「ピーポくん」名刺販売の男性逮捕、 元刑事の弁護士「商標権侵害」のウラ側を語る

警視庁のマスコットキャラクター「ピーポくん」入りの名刺を販売したとして、愛知県内の男性が商標法違反の疑いで逮捕された。報道によると、実在する警察官名義の名刺を1枚1000円ほどで販売していたと見られる。

「報道で画像を見ましたが、本物そっくりの名刺ですね」。こう語るのは、元警察官僚で警視庁刑事の経験もある澤井康生弁護士だ。 軽犯罪法は公務員であると偽ったり、法令で定められた制服や記章などに似せたものを用いたりすることを禁止している(同法1条15号)。

たとえば、警察官のコスプレも周囲を誤解させるようなものになると、同法に抵触する恐れが出てくる。しかし、軽犯罪法には「未遂」を処罰する規定はない。

「今回は購入者によって悪用される恐れがあるのでその前に商標法違反(同法78条)で摘発したのでしょう」(澤井弁護士) 澤井弁護士によると、商標法違反以外での立件は難しかったのではないかという「商標権侵害」のウラ側を、弁護士ドットコムニュースで21年12月3日語っている。
「偽物を本物と偽って売ったのであれば詐欺になりますが、偽物として売っていたのであれば詐欺にはなりません。また、名刺は文書偽造罪の客体となる文書ではないとされていますので、文書偽造罪にもならないと思います」(澤井弁護士)

特許情報を検索できる「J-Plat Pat」によると、「ピーポくん」は東京都によって、2001年に紙類や被服などの区分で商標登録され、ぬいぐるみや反射材シール、マグカップなどの公式グッズが販売されている。

2008年には、ピーポくんが銃で撃たれるデザインのTシャツを販売したとして、男性3人が商標法違反で書類送検される事件も起きた。

他の都道府県のマスコットキャラクターについても検索してみたところ、「上州くん・みやまちゃん(群馬県警)」や「シーサー君(沖縄県警)」などの商標登録が確認できた。ただし、自治体名やキャラクター名などで検索しても登録を確認できなかったものもあった。

警察が使う名刺にはキャラクターがなく、文字だけのものもある。ただ警視庁では、2002年12月24日からピーポくん入りのデザインにするよう通達で指定されている。

仮にキャラクターが商標登録されていなければ、今回のように販売されても商標権侵害で立件はできないが、著作権法違反は考えられる(同法119条)。

ただし、商標権のほうが立証のハードルが低いという。 また、2012年には警察官の肩書を記した名刺を印刷業者につくらせたとして、石川県の男性が「公印偽造」の疑いで書類送検されている。報道によると、架空の部署名で発注していたという。こういう方向からの立件もありそうだ。

「刑法165条の公印偽造罪は公務所や公務員の印章や署名を偽造する犯罪類型です(3カ月以上5年以下の懲役)。署名には自署だけではなく記名も含まれるとされています。

したがって架空名義の警察官の名刺を作成することは公印偽造罪に該当します」(澤井弁護士) 報道によると、今回の被疑者は「ピーポくんに商標があるとは知らなかった」と語っているという。

警察官の名刺をめぐる事件では、それぞれの法律のイメージとは少し違った形での逮捕となることもある。 澤井弁護士は「商標権侵害や公印偽造も立派な犯罪ですからそれらを適用して摘発をおこない、警察の偽物名刺が他の犯罪に悪用されることを防いだものといえます」と総括した。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.bengo4.com/c_1009/n_13854/

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。

コメントを残す