チョコレート菓子「たけのこの里」の立体商標登録 明治が特許庁の“拒絶”を覆していた

チョコレート菓子「たけのこの里」の立体商標登録 明治が特許庁の“拒絶”を覆していた


特許庁が、1979年に誕生した明治のチョコレート菓子「たけのこの里」の形状を立体商標として登録されたと、産経新聞グループの経済情報サイトSankeiBiz2021830日伝えている。これでパッケージや商品名とのセットでなくても、たけのこの形をしたチョコ菓子が単独で保護されるようになる。

姉妹品で75年生まれの「きのこの山」は2018年に登録済みで、冗談交じりで「国民を二分する」とまでいわれる人気商品の形状がそろって立体商標として認められたことになる。だが、その舞台裏には特許庁の拒絶を覆す“逆転劇”があった。

「立体商標制度が導入された1997年に『たけのこの里』含めてさまざまな立体形状を30件前後、出願しました。しかし、立体形状に記されている文字に識別力があって登録になったもの以外は、ほぼ全てが識別性がないとされ、拒絶となりました」明治の広報担当者は「たけのこの里」の苦難の歴史をこう語った。

たけのこを模したお菓子の形状が、他のお菓子と完全に別物だと認識されるだけの「識別力」を持たないという判断が、この時点で下っていたのだ。

商標とは自社の商品やサービスを他社と区別するために用いられるものだ。文字で表記できる商品名などが一般的だが、ロゴなどの図形や特徴的な形状も登録することが可能。


実は、ケンタッキーフライドチキンの店舗にあるカーネル・サンダース像も立体商標として保護されている。他にもメロディーにのせて社名を聞かせる久光製薬の「音」商標、ズボンの後ろポケットやブランド名が書かれたタグの位置を定めたエドウィンの「位置」商標などだが、生活環境にあふれている商標だからこそ、識別性の審査は厳しい。

「たけのこの里」のパッケージ(明治提供)

拒絶された後も、明治はあきらめずに挑戦を続けていた。20185月、特許庁に出願。このときも「商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ない」として拒絶されたのだが、『長年の使用により、一般の取引者や需要者が、その形だけでどの商品であるか認識できるような状態になっている』場合は例外的に認められる制度を利用して登録となった。

立体商標制度が導入された20年以上前とは状況が違う。「たけのこの里」の形状が、他のお菓子と完全に別物と認識されるだけの識別力を持たなかったとしても、消費者に愛され続けたロングセラー商品であったことが後押しになったのだ。

明治は関東と関西に住む1564歳の男女1246人に「たけのこの里」の形状のみを示して商品名を答えてもらう調査を行い、約9割が正しく回答した「認知率」調査の結果を特許庁に提出していた。正式に登録が決まったのは、出願から3年以上がたった先月のことだった。

明治の広報担当者は同社の知財戦略について、将来的なブランド展開を想定しつつ、第三者が先行して登録することを防ぐために複数の商品区分で広範囲にわたる商標登録などをしていると説明する。すでに「きのこの山」「たけのこの里」の文房具やおもちゃを展開しているように、ライセンスビジネスも視野に入れているという。

【オリジナル記事、引用元、参照】
https://www.sankeibiz.jp/business/photos/210830/bsm2108300700001-p1.html
https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol40/01_page3.html


Latest Posts 新着記事

テールゲート進化競争に日産も参戦――特許出願の深層

テールゲートは、ただ荷台を閉じる板ではなくなった ピックアップトラックや荷台付き車両の世界では、いまテールゲートが単なる「後ろのフタ」ではなくなっている。近年は荷台への乗り降りをしやすくしたり、長尺物を積みやすくしたり、作業台や荷物のストッパーとして使えたりと、テールゲートそのものが実用装備として進化している。そうした流れの中で、日産が出願した独自機構も、見た目の派手さより「どう使い勝手を増やすか...

