編集局が選ぶ!ベストパテント大賞2024

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「編集局が選ぶ!ベストパテント大賞2024」大公開!

今年もこの季節がやってきました!+VISION編集部が厳選し、2024年を象徴する革新的な特許を選び抜いた「ベストパテント大賞2024」を発表します。

今回は、メルカリ、楽天、サムスンといった名だたる大手企業の特許が選出され、技術革新の最前線を一挙にご紹介。2025年の未来を見据える上で、ぜひ注目していただきたいラインナップです。

技術の進化を肌で感じ、新たな可能性を探る旅に出かけてみませんか?

メルカリハロ チャンスを逃さない、求人情報の自動化ソリューション

「必要な人材を、最速で確保したい企業」と「自分に合った仕事情報を、最適なタイミングで知りたい求職者」——この両者のニーズを同時に満たすのは、これまで難題とされてきました。

メルカリが開発した3つの特許技術(特許第7558618号、第7559282号、第7559283号)は、この課題を解決する新たな方法を提供します。「公開のタイミング管理」、「優先度に基づく情報公開」、「公開/終了の自動化」という3つの機能で、求人情報の柔軟な公開と効率的な管理を実現します。これにより、求職者が最適なタイミングで情報を受け取り、企業は必要な人材をスピーディーに獲得できるようになります。

今回は、これらの特許技術の内容を解説し、“待たせない求人情報”の秘密を深堀りします。

株式会社メルカリによる一連の3つの特許「第7559283号」「第7558618号」「第7559283号」は、求人情報の「公開タイミングの管理」、「求職者のグループ化」、および、「柔軟な条件変更機能」に関するものです。

これらの特許は、求人情報の公開時期や終了時期の自動管理、求職者ごとの優先度付けによる情報公開、及び募集人数が満たされない場合の条件変更提案といった機能を通じて、柔軟かつ効率的な求人情報の提供を実現するものです。

これにより、企業は求職者の特性や行動に応じた戦略的な求人管理が可能となり、求職者に対しても適切なタイミングで最適な情報を提示できる仕組みが提供されます。

これらの特許技術は、メルカリが提供するアプリ「メルカリハロ」に適用されています。

労働市場において、企業は求める人材を効率的に採用するために、求人情報を効果的に公開する必要があります。従来の求人情報の公開方法には、以下のような課題がありました。

1. 求人情報の一律な公開
■従来の求人プラットフォームでは、特定の日時に求人情報をすべての求職者に一斉に公開する方法が一般的でした。これにより、企業の求める人材がタイムリーに情報を得られないという問題が生じていました。

2. 応募者の属性や行動の考慮不足
■求職者は、スキル、経験、希望する勤務時間帯が異なりますが、従来の求人情報はすべての求職者に同一の内容が提示されていました。これにより、企業が必要とする求職者に情報が届かないケースが多発していました。

3. 人材不足時の柔軟な条件変更が困難
■募集人数が満たされない場合、企業は求人条件(賃金、勤務時間、雇用形態など)を変更する必要がありますが、これを手動で行うことは煩雑な作業でした。従来のシステムでは、条件変更が遅れ、必要な人材を確保できないことが課題でした。

4. 求人情報の公開終了管理の手間
■求人情報の公開期間が終了する際、従来の求人プラットフォームでは手動で求人情報を非公開にする必要がありました。企業がこれを忘れると、不要な求人が掲載され続け、ユーザーに混乱を招く可能性がありました。 これらの課題を解決するために、求人情報の管理を自動化し、求職者の属性や行動に応じた情報公開の仕組みが求められました。

課題の整理

(1) 公開時期の管理 (特許第7558618号, 特許第7559283号)
課題
求人情報を特定の求職者グループに対して「いつ公開するか」を制御する機能が必要です。これにより、求職者が最も求人情報を確認しやすいタイミングに情報を提供し、応募率を高めることができます。
従来の問題
■求職者の活動時間(例:日中の就職活動、夜間の副業希望者)を考慮せず、すべての求職者に同時に求人情報が公開されていました。
■特定の時間帯に求職者が求人情報を確認する確率が高いにもかかわらず、すべての情報が一斉に公開されるため、求職者が求人を見逃してしまうことが発生していました。

