意匠登録、住宅でも広がる 改正意匠法施行1年、模倣や他社登録防ぐ


20年4月に施行された改正意匠法から1年が経過し、住宅企業も、注文住宅やマンションの外観や内装デザインなどの登録が進んでいると、住宅新報は21年4月27日伝えている。

登録の理由は、模倣防止や他社による類似意匠の先行登録を防ぐためだ。住宅のデザインは個別性が強く、デザインに関してあいまいな部分があったが、昨年末に住宅デザインの模倣が裁判で認められており、今後は住宅分野でも意匠登録が加速する可能性がある。

積水ハウスは、昨年4月の改正法施行以降、4月21日までに38件の住宅などの意匠登録を行っている。改正前から組立家屋として、意匠出願を行い、権利化を図ってきた。

改正法で新しく保護対象となった「内装の意匠」についても、積極的に出願を行い、「ブランド価値の向上につなげたい」(積水ハウス)としている。同社では、模倣防止の観点からデザインの権利化を図っているという。

また、旭化成ホームズも外観や内装で数件の意匠登録を行っている。登録は他社による類似意匠の先行登録を防ぐ面が強い。

ミサワホームも他社による先行登録を防ぎ、これまで同社が続けてきたシンプルなデザインを継続するために意匠登録を行っている。

同社は、20年度に「建築物」「内装」「画像」「組物」のデザイン計14件を登録した。その中には住宅業界初となる画像の意匠登録やマンションで初の意匠登録が含まれる。

ミサワホームの一組の家具セットに関する意匠。保育園の通路に複数設置した収納の組物イメージ

マンションのデザインは、フラットな玄関庇(ひさし)と非常階段の壁面の意匠。建物全体について、水平・垂直のラインなど、シンプルな美しさにこだわってデザインしており、同社の設計コンセプト「シンプル・イズ・ベスト」をマンションのデザインに取り入れている。

また、オーナー向けのIoTライフサービス「LinkGates(リンクゲイツ)」で提供する家族の在宅状況を確認できる機能「おでかけおかえりスイッチ」の画像を意匠登録した。

画像の意匠登録は住宅業界で初めて。組物の意匠登録では、キャスター付き収納を組み合わせた家具セットを登録。ウッドワンとの共願で住宅の内装に関する意匠登録も行っている。

意匠登録を巡っては、昨年11月末にアールシーコアがマキタホーム(鳥取県鳥取市)を相手に住宅デザインの類似を理由とした裁判で、マキタホームによる模倣を認める判決国内初の判決が出された。

また、同社は昨年、住宅業界で初となる住宅内部空間の意匠登録も行うなど意匠登録に前向きに取り組んでいる。

【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000047382


Latest Posts 新着記事

トランスGG、創薬支援で前進 エクソンヒト化マウスの特許が成立

株式会社トランスジェニック(以下、トランスGG)は、2025年6月、日本国内において「エクソンヒト化マウス」に関する特許が正式に成立したと発表した。本特許は、ヒト疾患の分子機構解析や創薬における薬効評価、毒性試験など、幅広い分野で活用が期待される次世代モデル動物に関するものであり、今後の創薬研究において大きなインパクトを与えるものとなる。 ■ エクソンヒト化マウスとは エクソンヒト化マウスは、マウ...

紙も繊維も“東レの特許にぶつかる”──業界を動かす知財の力とは?

繊維、紙、パルプ業界は、古くから日本の基幹産業の一つとして発展してきました。近年では、環境配慮型の製品開発や高機能素材の開発が加速し、技術競争の主戦場となっています。そんな中、特許という形で技術を押さえることの重要性がかつてないほど高まっており、「特許牽制力」すなわち他社の出願・権利化を妨げる力が、企業競争力の鍵を握る要素として注目されています。 2024年の業界分析において、特許牽制力で群を抜く...

万博で出会う、未来のヒント──“知財”がひらく可能性

2025年に開催される大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、世界中から最先端の技術、文化、アイデアが集まる祭典です。その中で、ひときわ注目を集めているのが「知的財産(知財)」をテーマにした展示や体験型イベント。普段は馴染みが薄いと感じがちな“知財”の世界を、子どもから大人まで誰もが楽しく学べる機会が広がっています。 知財とは?難しくない、でもとても大事なこと 「知的財産...

ロボットタクシーの現状|自動運転と特許

「ロボットタクシー」の実用化が世界各地で進んでいます。本コラムでは、その現状とメリット・問題点を簡潔にまとめ、特にロボットタクシーを支える特許に焦点を当てて、日本における実用化の可能性を考察してみます。 世界で進むロボットタクシーの実用化 ロボットタクシーの導入は、主に米国と中国で先行しています。 米国 Google系のWaymo(ウェイモ)は、アリゾナ州フェニックスやカリフォルニア州サンフランシ...

6月に出願公開されたAppleの新技術〜顔料/染料レスのカラーマーキング 〜

はじめに 今回のコラムは、2025年6月19日に出願公開された、Appleの特許出願、「Electronic device with a colored marking(カラーマーキングを備えた電子デバイス)」について紹介します。   発明の名称:Electronic device with a colored marking 出願人名:Apple Inc.  公開日:2025年6月19...

東レ特許訴訟で217億円勝訴 用途特許が生んだ知財判例の転機

2025年5月27日、知的財産高等裁判所は、東レの経口そう痒症改善薬「レミッチOD錠」(一般名:ナルフラフィン塩酸塩)をめぐる特許権侵害訴訟で、後発医薬品メーカーである沢井製薬および扶桑薬品工業に合計約217億6,000万円の損害賠償支払いを命じる判決を下しました 。東レ側は用途特許に関して権利を主張し、一審・東京地裁での棄却判決を不服として控訴。知財高裁は、後発品の製造販売が特許侵害に当たるとの...

Pixel 7が“闇スマホ”に!? 特許訴訟で日本販売ストップの衝撃

2025年6月、日本のスマートフォン市場を揺るがす衝撃的なニュースが駆け巡った。Googleの主力スマートフォン「Pixel 7」が、特許侵害を理由に日本国内で販売差し止めとなったのだ。この決定は、日本の特許庁および裁判所による正式な判断に基づくものであり、Googleにとっては大きな痛手であると同時に、日本のユーザーにとっても深刻な影響を及ぼしている。 中でもSNSを中心に広がったのが、「今使っ...

KB国民銀行が仕掛ける“銀行コイン”の衝撃 韓国金融に何が起きているのか

韓国の大手金融機関がデジタル通貨領域への進出を本格化している。2025年6月、韓国の四大商業銀行の一角を占めるKB国民銀行が、ステーブルコインに関連する複数の商標を出願したことが確認された。これにより、韓国国内における民間主導のデジタル通貨開発競争が新たな局面を迎えつつある。カカオバンクやハナ銀行といった他の主要金融機関もすでに関連動向を見せており、業界全体がブロックチェーンとWeb3技術への対応...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る