特許で先手を打つVisionWave――AI知能システムの本当の争点

もはやカメラは、映像を残すだけの機械ではない カメラというと、私たちは今でも「撮るもの」「映すもの」という感覚で捉えがちだ。 防犯カメラなら記録、車載カメラなら状況把握、監視カメラなら後から映像を確認するためのもの。長い間、カメラの価値は“どれだけ鮮明に見えるか”で測られてきた。 だが近年、その前提が変わりつつある。 本当に重要なのは、映像を撮ることではなく、その映像から何を見つけ、どう判断し、ど...

ガスケット抜けもシリンダー歪みも防ぐ――ARM式特許技術の核心

ハイパワー化の壁は、いつも“見えない変形”として現れる チューニングの世界では、出力の数字は分かりやすい。 何馬力出たか、どのタービンを組んだか、どこまでブーストをかけたか。 けれど、本当に難しいのはそこではない。 高出力化したエンジンを、壊れずに回し続けられる状態へ持っていくことこそが、本当の勝負になる。 今回話題になっている「ARM式クローズドデッキ加工」は、まさにその領域の技術だ。Motor...

放熱材の常識を変えるか――トクヤマ特許のインパクト

派手ではないが、いま最も重要な材料テーマの一つ 半導体や電子機器の進化を語るとき、私たちはついチップの性能や処理速度、AI向け演算能力の話に目を奪われがちだ。だが、現実の製品開発では、優れた半導体を載せるだけでは足りない。発熱をどう逃がし、しかも安全に絶縁を保つかという、いわば“縁の下”の材料技術が、製品の信頼性や寿命、設計自由度を大きく左右している。PCB、つまりプリント基板向け放熱材の開発は、...

Cerebrasは特許でどこまで戦えるか――IPO前に問われる知財の実力

上場直前に問われるのは、売上だけでなく「守れる独自性」だ AI半導体スタートアップのCerebras Systemsは、2026年4月17日に米SECへForm S-1を提出し、NASDAQ上場を目指す姿勢を正式に示した。会社側の発表でも、Class A普通株のIPOに向けた登録届出書を提出したと明記している。足元ではAI半導体市場を引っ張るNVIDIAの時価総額が約5.1兆ドルに達しており、Ce...

“老舗の知財”は守りではない――ミツカンが示した攻めの活用法

今回の受賞は、食品会社の表彰以上の意味を持つ ミツカングループは、令和8年度の「知財功労賞」で特許庁長官表彰(知財活用企業〈特許〉)を受賞したと発表した。特許庁・経済産業省の公表でも、株式会社Mizkan Holdingsが特許庁長官表彰の受賞企業に含まれている。 このニュースは、一見すると「老舗食品企業が知財で表彰された」という穏やかな話に見える。だが実際には、かなり示唆的だ。なぜなら、知財功労...

半導体の未来はEUVだけで決まらない――湿式プロセス自動化の衝撃

半導体研究の現場で、いま静かに重要性を増しているもの 半導体の話題というと、私たちはつい最先端の回路線幅やEUV露光、AI向け先端チップの性能競争に目を奪われがちだ。だが、実際の製造や研究開発の現場を支えているのは、そうした華やかな工程だけではない。洗浄、エッチング、表面処理、現像、剥離といった、いわゆる湿式プロセスこそが、歩留まりや再現性、そして量産への橋渡しを左右する極めて重要な土台になってい...

mRNAの取り分をめぐる争いは終わらない――CureVac対モデルナの意味

いま起きているのは、後追いの訴訟ではなく“技術の清算”だ 独CureVacがモデルナを提訴したというニュースは、表面的にはコロナワクチンをめぐる特許紛争の新展開に見える。実際、報道によればCureVacはモデルナのSpikevaxが自社のmRNA技術を侵害しているとして、米国で訴えを起こし、売上に基づくロイヤルティ相当の損害賠償を求めている。今回の訴訟では、CureVacは8件の米国特許を主張して...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

大学発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る