12月に公開されたAppleの特許出願:ついにApple公式のバンカーリングか?


今回のコラムは、2023年12月7日に公開されたAppleの特許出願のうち、iPhoneのMagSafeを用いたバンカーリングの発明です。
https://patents.google.com/patent/US20230396280A1

MagSafeを用いたバンカーリング(スマホリング)は珍しくないが…

MagSafeを用いたバンカーリングは、iPhoneなどのMagSafe対応デバイスに磁力で取り付けるリング型のアクセサリーです。このリングは持ちやすさを向上させ、デバイスの落下防止に役立ちます。また、スタンドとしても機能し、視聴やビデオ通話に便利です。この種のアクセサリーは珍しくなく、多くのメーカーから様々なデザインや機能を持つ製品が発売されています。

Appleがバンカーリングを開発する意味

iPhoneなどのスマートフォンは、技術的およびデザイン的な面での最近の改善により、コンピュータとしてのパワーや有用性が飛躍的に進歩しています。これらの携帯可能なデバイスは、すでに大型で持ち運びしにくい他の電子デバイス、例えばラップトップPC、スマートテレビ、カーナビなどのライバルといえる存在となりました。このような場合、ユーザーはこれらの他の電子デバイスをスマートフォンなどの携帯デバイスに完全に置き換えるか、または個人の好みに応じて2つのデバイスを交換可能に使用することを考えるかもしれません。
他方、携帯デバイスを他の電子デバイスと協力して使用することを考える場合もあります。このような相互運用の場合、携帯デバイスを他の電子デバイスの近く、またはそのそばにアクセスしやすく、手の届く、見やすい位置に安全に配置することが機能的および人間工学的に有益であることは言うまでもないことでしょう。このような利便性は、特にユーザーが静止した状態(例えば座っているときなど)で長時間電子デバイスを操作するときに有用です。
このような課題から、Appleは、他の電子デバイスと相互に組み合わせることを考慮したバンカーリングを発明し、特許出願しました。

リングと併設して固定用の爪が用意されている

例えばiPhoneとラップトップPCとを相互運用する例として、iPhoneをwebカメラとして使用する場合などが考えられます。ラップトップPCの内蔵カメラの性能よりも、iPhoneのカメラのほうが高性能な場合や、被写体の映る角度や向きを自由に変えたい場合などに有用で、webミーティングなどの場でこのような使い方をしている例はしばしばみられます。
図面を参照しますと、本発明は以下のような構成のバンカーリングとなります。

通常のバンカーリングに備わっているリングは図2Eの214にあたりますが、この横に爪206が出せるようになっています。この爪は、例えばラップトップPCなどにひっかけるために使用されるものです。

上図のように、ラップトップPCの画面上部305に、固定用爪をひっかけることで、iPhoneを外部カメラとして固定することができるというわけです。
バンカーリングのリング部分を排除して、固定用爪のみの構成とした変形例も示されています。

Belkinとの共同開発ですでに製品化されている

本発明は、すでに商品化されて販売がされており、「Belkin3-in-1連携カメラマウント」としてAmazonなどで購入することができます。

https://amzn.to/48mQez3

ちょっと値段は高めですが、AppleとBelkinとの共同開発ということで、デザイン的にも非常に洗練された印象を受けます。iPhoneユーザーは導入を検討してみてはいかがでしょうか。


ライター

+VISION編集部

普段からメディアを運営する上で、特許活用やマーケティング、商品開発に関する情報に触れる機会が多い編集スタッフが順に気になったテーマで執筆しています。

好きなテーマは、#特許 #IT #AIなど新しいもが多めです。




Latest Posts 新着記事

「肌は『足す』だけでは整わない――ナリス化粧品の新特許が示す角層研究の現在地」

化粧品の進化は、派手な新成分だけで起きるわけではない 化粧品業界のニュースというと、どうしても美白、シワ改善、ハリ、うるおいといった分かりやすい言葉が前面に出やすい。消費者にとっても、「何を与えるか」「どんな機能を足すか」は理解しやすいからだ。だが、肌の美しさは、単に何かを塗り重ねれば成立するものではない。むしろ近年あらためて注目されているのは、肌の最も外側にある角層が、どのように整い、どのように...