(2) 優先度の管理 (特許第7559282号)
課題
求職者のスキルや属性に基づいて、企業が望む人材に優先的に求人情報を提供する仕組みが求められます。これにより、企業は求める人材を迅速に確保することが可能になります。
従来の問題
■求人情報はすべての求職者に一斉に公開されるため、企業の求める人材(例:特定のスキルを持つ人)を効果的にターゲティングできませんでした。
■結果的に、求人情報が多数の不適切な応募者によって埋め尽くされ、企業の選考コストが増大するという課題がありました。

(3) 募集条件の柔軟な変更 (特許第7558618号)
課題
求人の応募状況が想定通りに進まない場合、賃金や勤務時間の条件変更を柔軟に行える仕組みが必要です。これにより、求職者の応募を促進し、速やかに募集人数を満たすことが可能になります。
従来の問題
■募集が想定どおり進まない場合、企業は求人条件を手動で変更し、変更後の求人情報を再度公開する必要がありました。
■しかし、企業はこの作業を迅速に実行することが難しく、応募率の低下を招く原因となっていました。

発明の目的

この発明の目的は、前述した、求人の公開タイミング、求職者の優先度付け、条件変更の自動提案という3つの主要な課題を解決することです。これにより、「メルカリハロ」では、企業が求める人材に対して効果的かつ柔軟に求人情報を提示することが可能となり、求職者の満足度と企業の採用効率を大幅に向上させることが可能となりました。

発明の詳細

(1) 特許第7558618号

【技術概要】
本発明は、ユーザグループごとに求人情報の公開時期を柔軟に制御する技術を提供するものです。企業は特定のタイミングで特定の求職者グループに求人情報を公開できるため、応募率の向上が期待できます。

【技術の特徴】
1. 求人情報の公開タイミングの設定 ■ 求職者グループごとに公開する時期を事前に指定可能。
■ 例えば、午前中に活動する求職者グループには午前10時に求人情報を公開し、夜に活動する求職者グループには夜18時に公開するような管理ができます。

2. 募集条件変更の提案
■ 募集人数が満たされない場合、求人条件(給与、勤務時間など)をシステムが自動的に提案し、条件の見直しを行います。

3. 図1:求人情報の公開スケジュールのイメージ図

求職者グループAには締切日の10日前に公開し、求職者グループBには5日前に公開する様子が示されています。これにより、異なる求職者グループに異なるタイミングで情報を提示することが可能です。もちろん、細かい公開時刻を設定することも可能です。

4. 図2:条件変更提案のフロー図

募集人数が満たされない場合、例えば「賃金を5%上昇させますか?」 などの変更提案が企業サーバに表示されます(S209)。

5. 図3:ユーザグループの選択画面

この図は、事業者が選択する求人募集画面を示しています。例えば、求人日、勤務時間、締切時間の設定、求人全体の募集人数、基本時給、公開設定などが事業者により設定されます。

6. 図4:グループごとの条件設定画面

この図は、選択したユーザグループに対して具体的な条件を設定する画面の一例を示しています。例えば、優先度の高いグループから順に、公開時期、募集人数、給与条件などを設定することができます。これにより、各グループに適した条件で求人情報を公開することが可能となります。

(2) 特許第7559282号

【技術概要】
本発明は、技術情報の公開において、求職者の属性(スキルや経験)に基づいて公開優先度を制御するものです。

【技術の特徴】

1. 優先度の設定
■ 企業は、求職者を複数のグループに分け、それぞれのグループに「高」、「中」、「低」などの優先度を設定することができます。
■ 例えば、スキルが高い求職者グループには優先度「高」を設定し、求人情報を他のグループよりも先に公開します。

2. 優先度に基づく求人情報の公開
■ 優先度の高い求職者には、他のグループよりも早く求人情報が公開されます。
■ これにより、優先度の高い人材が他社に先に取られることを防ぐことが可能です。

3. 図1:優先度に基づく情報公開のフロー

■優先度の高いグループは先に公開され、一定時間後に次のグループが公開されるフローチャートが示されています。

(3) 特許第7559283号

【技術概要】
本発明は、求人情報の「公開開始時期」と「公開終了時期」を自動的に管理する技術を提供するものです。

【技術の特徴】

1. 公開/終了のタイミング管理
■ 企業は、求人情報の公開開始時期と終了時期をあらかじめ指定することができます。
■ 例えば、求職者が特定の時間に活発に動く場合、そのタイミングに合わせて公開を開始し、公開期間が終了すると自動的に非公開にします。

