生成AIは通販をどう変える!~事業者側のメリットは多いが利用者の満足をはたしてどれだけ生み出せるか


実はAI(人工知能)が誕生したのは60年以上前のことで、2022年11月に「ChatGPT」が発表され、日本でもにわかに生成AIブームとして身近な技術となり、インターネットとスマートフォンの登場以上のインパクトだと考えられている。

この「生成AI」、簡単いえば、サンプルデータから学習し新しいコンテンツを自動的、機械的に生み出す機械学習の手法で「ジェネレーティブ(Generative)AI」とも呼ばれている。最大の機能は、少ないデータから創造的なアウトプットを生み出せることで、十分なデータがない領域でも成果を出せる。例えば、文章、画像、音声、またはビデオの生成に活用が始まっている。

そして、ChatGPTが登場して1年と数カ月。この間は素のままのChatGPTを導入し、どんなことができるのかまずは試したいと導入する企業が多く出てきた。たとえば日清食品もそんな1社で社内の3000人がChatGPTを利用することで、早期に生成AIに触れる機会を作ったとされる。

年も新たに24年になるととにかくいちど使ってみるから一歩進み、自社データを取り込みたいという動きが始まっている。たとえば、自社データを活用することで、特定の業務で利用するチャットボットを作って業務に利用したいといったイメージだ。

生成AIは大量のデータを迅速に処理し、パターンを抽出する能力を持っているとは前述したが、これにより企業は短期間でデータ駆動の意思決定を行うことができ、市場の変化に素早く対応することが可能だ。まさに変化対応業の通販にとってはとても有効と考えられる。

中でもマーケティングの分野では、顧客の購買履歴やオンライン行動データを分析することで、ひとりひとりの顧客に最適なマーケティングプランを策定することなどもできる。

一方事業運営のメリットとして業務プロセスのクオリティを担保し、業務を標準化すること、特に、ルーチンワークや繰り返しの多いタスクにおいて効果を発揮しそうだ。たとえば、顧客対応においては、生成AIはFAQセクションの作成や顧客からの問い合わせへの自動応答を提供することが可能だ。これにより、事業者はサービスのクオリティを保ちながら、顧客対応の効率と速度を向上させることができる。

このように、生成AIの能力は、企業がスムーズかつ効率的に業務を遂行し、コスト削減にも貢献するなど、長期的にビジネスの成長と成功に貢献する可能性を持っていると考えられる。

さて、本題の「通販と生成AI」についてだが、ECサイト構築・通販システム構築・支援を主要事業とするエルテックスの23年度版調査によると、通販事業者においても約30%の企業がAIを導入済み、または導入を予定していると報告しており、積極的な活用がすでに始まっている。

その活用での取組みで多く見られるのが、ECにおける「AI接客」で主にチャットボットだ。チャットボットとは、「チャット+ロボット」の略語で、AIが搭載されたチャットボットはユーザーの意図を汲み取った高度な対応を行うことができることから、利用者の質疑応答や買い物のサポート等の対応ですでに体験済みの方も多いのではないだろうか。

「AI接客」は一例だが、このように「生成AI」は通販においてもその活用がすでに始まり、具体的に導入に至っていなくても事業者内部では研究、検討が盛んに行われてるいることに疑いはないだろう。

筆者はAIは専門ではない。いろんなビジネス本やセミナー、ネットからの薄っぺらな認識にすぎないが、AIの可能性、活用を考える立場にあって、そもそもAIとは何か、その得意、不得意といったような本質的理解の上で、正しい活用と間違った活用を説いていきたい。

そのひとつに、通販と言ってもその内容はさまざま、「生成AI」の活用を間違えないために自社の「通販」スタイルや個性、業務内容をこの機会に改めて確認することを薦める。

その上でになるが、「通販」の弱点のひとつは非対面が故に「こころ通う接客」の難しさにあると筆者は考察している。それは非常に合理的な「売り方=買い方」の一方で、多くの「常連さん=ファン」の獲得に繋がる「こころ通う接客」が長期的成長、存続に欠かせないということだ。

残る通販事業者と消えてゆく事業者の以外は究極ここにある。いわば通販事業者のブランディングは「接客」にあると考えている。そんな視点をして、「生成AI」は事業運営の効率化や、人手不足や基本サービス品質の均一化、24時間対応、多言語対応、顧客情報収集などにはおおいにひと以上の働きを発揮することは確かだが、「こころ通う接客」には不向きと看ている。


ライター

渡部茂夫

SHIGEO WATANABE

マーケティングデザイナー、team-Aプロジェクト代表

通販大手千趣会、東京テレビランドを経て2006年独立、“販売と商品の相性” を目線に幅広くダイレクトマーケティングソリューション業務・コンサルティングに従事。 通販業界はもとより広く流通業界及びその周辺分野に広いネットワークを持つ。6次産業化プランナー、機能性表示食品届出指導員。通販検定テキスト、ネットメディアなどの執筆を行う。トレッキングと食べ歩き・ワインが趣味。岡山県生まれ。




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