近視や遠視などのメガネをかけている人がAR/VRヘッドセットを装着する際は、「メガネを狭い筐体内にどう収めるか」に頭を悩ませがち。またメガネ型のスマートグラスを使う場合は、度付きのレンズを入れる必要があるが、そうすれば価格が高くなりかねず、また視力が異なる他の人が使えなくなる恐れもある。
アップルがそうした問題をクリアできる「着用者の視力を補うため、レンズの度数を動的に調節できる」特許を取得したと、engadget日本版は22年1月14日伝えている。
本特許は、左右それぞれの目に複数のレンズを重ね合わせるというもの。そこでは液晶レンズ(液晶を透明な基盤ではさみ、電圧を調整して屈折率を変化させる可変焦点レンズ)や液体充填レン
ズ(光学的流体に電流や電圧を加えて焦点距離を変える)およびアルバレスレンズ(2枚のレンズを
相互にスライドさせて度数を調整する)などを併用できるとされている。
いずれのレンズも「電極から光学材料(レンズ)に電力を供給する」ことで光の通し方を調整できるものだが、さらに複数の電極を重ねて使い、3つ以上の方向性を持たせることで、必要な視力補正に合わせて正確に調整できると説明されている。
またアイトラッキング(視線追跡)を利用して、より高度な視力調整も可能とのこと。具体的にはユーザーの視線を追いかけて度数を細かく制御できるというわけだ。
本特許では老眼などがある場合も、遠くの対象物に焦点を合わせる調節力の不足(水晶体が固くなったり、毛様体筋が衰えているためピントが合わせにくい)を補正できるため有用だと述べられている。その一方で調整の範囲を限ることで「拡大率の変化による混乱した視覚感覚を軽減できる」つまり急に遠くや近くが見えて戸惑うことを減らせるとも説明されている。
また、この技術は静的な処方レンズでは補正しにくい「高次収差」(光が目の表面の角膜から水晶体を通過して網膜に届くまでに、その人が持つ目の形状により歪んでしまうこと)にも効果があるとのことだ。
アップルのようなハイテク大手は毎週のように特許を出願ないし取得しており、そのうち製品に反映されるものはごく一部です。本特許も社内で検討されているアイデアのひとつにすぎず、研究段階で終わってしまう可能性もある。
とはいえ、アップルが「デバイス内蔵レンズの度数を、ユーザーの視力に合わせて動的に変更できる」特許を取得したことは今回が初めてではない。2020年6月にも、ヘッドセット内にある光学部品をリアルタイムで動かして視力を補正できる特許が、米特許商標庁(USPTO)に承認されていた。
アップルは2022年内にAR/VRヘッドセットを発表ないし発売し、2025年以降にはメガネ型のデバイスを投入するとの予想もある。もしも日常的に着用するメガネのサイズにこの技術が搭載できれば、ARやVRを抜きにしても、全世界の人々に歓迎されることになりそうです。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://japanese.engadget.com/apple-glasses-adjust-lenses-034033343.html
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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