バレンタインと特許:チョコレートの未来を変える「Cold Extraction」技術


バレンタインデーが近づくと、街中に甘い香りが漂い、チョコレートが主役となる季節がやってきます。この時期、私たちはさまざまな種類のチョコレートを目にしますが、その裏には驚くべき技術革新が隠されていることをご存じでしょうか? 今回は、チョコレート製造の未来を切り開いた特許技術「Cold Extraction(コールドエクストラクション)」をご紹介します。この特許はスイスのOro de Cacao社が開発した技術で、日本を含む複数の国で特許が成立しています。

発明の名称:カカオ抽出物、カカオ製品、およびその製造方法
出願人:オーデーツェー リツェンツ アーゲー
特許番号:特許6655178号(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6655178/15/ja)

コールドエクストラクションとは?

「コールドエクストラクション」技術は、カカオ豆を焙煎せずに低温で加工することで、カカオ本来の香りや成分を最大限に引き出す製法です。この技術は、古代マヤ文明のカカオ加工方法に着想を得ており、以下のような特徴を持っています:

1.低温抽出プロセス

カカオ豆を焙煎せず、水を加えて低温で丁寧に粉砕します。この過程で、カカオ由来のココアパウダー、ココアバター、ココアアロマ、ココアエクストラクトなどの成分を抽出します。

2.苦味と酸味の抑制

高温処理を行わないため、カカオの苦味や酸味が抑えられ、よりマイルドでフルーティーな風味が実現します。このため、砂糖の使用量を最小限に抑えることが可能です。

3.成分の保持

ポリフェノールなどの健康成分が損なわれにくく、栄養価の高いチョコレートを製造できます。これにより、健康志向の消費者にも適した製品が提供されています。

特許技術の背景と応用

この技術は、スイスのチューリッヒ応用科学大学の研究者によって開発されました。特許技術の基盤となるのは、ワインやフルーツのアロマ抽出に関する研究で培われたノウハウです。古代マヤの石臼を参考にした低温抽出プロセスを採用することで、従来の焙煎工程では得られないカカオの繊細な香りを引き出すことに成功しました。

参考リンク)https://wlifejapan.com/2020/02/05/oro-de-cacao/

製品例:新ブランド「Tunmel(トゥンメル)」

この特許技術を採用したチョコレートブランド「Tunmel」は、江崎グリコ株式会社によって2024年12月にアジアで初めて展開されました。「Tunmel」は、以下のような製品ラインナップを提供しています:
• Tunmel ペルー81%
ペルー産カカオの華やかな香りを引き立てる薄いキャレ形状のチョコレート。
• Tunmel ドミニカ82%
ドミニカ産カカオの重厚でフルーティーな風味を楽しめる直方体形状。
• Tunmel ガーナ83%
ガーナ産カカオの濃厚な風味を引き出すブリリアントカット形状。
• Tunmel カカオセレクション
上記3種類を楽しめるアソートボックス。
参考リンク)http://www.ss-foodlabo.com/news/news_detail.php?id=1945

まとめ

「コールドエクストラクション」技術は、チョコレート製造の未来を切り開く革新的な特許技術です。この技術を採用したチョコレートは、カカオ本来の香りや風味を楽しめるだけでなく、健康志向の消費者にも適した選択肢となっています。今年のバレンタインデーには、この特許技術が生み出した特別なチョコレートを贈ってみてはいかがでしょうか?



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