2. 自動的な求人情報の停止
■ 公開終了時期が到来した場合、自動的に求人情報が非公開になります。これにより、企業が手動で情報を非公開にする作業が不要になります。

これら一連の特許の技術的意義としては、以下のようにまとめることができます。

1. 企業の採用管理の負担を削減
■これらの特許は、企業が求人情報の公開、終了、条件変更を自動的に管理する技術を提供しています。これにより、企業の採用担当者は日々の管理業務から解放され、業務の省力化が実現されます。

2. 求職者の行動に基づく最適な求人情報の提示
■求職者がアクセスするタイミングに応じて求人情報を最適なタイミングで提示する仕組みが提供されています。
■これにより、求職者が最も求人に応募しやすいタイミングで情報を受け取れるため、応募率が向上します。

3. 優先度を考慮した求人のターゲティング
■求人情報がスキルや属性に応じた求職者に最適化して提供されるため、企業は必要な人材を迅速に確保することが可能です。
■これにより、必要な人材を優先的にターゲティングする求人活動が可能となります。

4. 求人情報の一貫性と陳腐化の防止
■公開/終了時期の自動管理により、期限が過ぎた求人がそのまま掲載されるリスクが回避されます。
■自動的な公開/停止機能により、求人情報の一貫性が確保され、不要な情報が削除されるため、求職者は正確な求人情報を閲覧できます。

株式会社メルカリが提供する「メルカリハロ」に関するこれらの特許は、求人情報の公開管理、条件の変更提案、優先度制御、公開/終了の自動化という4つの要素を組み合わせることで、特に以下の2点において、企業と求職者の双方に利益をもたらすものです。

• 企業側は、求人情報の管理を自動化し、手作業を減らしてコストを削減できます。

• 求職者側は、最も適したタイミングで的確な情報を受け取れるため、求人に応募しやすくなります。

これらの技術によって、メルカリハロは、企業と求職者をマッチングするための最適なプラットフォームを実現しています。このような求人情報の効率的な管理技術は、今後も他の人材サービスにも応用が期待されます。

発明の名称

I情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置

出願番号

特願2023-201377号

特許番号

特許7558618号

出願日

2023年11月29日

登録日

2024年9月20日

審査請求日

2023年11月29日

出願人

株式会社メルカリ

発明者

圓城寺 博
宮原 麻未

国際特許分類

G06Q 10/1053

経過情報

発明の名称

情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置

出願番号

特願2024-129274号

特許番号

特許7559282号

出願日

2024年8月5日

登録日

2024年9月20日

審査請求日

2024年8月5日

出願人

株式会社メルカリ

発明者

圓城寺 博
宮原 麻未

国際特許分類

G06Q 10/1053

特願2023-201377号の分割出願

発明の名称

情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置

出願番号

特願2024-129275号

特許番号

特許7559283号

出願日

2024年8月5日

登録日

2024年9月20日

審査請求日

2024年8月5日

出願人

株式会社メルカリ

発明者

圓城寺 博
宮原 麻未

国際特許分類

G06Q 10/1053

特願2023-201377号の分割出願

楽天 見やすさは売りやすさ—オブジェクトの位置を自由自在に

「ライブコマース」という言葉を耳にしたことはありますか? 商品をライブ配信中に紹介し、その場で購入できる新しい購買スタイルで、特に中国では、1時間で数億円の売上を記録する配信者が話題になっています。

しかし、ライブコマースには「配信者の視点の問題」という技術的な課題があります。配信者は視聴者が見る映像とは異なり、カメラで撮影した映像を反転(鏡像)させた映像を確認するのが一般的です。これにより視聴者は直感的な操作が可能となりますが、字幕や購入ボタン(オブジェクト)も反転してしまい、配信者側は文字が読みにくくなるという問題が発生します。さらに、配信者が商品のポイントを指し示す際、視聴者が見る画面上の指の位置とズレが生じてしまうことがよく起こります。

