ディズニー100年間のイノベーションと特許の旅


2023年、ウォルト・ディズニー・カンパニーは創立から100周年を迎え、この節目に際し、世界中のディズニーパークで特別な祝賀行事が催された。

ディズニーといえばエンターテイメント業界のパイオニアとして、数多くの革新的な技術と創造的なコンテンツを生み出してきた。これらの一部は特許としても保護され、ディズニーの成長と独自の魅力を支えている。

ディズニーの知的財産の中でも特に注目に値するのが、”Audio-Animatronics”技術に関連する特許である。この技術は、ウォルト・ディズニー自身が開発に関与し、1964年に特許取得されたものだ。

Audio-Animatronicsは、ロボティクスと音声技術を組み合わせて動くアニマルやキャラクターを作成する技術であり、ディズニーパークのアトラクションにおける重要な要素となっている。

この特許は、人形やアニマルの動きを音声信号と同期させる技術を明らかにしたものとなっている。この技術により、人形は話す、歌う、そして動くことができ、それによって観客にリアルな体験を提供する。この特許は、ディズニーが提供する多くのアトラクションの基盤となっており、ディズニーの魅力的なストーリーテリングと観客とのエンゲージメントを可能にしているのである。

アトラクション「魅惑のチキルーム」は、1963年にディズニーランドでオープンした世界初のAudio-Animatronicsを用いたアトラクションであり、Audio-Animatronicsで動く鳥や花たちが音楽に合わせて歌い踊るショーが行われた。

2020年にはロボットの目の動きのシステムを発表。ロボットが人間と目が合ったときに、まるで生きているかのような信じられないほどのリアルな目の動きを実現した。

こちらもオーディオアニマトロニクスに応用され、これによりキャラクターが人の動きに反応して視線を移動することが可能となる。このシステムの拡張性は高く、将来的には更にリアルな動きや対話型のショーなど、さまざまなアプリケーションに応用することが考えられる。

Audio-Animatronics技術は、ディズニーのアトラクションの魅力を高め、観客に独自の体験を提供することで、ディズニーのブランド価値を今なお向上させている。これにより、ディズニーはエンターテイメント業界でのリーダーシップを維持し、新しい技術と創造的なコンテンツを続けて開発することができる。

これからもディズニーは、革新的な技術と創造的なコンテンツを通じて、エンターテイメント業界をリードし、そして新たな知的財産と特許を通じてさらなる成功と驚きを創造し続けるであろう。


ライター

+VISION編集部

普段からメディアを運営する上で、特許活用やマーケティング、商品開発に関する情報に触れる機会が多い編集スタッフが順に気になったテーマで執筆しています。

好きなテーマは、#特許 #IT #AIなど新しいもが多めです。




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