イスラエルのスタートアップ企業ライドビジョンが、自動二輪車の事故を防ぐ警告システムの販路を広げている。本国や欧州に続き2021年秋にオーストラリアで発売し、日本でも販売代理店と交渉に入ったことを日本経済新聞が22年1月7日伝えている。
新型コロナウイルス禍で二輪車が「密」を避ける交通手段として再認識されるなか、ライダーの安全を守る需要を狙う。警告システムは、車体の前後に搭載するカメラで周囲の状況をリアルタイムで把握してアルゴリズムで分析し、他の車両と距離が縮まりすぎたときにライダーの注意を喚起する。
異常時にはバックミラーの上部に取り付けた赤い発光ダイオード(LED)がまぶしく点灯し、視覚に訴える。前の車が急停止したときなどに、とっさの判断を助けるという。
「道路上の危険に反応する極めて重要な数秒を得られる」と同社は説明する。バックミラーに映らない後方の死角から近づく車も知らせる。左後ろから車が近づけば、黄色のLEDが左のミラーで点灯
して警告する。ハンドルやブレーキを操作するのはあくまでもライダーだ。
他社にまねされやすいようにも見えるが、ライドビジョンはシステムやアルゴリズムなど、独自に開発した技術について複数の特許を取得済みとしている。
バックミラーに取り付けたLEDが点灯し異常接近を警告する(テルアビブでの展示会)
車体に取り付けるハードウエアは簡素だ。コンピューターユニットに前後のカメラ、警告灯で、車体のメーカーやサイズに制約はない。新車でも中古車でも搭載できる。
イスラエルでは1600シェケル(約5万8千円)前後、ドイツでは600ユーロ(約7万8千円)ほどで販売されている。販売実績は公表していない。
ライドビジョンはアジアでの販売について取材に「日本の販売代理店2~3社と協議している。通常、交渉は3~6カ月かかる」と明らかにした。国内での販売価格は現時点で6万円前後と想定しているという。
コロナ禍で公共交通機関の人混みを避ける人が増え、自動二輪車の人気は高まっている。欧州二輪車工業会がまとめた21年1~9月の英仏など5カ国の自動二輪車の新車登録台数は、前年同期比11%増の79万台あまりだった。
日本も同様の傾向を示している。全国軽自動車協会連合会によると、バイク(軽二輪と小型二輪)の21年1~11月の新車販売台数は15万台強と前年同期に比べ15%増えた。
人気と比例して、ライダーの安全対策の需要も高まっているとライドビジョンはみている。「バイクの事故は米国で交通事故全体の3%にすぎないが、死亡事故の14%を占める」。同社の共同創業者のウリ・ラビ最高経営責任者(CEO)は11月の説明会で、安全装置の重要性を訴えた。
同社は18年に創業したばかり。20年にイスラエルのベンチャーキャピタル大手アワークラウドなどから700万ドル(約8億円)を調達し、製品化の足がかりを築いた。お膝元のイスラエルは人工知能(AI)など技術系のスタートアップが勃興し経済が成長しているが、人口は約900万にすぎない。
成長のカギを握るのは、欧米やアジアの大市場での販売網だ。同社は二輪車メーカーに直接納入する供給企業との協力も深めようとしている。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR28BJM0Y1A221C2000000/
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