株式会社タミヤのミニ四駆®の知財ミックス事例


皆さん、こんにちは、弁理士の杉浦です。

もうすぐ夏休みですね。大人は夏休みがありませが、子供は7月下旬から8月末くらいまで夏休み期間です。皆さん、子供の頃、夏休みは何をして遊びましたか?私も色々しましたが、特にハマったのがミニ四駆®です(夏休みじゃなくても、はまっていましたが(笑))。確か夏休みなると家の近くでミニ四駆®の大会があって、それに参加したのを今でもよく覚えております。そんなことを思い出したので、今回はそんなミニ四駆®の知的財産(知財ミックス事例)についてご紹介します。

商標

まずは、ミニ四駆というのは株式会社タミヤの登録商標です。

■登録番号 第2168392号
■商標権者 株式会社タミヤ

見ての通り、これが登録されている商標ですが、昔は二段書きで登録していたのですね。二段書きとは、上段をミニ四駆、下段をMINI4×4とする構成です。

意匠

次に意匠登録(デザイン登録)です。

■意匠登録第1282007号
■意匠権者 株式会社タミヤ

物品は「レーシングカーおもちゃ用シャーシ」として保護されておりました。現在は、存続期間満了により抹消されております。

特許

最後に特許です。

■特許第4563193号
■発明の名称 模型自動車

このタミヤの特許は、2005年1月21日に出願され現在もまだ権利存続しているということです。

おそらく、存続期間満了日(2025/01/21) まで更新すると思われます。それだけ、ミニ四駆の技術として重要な特許だということです。

この特許発明は、ミニ四駆の機構に関するものですが、両軸モータをミッドシップ型に配設した模型自動車に関して、シャーシをセンターユニット、フロントユニット、リアユニットの3分割構造として交換可能な構造としつつ、同時に、3分割構造であっても高速走行時に各ギアの噛み合いの精度が低下しない、より剛性の高いシャーシ構造を備える模型自動車を提供することを目的としているようです(段落0014)。そのための構成について特許で保護しているようです。

皆さんどうでしたでしょうか?大ヒット商品「ミニ四駆®」の知財ミックス事例をご紹介させていただきましたが、単純に特許、意匠、商標の3つを取得するだけではなく、その3つの守備範囲を理解した上でどの法律でどこの部分を保護するのか、これが重要です。

是非、みなさんも、自社製品を多方面から保護してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
ヒット書品はこうして生まれた!ヒット商品を支えた知的財産権 日本弁理士会


ライター

杉浦 健文

パテ兄

特許事務所経営とスタートアップ企業経営の二刀流。

2018年に自らが権利取得に携わった特許技術を、日本の大手IT企業に数千万円で売却するプロジェクトに関わり、その経験をもとに起業。 株式会社白紙とロックの取締役としては、独自のプロダクト開発とそのコア技術の特許取得までを担当し、その特許は国際申請にて米国でも権利を取得、米国にて先行してローンチを果たす。 その後、複数の日本メディアでも取り上げられる。

弁理士としてはスタートアップから大手企業はもちろん、民間企業だけではなく、主婦や個人発明家、大学、公的機関など『発明者の気持ち、事業家の立場』になり、自らの起業経験を生かした「単なる申請業務だけでない、オリジナル性の高い知財コンサル」まで行っている。

■日本弁理士会所属(2018年特許庁審判実務者研究会メンバー)
■株式会社白紙とロック取締役
■知的財産事務所エボリクス代表
■パテント系Youtuber 




Latest Posts 新着記事

アレルギー治療の未来を変える一歩:物質特許が日本で成立

2025年、日本の特許庁がついに、ある画期的なアレルギーワクチンに対する「物質特許」を正式に認めた。このニュースは、製薬業界だけでなく、慢性的なアレルギーに悩まされている多くの患者たちにも希望の光となった。これまで「対症療法」に留まってきたアレルギー治療の歴史において、根本治療への転換点となり得る出来事である。 ■ 特許の意義:なぜ「物質特許」が重要なのか 医薬品における特許にはいくつかの種類が存...