この課題を解決するため、楽天が出願した特許「ライブ配信中に映像を表示する配信者端末、表示方法、および、プログラム」(特許第7583975号)が注目されています。この技術は、配信者が反転映像を確認しつつも、オブジェクトは反転せずに表示する仕組みを提供し、配信中にオブジェクトの大きさや位置を自由に変更できる柔軟な操作性を実現しています。

今回は、楽天の特許技術の概要を分かりやすく解説し、その技術がどのような課題を解決し、ライブコマースの未来にどのような影響を与えるのかを紹介します。

近年、「ライブコマース」と呼ばれる電子商取引が注目されています。このライブコマースとは、配信者が商品について紹介するライブ映像を配信し、そのライブ映像を視聴している視聴者が商品を購入できるという形態の電子商取引です。

ライブ配信は、配信者が一方通行で配信するのではなく、多くは視聴者とコメントなどで双方向のやりとりができるのが魅力です。

ライブコマースでは、この双方向の特徴を生かして、配信者(ライバーという)は商品を紹介するばかりでなく、コメントや質問に答えるなどして、さらに商品の魅力を伝えることで視聴者に商品の購買を促しています。

この時配信者は、視聴者からのコメントや商品と自分が視聴者にどう映っているかを確認する必要があります。さてこの配信者が見る映像ですが視聴者が見ている映像と同じものだと思いますか? じつは、ライブ映像を反転(鏡面反転)させた鏡像映像を表示するのが一般的なんだそうです。考えてみれば、自分の姿を見ようとしたら鏡を使いますものね。

カメラで撮影された映像は、自分ではなく第三者が見ているものなので、その映像を自分が見ると違和感を感じるようです。右手を上げれば映像に移っている自分は反対の手を上げますもの。

左右がごっちゃになってしまうんですね。なので自然の間隔を得やすくするため、ライブ映像を反転させた鏡像映像を表示しているのだそうです。

ライブコマースではライブ映像だけでなく、商品の特徴が記された字幕や購入ボタンなど(文字情報を含んだオブジェクト)が合成されることもあります。

その際、配信者端末の表示では、そのようなオブジェクトも反転されて表示されるため、配信者にとって、オブジェクトに含まれる文字が読みにくくなる問題が生じます。

この問題を解決するために、ライブ映像を反転させた後の鏡像映像に、オブジェクトを合成することも考えられますが、単純にライブ映像と同じ位置にオブジェクトを合成してしまうと、配信者がオブジェクトを指し示すような動作をした場合に、視聴者が視聴しているライブ画像におけるオブジェクトとは異なる位置を指してしまうこともあり得ます。

TVの番組内で「詳しい記事はこのQRコードを読み込んで・・・」のとき、演者さんがおそるおそる手で指し示すのをよく見ます。手の位置や方向がつかみづらそうですね。

この特許は、上述のような課題を解決するためのもので、配信者を適切に支援することのできる配信者端末、表示方法、および、プログラムを提供することを目的としています。

発明の目的

ライブコマースにおいて、

  • ライブ映像に字幕や購入ボタンなどのオブジェクトを合成するとき、ライブ映像を反転させた配信者用映像に、オブジェクトを反転することなく合成すること
  • 販売用のサーバに誘導する情報を付加したオブジェクト(例えば購入ボタン)をライブ映像に合成し、視聴者映像を視聴者端末に送信すること
  • 配信者用映像内に合成したオブジェクトに対して、配信者の操作(例えば、合成されたオブジェクトの大きさを変える、位置を移動する、形状、色、模様、明るさを変えるなど)を実現できる配信者端末と上記を表示することができる表示方法、上記を実行するプログラムを提供すること

を目的としています。

発明の詳細

発明の詳細を図を使って説明します。

図5は、配信者DIが配信者端末200でライブ配信をまさにしているところを表しています。

図6は、視聴者が視聴する配信用画像(視聴者映像)です。

図7は、視聴者映像にオブジェクトOJを合成した図です。

図8は、反転したライブ映像にオブジェクトを合成したときの配信者映像です。

図9は、配信者が合成したオブジェクトを端末に近づいてピンチアウト(2本指でオブジェクトOJを押した状態で、それらの指を開く操作)することでオブジェクトが大きくなったことを示す配信者映像です。図10はその操作を反映したことを示す視聴者映像です。

