることが明らかになっている。
ソニーは2017年に「フレネルレンズとフレネルレンズの製造方法」という特許を出願し、2020年に取得している。これはフレネルレンズで発生するゴッドレイ問題を解決可能なフレネルレンズの製造方法に関する特許だ。
特許は凹凸のあるフレネルレンズ表面の凹部分(下図:30)に不透明な光吸収素材を流しこむ。
凹部分に流れ込んだ光吸収素材を排除し、突起部分の先端にだけ光吸収素材を残す(下図:12)ことで、ゴッドレイの発生を抑えることができるようになる模様。なお、ソニーの特許が適用できるのは円形あるいは正方形のフレネルレンズのみのようだ。
ソニーが特許を取得しているからといって、この特許が実際にVRヘッドセットに採用されるかどうかは不明だ。しかし、ソニーは特許の中でこのフレネルレンズをヘッドマウントディスプレイに採用することについて具体的に言及しているため、「VRヘッドセットに採用することを検討していることは明らか」とArs Technicaは指摘している。
ただし、光吸収素材でレンズの一部を埋めることが、レンズを通して投影される像の鮮明さや解像度に何らかの影響を与えるか否かについての言及はない。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://gigazine.net/news/20220209-playstation-vr2-solve-god-ray/