4月になりました。学校も会社も行政も新年度。成人年齢も18歳となります。 どんなスタートも緊張と期待でのスタートです。中でもコロナ禍で学生生活を2年過ごし、働き方も大きく変化し続けるこの時期の新社会人一年生。また新年度から移動などによる新たな職場。新年度はストレスもいっぱいです。皆さん頑張ってください!
そんな新生活、環境の変化では心身ともに変調を抱えることも少なくないのでは。中でも女性が抱える健康課題はひとりひとりにとってはとてもデリケートなストレスを抱えることも多いと言われています。
そんな女性特有の健康課題を解決することを意味する「フェムテック」をご存知ですか。フェムテック(Fem Tech)」とは女性特有の健康課題を解決するテクノロジーや、それを使った製品・サービスのこと。女性を意味するフィメール(Female)とテクノロジー(Technology)を組み合わせてつくられたもので、デンマーク出身の女性起業家 イダ・ティンが用いたのが最初だといわれており、2021年には新語・流行語大賞にもフェムテックはノミネートされました。
製品やサービスの例として挙げられるのは、生理痛を改善する器具や月経周期を予測するアプリやなどで、一般的には月経、不妊・妊活・妊娠・産後、ウェルネス、セクシャルウェルネス、更年期など女性特有の健康課題支援製品・サービス。従来光が当たりにくかったが、テクノロジーの発達や女性起業家の増加などが後押しし、また女性が声をあげやすい社会になってきたことや、テクノロジーの進化が重なり急速にその動きが拡がってきています。
フェムテックの草分け的サービスである生理日予測アプリ「ルナルナ」が2000年にスタートし、最近ではベンチャー企業だけでなく大手企業もフェムテックに注目しており、政府(経済産業省)も補助金を拠出する実証実験を開始するなど、フェムテック市場はこれからますます拡大すると考えられています。
具体的には昨年2021年3月8日の国際女性デーに合わせてGUが発売したのが吸水ショーツ。それまでも吸水ショーツを扱う企業はありましたが、おおよその価格帯は4000〜6000円台で、それに対して、GUは1490円(税込)という半額以下の価格で販売し、興味を持っていたけど手が出せていなかった人を一気に獲得したようです。
特にお母さん世代に莫大にヒットし、その結果「フェムテック」が2021年のトレンドになったと言えるでしょう。機能性はもちろん、繰り返し使えて今のサスティナブルにもマッチしていることもポイントです。
こうしたフェムテック商品では他にもヒット商品が数々生まれている。3COINSの「吸水型ショーツ」は1200円(税別)、ユニクロは「フェムケアニーズにも寄り添うインナーウエア」としてラインナップ。そのほかフェムテック事業に取り組むBe-A Japanは2020年のスタートアップ企業としてクラウドファンディングで1憶円を調達。fermata株式会社はウェルネス課題専門に取り組む2019年スタートアップの会社でフェムテック専門ECサイトを運営している。帝人はフェムテック市場に向けた善玉菌サプリメントの販売を開始する。
この女性特有の健康課題対応の商品、ここでも当然それらの機能価値の進化のそのアイデア(特許)に高い評価が寄せられているものもたくさんあります。
例えばユニクロのワイアレスブラ、カップ自体が伸び縮みしひとりひとりの胸の形にピッタリフィット(特許第6700541号)。また、先出の株式会社Bé-A Japanの代表的アイテム「ベア シグネチャー ショーツ」は超吸水機能で特許取得(特許第6725958号)。先の「ルナルナ」は生理日予測プログラム(特許第5998307号)でのアプリです。
2021年はGUが起爆材となって「フェムテック・マーケティング」元年。今まで「仕方がない」「どうにもならない」と多くの女性たちがガマンしていた悩みや不安への解決策が提示されようとする取組みで、Fem tech(フェムテック) という新しい産業の誕生ともいえるのではと見ています。
にわかに広まるフェムテック・マーケティング、ここで押さえておきたいポイントとしては、①機能価値MD(マーチャンダイジング)には新たなアイデア=発明はかかせない、いわゆるモノまずありき。②フェムテック商品の広告表現では薬機法に抵触する可能性にチェックは必須。例えば現時点では吸水ショーツは特定の品質基準が設定されていない「雑品」に分類されるため、直接的な広告表現は出来ないなど。③フェムテック商品、いわゆるお悩み商品のマーケティングではネットを中心とした通販が最適だ。
フェムテックで企業が変わり、社会が変わり、そのマーケティングも変わる。わたしは長く女性向けの総合通販会社にいたこともあって、女性の日常向けの商品開発の経験もあり、「フェムテック市場」に注目がされている昨今の状況はまだ始まったばかりで今後も注視してまいります。
ライター
渡部茂夫
SHIGEO WATANABE
マーケティングデザイナー、team-Aプロジェクト代表
通販大手千趣会、東京テレビランドを経て2006年独立、“販売と商品の相性” を目線に幅広くダイレクトマーケティングソリューション業務・コンサルティングに従事。 通販業界はもとより広く流通業界及びその周辺分野に広いネットワークを持つ。6次産業化プランナー、機能性表示食品届出指導員。通販検定テキスト、ネットメディアなどの執筆を行う。トレッキングと食べ歩き・ワインが趣味。岡山県生まれ。