図11は、配信者が合成したオブジェクトを端末に近づいて、オブジェクトOJへのドラッグ操作(オブジェクトOJを指で押した状態で移動させる操作)をした時の配信者映像を示し、図12はその操作を反映したことを示す視聴者映像です。

上記を実現するプログラムのフローチャート(配信処理)を図13に示します。

  • S11 ライブ映像にオブジェクトを合成した視聴者映像を作ります。
  • S12 ライブ映像を反転した映像にオブジェクトを合成した配信者映像を作ります。
  • S13 S11とS12で作った映像をそれぞれに配信します。

次に

  • S14 配信者がオブジェクトに対して操作したかを判断します。
  • 操作しなければS11からS13を繰り返します。
  • 操作した場合、それがピンチ操作かドラッグ操作かを判断します。
  • S15 ピンチ操作ならば、オブジェクトの大きさを変更(S16)し、S11からS13を繰り返します。
  • S17 ドラッグ操作ならば、オブジェクトの位置を変更(S18)し、S11からS13を繰り返します。

ライブコマースにおけるライブ配信システムを説明します。

図14は、ライブ配信システム2の全体構成の模式図です。

インターネット900には、配信を管理する配信サーバ100、販売を管理する販売サーバ500、配信者に使用される配信者端末600、視聴者に使用される視聴者端末300が通信可能の状態につながっています。

図3は、配信サーバ100を説明するブロック図です。

  • 受信部110は、インターネットを介して配信者端末600や視聴者端末300から送られる種々の情報を受信します。
  • 送信部120は、視聴者端末300等に向けた種々の情報を、インターネットを介して送信します。
  • 記憶部130は、配信サーバ100における処理に必要な種々の情報、例えば視聴者のIDやパスワードなどを記憶しています。
  • 制御部140は、配信サーバ100全体を制御します。

図15は、販売サーバ500を説明するブロック図です。

  • 送受信部510は、インターネットを介して視聴者端末300との間で種々の情報、例えば視聴者端末300からのアクセスに応答して、商品の販売ページを視聴者端末へ送信します。
  • 記憶部520は、販売サーバにおける処理に必要な種々の情報、例えば販売する商品についての詳細情報、価格情報、及び、在庫情報や視聴者の個人情報(ID、氏名、住所、及び、クレジットカード番号等)を記憶します。
  • 制御部530は、販売サーバ500全体を制御します。
  • 販売処理部531は、商品の販売ページを閲覧した視聴者端末300(視聴者)からの操作に従って、商品の販売を確定します。

図16は、配信者端末600を説明するブロック図です。

  • 配信者端末600は、撮影部210と、送受信部220と、操作受付部230と、記憶部640と、制御部650と、表示部260で構成されています。
  • 撮影部210は、例えば、配信者端末200の内側に配置されたカメラであり、配信者を撮影し映像(図17)を出力します。

図17は、ライブコマースにおいて、商品PD、及び、配信者DIを含んだ視聴者のライブ映像を示します。

  • 送受信部220は、インターネット900を介した配信サーバ100や販売サーバ500との間で種々の情報を送受信します。
  • 例えば、視聴者用映像を配信サーバ100を介して視聴者端末300へ配信します。
  • 操作受付部230は、タッチパネルやポインティングデバイス(マウス等)であり、配信者からの各種の操作(ピンチアウトやドラッグなど)を受け付けます。
  • 記憶部640は、配信者端末600における処理に必要な種々の情報、例えばライブ映像等に合成するためのオブジェクトについての情報やオブジェクトの合成位置などのほかに、配信中に紹介する商品を購入するためのリンク情報を記憶します。
  • 制御部650は、付加部651、生成部251、配信部252、及び、変更部253を含んでいて、配信者端末600全体を制御します。
  • 生成部251は、撮影部210により撮影されているライブ映像内における所定の合成位置にオブジェクトを合成した視聴者用映像(図18)を生成します。
  • また同時に、生成部251は、ライブ映像を反転させた鏡像映像にオブジェクトを合成した配信者用映像を生成します。

図18は、図17の視聴者のライブ映像に、商品PDを説明するための字幕(バナー)であり、商品名や価格等の文字情報が含まれているオブジェクトOJ1や、購入ボタンであり「購入」の文字情報と、付加651によって付加されたリンク情報とが含まれているOJ2を合成した視聴者用映像です。