特許分析×データサイエンス:次世代知財戦略の幕開け

世界の特許分析市場は、2031年までに2715.9百万米ドル(約4100億円)に達し、年平均成長率(CAGR)は13%にのぼると予測されている。この成長率は、単なる知財部門の拡大ではなく、特許情報が企業経営全体に戦略的に活用され始めていることを如実に物語っている。 ■ 特許分析とは:知財の“使い方”が問われる時代 「特許分析」とは、国内外の特許文献に記載された情報を体系的に収集・可視化し、企業の意...

オープンイノベーションの旗手に——三菱電機、「知財功労賞」で国家からの高評価

2025年春、三菱電機株式会社が特許庁より「知財功労賞」の特許庁長官表彰を受賞した。この表彰は、知的財産の創造・保護・活用において模範となる企業や個人を称えるものであり、日本における知財戦略の高度化に貢献する重要な制度だ。三菱電機の今回の受賞は、同社が推進するオープンイノベーションを中心とした知財活動の成果が高く評価された結果であり、製造業が直面する激動の環境において、一つの指標を示したとも言える...

福島市×富士フイルム、罹災証明簡素化システムを特許出願──災害対応DXの新モデル

地震、台風、水害、火山噴火──自然災害が頻発する日本において、行政が担う災害対応業務の中でも、被災者の生活再建に直結するものが「罹災証明書」の発行である。罹災証明書は、住宅などの被害状況を確認し、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などの判定を行政が下し、それを被災者に文書で交付するものである。これにより被災者は、公的支援や保険金の請求などが可能になる。しかし、その発行には時間と人的コストが...

ペロブスカイト特許競争が激化 日本の技術立国に試練

近年、次世代の太陽電池として注目されている「ペロブスカイト太陽電池」。軽量・柔軟・低コスト・高効率という四拍子揃ったこの技術は、従来のシリコン型太陽電池を補完あるいは置き換える存在として、世界中の研究機関・企業から熱い視線を浴びている。その中でも、中国勢の特許出願ラッシュが著しく、知財戦略の面でも日本は岐路に立たされている。 ペロブスカイト太陽電池とは何か ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト...

IBMの特許王国を支える“ミドルの力”——革新を続ける管理職育成の真髄

2020年、IBM(International Business Machines Corporation)は米国特許商標庁(USPTO)から9,130件の特許を取得し、28年連続で特許取得件数世界一の座を守った。これはApple(2,792件)、Microsoft(2,905件)、Google(1,817件)などの名だたるテックジャイアントを大きく引き離す数字であり、IBMがいかに継続的にイノベ...

メガネの新常識、「Zoff SNAP GRIP」登場──全国発売開始、究極のフィット感を実現

2025年5月16日、国内大手アイウェアブランド「Zoff(ゾフ)」は、新製品「Zoff SNAP GRIP(ゾフ・スナップグリップ)」を全国のZoff店舗およびオンラインストアにて発売した。この新商品は、Zoffが“究極の快適性”を追求した末に生み出した革新的なメガネフレームであり、現在特許出願中の新構造「スナップグリップ機構」を搭載している点が最大の特徴だ。 Zoffは、これまでにもリーズナブ...

三菱ケミカルG、CATLと特許契約締結 電解液技術をグローバル展開へ

2025年5月、三菱ケミカルグループ(以下、三菱ケミカルG)は、世界最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーである中国・寧徳時代新能源科技(CATL)に対し、リチウムイオン電池に使用される電解液の特許技術をライセンス供与する契約を締結したと発表した。電池材料業界における知財戦略の新たな局面を象徴するこの一件は、単なるライセンス供与という枠にとどまらず、日中間のEV産業連携、そして将来のバッテリ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る