自社ブランド名のハッシュタグを無断で使われ商標権を侵害されたとして、京都市の企業がフリマアプリ「メルカリ」の出品者に表示の差し止めを求めた訴訟で、大阪地裁(杉浦正樹裁判長)が商標権侵害を認めたことをJ-CASTニュースは2021年10月13日次のように伝えている。
原告代理人によれば、ハッシュタグをめぐる商標権侵害の認定は異例だといい、「ブランド保護に資する判決だ」と意義を話す。
メルカリは取材に「出品した商品と関係のないタグ付けは、商品削除や利用制限の対象となる場合がある」と答える。
判決は2021年9月27日付。判決文によれば、原告はアパレル商品などの製造・販売を手掛ける「Wisteria Kyoto」、被告はメルカリでハンドメイド商品を中心にこれまで1000件以上の販売をしている主婦だ。
原告企業は、この主婦が自社の巾着型バッグブランド「シャルマントサック」のハッシュタグを用いて、自作商品を販売していたことを問題視した。
「【ivory × black dot】巾着ショルダー」と題して5500円で販売したこの商品(ページは現在削除済み)は、商品説明欄で「ハンドメイド品です」と記載していたものの、「#シャルマントサック」「#シャルマントサック風」などのハッシュタグを添えていた。
タグの直下には「好きの方にも…」と書かれており、同ブランドのファンに訴求する狙いがあったとみられる。J-CASTニュースが調べたところ、この自作バッグと類似するドット柄のシャルマントサックの商品が見つかった。
原告側は、(1)当該ハッシュタグはシャルマントサックの顧客吸引力を利用して、需要者を商品ページに誘引するものといえる(2)需要者がシャルマントサックの商品と誤認するなどして、原告企業の顧客が奪われる結果になる(3)多数の商品を1年以上にわたって販売しており、業として(編注:反復継続して)これを行っている――などと主張し、商標権侵害を訴えた。
一方の被告側は(1)ハンドメイド品と明記しているため誤解は生じない(2)ハッシュタグをつけており商標と同一の表示はしていない(3)パートタイム従業員としての勤務または主婦業に従事しており、その余暇を利用して趣味であるバッグを製作し販売していたにすぎず、業として販売していたものではない――などと請求棄却を求めていた。
杉浦裁判長は、「被告サイトへ当該利用者を誘導し、当該サイトに掲載された商品等の販売を促進する目的で行われるものといえる」などと判断し、被告の主張を退けて表示の差し止めを命じた。
原告側代理人の伊原友己弁護士は10月13日、J-CASTニュースの取材に「ブランド保護に資する判決だ」と話す。
ハッシュタグをめぐる商標権侵害の判決は「私が知る限り初めて」だという。メルカリをはじめとするプラットフォーマーは偽ブランド品など模倣品の取り締まりを強化しているが、「今後はこの判例を後ろ盾に対応を求められるようになったといえる」と意義を強調した。
メルカリのハッシュタグは、押下すると同じタグが付いた商品一覧を閲覧できる仕組みになっている。メルカリ公式サイトでは「ハッシュタグをつけることで、商品の閲覧数を上げることができ、検索にひっかかりやすくすることができる」「その商品の購入を検討している人の閲覧数が上がることにより、商品が売れる可能性が高まり、売上アップにつながります」と利点を紹介している。
メルカリの出品ページでも、商品説明欄の見本には「#○○」と書かれており、ハッシュタグの記載を推奨している。しかし利用者からは、無関係のタグを使った”検索スパム”行為が散見されるとして、SNS上では運営会社に対策を求める声が以前から少なくなかった。
法曹関係者が10月上旬にツイッターで、今回の判決文を共有すると大きな注目を集め、「これを機にメルカリにはブランドタグで全く違うブランドを入れて商品は類似品っていうのを一掃して欲しい」「なんならここから派生してハッシュタグ禁止でもいいくらい検索結果は汚染されている」といった反応が寄せられた。
メルカリ広報担当者に判決の見解を問うと、「虚偽の設定、または誤った情報を記載することを禁止行為としており、違反行為等を確認した場合には商品の削除や利用制限等、対応をしております」と説明し、「メルカリのハッシュタグ機能の利用につきましては、利用方法のご案内とあわせて、出品した商品と関係のないタグ付けは、商品削除や利用制限の対象となる場合があることも注意喚起しております」としている。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.j-cast.com/2021/10/13422439.html?p=2
https://ent.smt.docomo.ne.jp/article/12278926/2
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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