図19は、生成部251によって生成された、ライブ映像を反転させた鏡像映像にオブジェクトを合成した配信者用映像を表示した配信者端末を表しています。

  • 配信部252は、生成部251により生成された視聴者用映像を視聴者端末300に向けた配信のために配信サーバ100へ送信します。
  • 変更部253は、配信者用映像内に合成したオブジェクトに対して行った配信者からの操作(ピンチアウトやドラッグなど)に従って、ライブ映像及び鏡像映像に合成するオブジェクトの見た目(大きさや位置など)を変更します。
  • 付加部651は、記憶部640に記憶される特定のオブジェクト(一例として、購入ボタン)に、配信中に紹介されている商品のリンク情報を付加します。
  • 表示部260は、上述した生成部251等により生成された配信者用映像を表示します。

図20は、今まさにライブ配信している視聴者用端末300で、視聴者が商品を購入するために購入ボタン(オブジェクトOJ2)をタップしているところです。

視聴者がオブジェクトOJ2をタップ操作すると、視聴者端末300は、オブジェクトOJ2に付加されたリンク情報に従って、販売サーバ500へアクセスし、図21に示すような販売ページSPを表示部に表示します。図21は、視聴者端末300に表示された販売ページを表しています。

ライブコマースにおいて、

  • 鏡面映像(ライブ映像を反転した映像)の配信者用映像に配置するオブジェクトは反転しない状態で適切な位置に合成すること
  • 販売サーバなどに誘導する情報を付加したオブジェクトをライブ映像に合成すること
  • ライブ中に、配信者が合成したオブジェクトに変更を加えることができ、かつその変更を配信者と視聴者の映像に反映させることができること

を可能にします。

「自分の姿は自分で見ることが出来ない。」

右の眉毛についた綿毛を取ろうとしたとき、鏡を使えば上手に取り除くことが出来ますが、これがカメラで撮影した映像を使ったらどうでしょう。右眉に手を持っていくと映像の中の自分は反対の手で反対の眉に手を伸ばします。「ムム!」、綿毛のついている位置に親指と人差し指でを持っていきますが、動きが逆、あれあれ? どっちだ? こんな感じでカメラで撮影した映像では右と左がごっちゃになります。配信者映像が、ライブ映像を反転した映像する理由がわかりました。今まで考えもしませんでした。

ライブコマースは、中国で盛んなようで、「独身の日」などの大きなイベントでは1人のライバーが1時間で数億円の売り上げを上げるなどのニュースもききます。

一方、日本ではライブコマースは行われていますが、ニュースになるほどの盛り上がりは感じられません。

この特許権者である楽天グループ株式会社の「楽天市場」でもライブコマースが行われています。アーカイブで見た限りでは、配信者は説明にフリップやスケッチブックなどを使用しており、まだこの特許のオブジェクトを合成し、そのオブジェクトの大きさを変えたり、位置を変えたりは実現していないようです。

ライブコマースでは視聴者がいなくては話になりません。スーパーマーケットなどの実演販売でも人が集まらないこととには成果は上がりませんよね。

しかし、自宅にいながら買い物ができること、カタログなどの情報だけでなく、ライブで質問ができること、細かい商品の使い勝手が演者によって紹介されることなどで、購入のミスマッチが少なくなるでしょう。満足度も上がるのではないでしょうか。

さらにこのような特許が実用化し反映されれば、商品の魅力を引き上げることができたり、配信者の販売スキルに大きく頼らない実績があげられる可能性が高くなりそうです。

動画投稿が日常になってきた現在、私たちが普通にライブコマースで買い物をしたり、配信を始めたりする日がくるかもしれません。

発明の名称

ライブ配信中に映像を表示する配信者端末、表示方法、および、プログラム

出願番号

特願2024-500767(P2024-500767)

国際出願番号

PCT/JP2022/006174

国際公開番号

WO2023/157124

特許番号

特許第7583975号(P7583975)

出願日

令和4年2月16日(2022.2.16)

国際公開日

令和5年8月24日(2023.8.24)

登録日

令和6年11月6日(2024.11.6)

審査請求日

令和6年4月4日(2024.4.4)