「タイヤは“黒い丸”のままでいいのか――フォード発光タイヤ特許が映す、クルマ個性化の新段階」

クルマの個性化は、ついにタイヤにまで及び始めた クルマのカスタマイズといえば、これまではボディカラー、ホイール、ライト、内装、エアロパーツといった領域が主役だった。どれも車体そのもの、あるいは車体に近い部分の表現であり、タイヤはどちらかといえば性能や安全性を担う“黒子”だった。ところが、その常識を少し揺さぶるニュースが出てきた。フォードが、発光するサイドウォールを備えたタイヤに関する特許を取得した...

「猛暑対策は『我慢』から『設計』へ――特許取得の冷却シリーズが示す新常識」

  もはや日本の夏は“季節”ではなくリスクになった 日本の夏は、すでに「少し暑い季節」ではない。 屋外で働く人にとっては体力を奪う労働環境であり、通勤する人にとっては日々の消耗そのものだ。子どもや高齢者、さらにペットにとっては、体調不良どころか命に関わるリスクに直結することも珍しくない。 そう考えると、猛暑対策グッズの進化は、単なる季節商品の話では済まされない。 いま求められているのは、「暑いから...

「RAGだけでは足りない――『chai+』が示すFAQ型AIの新たな価値」

企業向けAIチャットボットは、いま転換点にある 法人向けAIチャットボットの議論は、この1年ほどでかなり変わった。少し前までは、「生成AIで自然な文章が返る」「社内文書を読み込ませれば答えてくれる」といった点が注目された。だが企業現場で本当に問われているのは、流暢さではない。間違えずに答えられるか、そして業務に組み込めるかである。 その意味で、法人向けRAG型AIチャットボット「chai+」が、特...

3月に出願公開されたAppleの新技術〜バイオメカニクスに基づくモーションマッピング〜

はじめに 空間コンピューティング(XR)のUI設計において、最も困難な課題の一つは「ユーザーの物理的な動き」と「仮想空間の操作」の間のギャップを埋めることです。Appleが公開した特許出願「US 2026/0086652 A1」は、人間の解剖学的制約を逆手に取り、数学的に「操作の揺らぎ」を排除する高度なマッピング手法を提案しています。   発明の名称: MOTION MAPPING FO...

「顔認証は“門番の代わり”ではない――KIDSCALL特許取得が示す保育DXの次の競争軸」

保育現場の負担は、想像以上に細かく、重い 保育現場の課題というと、多くの人は人手不足や安全管理、あるいは保育士の処遇改善といった大きなテーマを思い浮かべる。もちろんそれらは重要だ。だが、実際の現場を支配している負担の多くは、もっと細かく、もっと断続的なものでもある。 夕方のお迎え時間を思い浮かべれば分かりやすい。インターホンが鳴る。職員がモニターを確認する。マスク越しの顔や、たまに来る祖父母・親族...

「防錆塗料はここまで進化した――『水性ローバルONE』が変える現場の常識」

防錆の世界で起きているのは、小さな改良ではない 塗料の話は、一般にはあまり派手なニュースとして扱われない。 だが、社会インフラや工場設備、鋼構造物の維持管理に関わる人にとって、塗料の進化はコストや安全性、環境対応、施工現場の働き方を左右する重要なテーマである。とりわけ鉄を守る防錆技術は、橋梁、プラント、設備保全の世界では、見えないが極めて本質的な基盤だ。 今回のローバルの新製品「水性ローバルONE...

「ゲームの自由は、どこまで囲い込めるのか――任天堂特許拒絶が映す知財戦略の難しさ」

それは「敗北」ではなく、まずは黄信号である 任天堂とポケモン社が保有していた、いわゆる「キャラクターを召喚して戦わせる」米国特許について、米国特許商標庁(USPTO)が非最終の拒絶を通知した。対象は米国特許 US12,403,397 B2 で、USPTO長官が2025年11月に職権で再審査を命じた後、2026年3月のオフィスアクションで全26請求項について拒絶理由が示された、という流れである。これ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る