出願人

楽天グループ株式会社

発明者

菊地 航

国際特許分類 H04N 21/854 (2011.01)

経過情報

・令和4年月16日に早期審査対象出願しました。拒絶査定が出ましたが、請求項の一部を補正し、意見書を提出、令和6年11月6日特許査定となりました。また、国際特許出願され令和5年8月24日に公開されています。

サムスン ピタッとフィット、ずっと快適。自動調整型ウェアラブルデバイス

ウェアラブルデバイスの進化は止まりませんが、「サイズが合わない」「脱落する」といった悩みは依然として多くのユーザーを困らせています。特に、スマートリングのような指輪型デバイスでは、装着感の不快さが課題となっていました。

これを解決するのが、今回ご紹介する「自動リサイズ機構」を備えたウェアラブルデバイスです。リングの内側に搭載された弾性部材とサポート部材が、装着者の指の太さや形状に応じて自動でサイズを調整します。これにより、ぴったりフィットする装着感と脱落しにくい安定性が両立されます。

この技術は、心拍センサーなどバイオメトリクス機能を備えたデバイスにも最適です。身体への密着度が高まれば、センサーの測定精度も向上するため、快適さだけでなく、健康管理にも大きなメリットをもたらします。

では、この「自動リサイズ機構」がどのような仕組みで実現されているのか、その技術的な仕掛けを詳しく見ていきましょう。

サムスン電子による10月に公開された特許出願は、ユーザーの体に合わせてサイズを調整できるウェアラブルデバイスの設計に焦点を当てています。このデバイスは、弾性部材を用いたリサイズ構造を特徴としており、ユーザーの体の形状やサイズに応じて変形することで、快適な装着感を提供します。具体的には、デバイスの第一表面に配置された弾性部材が、ユーザーの体の圧力に応じて部分的に移動し、フィット感を向上させる仕組みです。

ウェアラブルデバイスの機能性と快適性を両立させることを目指すことを目的としたこの発明について、詳細な内容をみていきましょう。

この発明は、ユーザーの体に合わせてサイズを調整できるウェアラブルデバイスの設計に焦点を当てています。このデバイスは、弾性部材を用いたリサイズ構造を特徴としており、ユーザーの体の形状やサイズに応じて変形することで、快適な装着感を提供します。具体的には、デバイスの第一表面に配置された弾性部材が、ユーザーの体の圧力に応じて部分的に移動し、フィット感を向上させる仕組みです。

背景技術

■ウェアラブルデバイスの普及:
近年、健康管理やフィットネスの目的でウェアラブルデバイスが広く普及しています。これらのデバイスは、ユーザーの身体データを収集し、健康状態をモニタリングするために使用されます。

■フィット感の重要性:
ウェアラブルデバイスは、ユーザーの体にしっかりとフィットすることが求められます。フィット感が悪いと、デバイスの機能が十分に発揮されず、ユーザーの快適さにも影響を与えます。

■サイズ調整の課題:
現在のウェアラブルデバイスは、ユーザーの体型やサイズに応じて調整することが難しい場合があります。特に、指輪やブレスレットなどの装着型デバイスでは、サイズ調整が重要な課題となっています。

発明の目的

■ユーザーの体に合わせたフィット感の提供:
本発明の目的は、ユーザーの体の形状やサイズに応じて、デバイスのサイズを調整できるウェアラブルデバイスを提供することです。これにより、デバイスの装着感を向上させ、ユーザーの快適さを確保します。

■リサイズ構造の実現:
この発明では、デバイスの第一表面に配置されたリサイズ構造を通じて、ユーザーの体の圧力に応じて部分的に移動可能な弾性部材を使用します。これにより、デバイスがユーザーの体にフィットしやすくなります。

■機能性と快適性の両立:
この発明は、デバイスの機能性を損なうことなく、快適な装着感を提供することを目指しています。これにより、ユーザーが日常的にデバイスを使用しやすくなります。

発明の詳細
本発明の詳細を、一部図面を参照しながら深堀りしていきます。

ネットワーク環境における電子デバイス101のシステム構造を示すブロック図です。技術的ポイントとして、プロセッサ120、メモリ130、センサーモジュール176、通信モジュール190などを含む多機能な装置であること、センサーモジュール176は、バイオメトリックセンサーや心拍センサーを搭載し、ユーザーの健康状態を監視することが可能であることです。

FIG. 2A~2D: デバイスの装着イメージと部品の説明図です。

デバイスはリング状のフレーム(111)とリサイズ機構(200)を備えています。リサイズ機構200は、弾性部材(210) とサポート部材(220) で構成され、指の厚さに応じてサイズを動的に調整します。弾性部材210は、指の圧力に応じて変形し、デバイスのサイズを変更します。

FIG. 3A~3C: クロスセクションビューとリサイズ機構の動作

フレーム(111) の第1表面(111a) と第2表面(111b) が示されています。リサイズ機構(200)は可動式の弾性部材(210) とサポート部材(220) からなります。第1表面(111a) に弾性部材(210)が配置されており、これによりユーザーの指の圧力がフレームに伝わり、サイズが調整されます。リサイズ機構の動作は、圧力が加わると弾性部材(210)が変形し、リサイズ機構が動きます。その後、圧力が解放されると弾性回復力によって元の形状に戻ります。

FIG. 4A~4B: ファスニング機構の構造

ファスニング機構230は複数のファスニング部材(231, 232, 233) で構成され、これらが独立して動くことで、よりきめ細かいリサイズ調整が可能です。ファスニング部材間のギャップ(g) により、弾性部材(210)が露出し、ユーザーの圧力が弾性部材に直接加わるようになっています。FIG. 4Bでは4つのファスニング部材(231, 232, 233, 234) が示されていますが、これによりさらに滑らかなリサイズ調整が可能です。

FIG. 5A~5B: 電子デバイスの平面図と他のデバイスとの接続

サポート構造(510) が示されています。ここにバッテリー(189) が収容され、外部の衝撃からも保護されます。FIG. 5Bでは、外部電子デバイス(50)との接続態様が示されており、充電やデータ転送が可能であることが示唆されています。

主要な技術項目を一覧にすると以下のとおりです。

項目

技術的特徴

フレーム(111)

指に装着する際のベース構造で、リング状に形成されます。

リサイズ機構(200)

フレームの第1表面(111a) に配置され、可動性を持つ機構です。

弾性部材(210)

指の形状に応じて変形する弾性要素(ゴムやシリコンが使用される場合がある)。

サポート部材(220)

弾性部材の動きをガイドし、変形を制御します。

ファスニング機構(230)

複数のファスニング部材(231, 232, 233, 234) により、リサイズ機構の調整機能を提供します。

センサーモジュール(176)

バイオメトリックセンサー (PPG方式の心拍センサーなど) を搭載し、ユーザーの健康状態を監視する機能を提供します。

バッテリー(189)

サポート構造(510)によって保護され、外部デバイスからの充電が可能です。

このウェアラブルデバイスは、ユーザーの指の太さに応じて自動的にサイズを調整するリサイズ機構(200) を搭載しています。弾性部材(210)、サポート部材(220)、ファスニング部材(230)の連携により、快適な装着感と安定性が提供されます。さらに、センサーモジュール(176)による健康管理機能や、バッテリー(189)の保護機構も組み込まれています。

ウェアラブルデバイスは我々にとって非常に身近な製品となります。本技術の適用例としては以下のような具体例が考えられます。

1.ウェアラブルデバイス全般
リサイズ構造を持つウェアラブルデバイスには全て応用できる可能性があります。特にフィットネスや健康管理に関連するデバイス(例:スマートリングやスマートウォッチ)に応用されるでしょう。

2.スマートジュエリー:
リサイズ機能を持つジュエリー(例:指輪やブレスレット)で、ユーザーの体に合わせてサイズを調整できる製品が考えられます。

3.医療機器:
患者の体にフィットするように設計された医療用デバイス(例:装具やセンサー付きのバンド)も、この技術を利用することができるでしょう。

発明の名称

Wearable device including resizing structure

出願番号

US18/437,348

公開番号

US20240345624A1

出願日

2023年11月29日

公開日

2024年10月17日

出願人

Samsung Electronics Co., Ltd.

発明者

Youngsang Jang(장용상)

国際特許分類 A44C9/0053 Finger-rings having special functions

経過情報

KR20240152170Aのファミリー