バルミューダとカレーソース


バルミューダとは

バルミューダは、2003年にバルミューダデザインという社名で、世界一かっこいい製品を作りたいという信念のもと、代表の寺尾玄氏が創業した会社です。

当初、寺尾玄はX-Baseというパソコンの周辺機器を開発しました。X-Baseは寺尾玄が自ら町工場に行き、アルミニウムとステンレスとのパーツを組み合わせて作り出したもので、パソコンをタイピングしやすいように傾斜させつつ、放熱効果を向上させるようにしたものです。そこから、寺尾玄氏、バルミューダは革新的な発明を数多く世に送り出し、世界各国でバリュミューダ製品を発売するまでに成長しました。

そしてついに、2020年、バルミューダは東京証券取引所マザーズ市場に上場し、日本の株式市場に歴史を刻みました。近年の躍進といえば、2021年にオリジナルのスマートフォン、BALMUDA Phoneを発売しております。

カレーソース

ところで、バルミューダって家電製品だけを発売していると思っていませんか?

実は、カレーソースも発売しているのですね。バルミューダのカレーソースは、老舗カレー店デリーとコラボした商品です。内容は、さらさら系で辛口だそうです。もともと、このカレーソースはバルミューダの炊飯器「BALMUDA The Gohan」で炊いたご飯に合うように開発されたようです。一見、単に炊飯器のついでに作ったものかと思いきや、かなり力を入れて開発したカレーソースのようですね。

気になるのは、このカレー(BALMUDA The Curry)に関する知的財産ですが、バルミューダは、きちんとBALMUDA The Curryについて商標登録をしていました。

【BALMUDA The Curry】
第29類
バルミューダ株式会社
商標登録第6016400号

気になる特許です。しかし、今見る限りでは、バルミューダは特許出願していないようでした。

ここで、そもそもカレーソースって特許とれるのって思われる方もいるかもしれません。実はカレーソースについても特許取得することが可能です。バルミューダではありませんが、参考までに、ハウス食品グループ本社株式会社が以下のような特許取得しております。

【特許第5865188号】
カレーソース、当該カレーソースを調製するための基材、及び当該基材の製造方法

この本発明は良好な燻製味を有するカレーソースを提供することを目的とするようです。

少し話はそれましたが、なぜバルミューダがカレーソースについても、ちゃんと商標を取得しているのか。それは他人から商標権侵害われないようにすることや、他社模倣品を防ぐこともそうですが、バリュミューダほど有名になるともし他人がバルミューダの名前でカレーソースを作って売ると、消費者が混乱することになるのでそれを防ぐ必要があるのですね。

なので、一見、カレーソースについては商標登録が必要ないと思うかもしれませんが、きちんと商標を取得し、自社のブランド保護し、消費者が混乱するのを防いでいるのですね。御社も商標登録ちゃんとしてますか?


ライター

杉浦 健文

パテ兄

特許事務所経営とスタートアップ企業経営の二刀流。

2018年に自らが権利取得に携わった特許技術を、日本の大手IT企業に数千万円で売却するプロジェクトに関わり、その経験をもとに起業。 株式会社白紙とロックの取締役としては、独自のプロダクト開発とそのコア技術の特許取得までを担当し、その特許は国際申請にて米国でも権利を取得、米国にて先行してローンチを果たす。 その後、複数の日本メディアでも取り上げられる。

弁理士としてはスタートアップから大手企業はもちろん、民間企業だけではなく、主婦や個人発明家、大学、公的機関など『発明者の気持ち、事業家の立場』になり、自らの起業経験を生かした「単なる申請業務だけでない、オリジナル性の高い知財コンサル」まで行っている。

■日本弁理士会所属(2018年特許庁審判実務者研究会メンバー)
■株式会社白紙とロック取締役
■知的財産事務所エボリクス代表
■パテント系Youtuber 


【参照】
https://www.balmuda.com/jp/curry/
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2012-140762/63DDDE5D69A9AA95F32D1FC19679C556FD5779372FE3BB99273F84A994911DFB/10/ja




Latest Posts 新着記事

知財の主戦場は「充電」から「交換」へ——CATLが先回りする日本市場の布石

世界最大級の車載電池メーカーCATLは、セルやパックの“モノづくり”を超えて、交換式バッテリーによる「BaaS(Battery as a Service)」へと事業射程を拡張している。交換ステーション、共通モジュール、運用ソフト、資産管理—この新モデルが成立するとき、勝負を決めるのは工場規模だけではない。規格化を押さえる特許と、サプライチェーン横断で効くサービス設計の知財である。中国本土では、Si...

環境×技術×知財 BlueArchがつくる“持続可能な海洋モニタリング”の新モデル

海岸林、マングローブ、塩沼、藻場などの ブルーカーボン生態系 は、地球温暖化対応の大きな鍵となる。これらの環境は、陸上森林よりも濃密に炭素を隔離する能力を持つという報告もある。Nature+2USGS+2 だが、こうした海・沿岸域の調査・保全には「アクセス困難」「高コスト」「リアルタイム性の欠如」といった課題が横たわる。ここに、ドローン技術、GPS(あるいは水中位置推定技術)、そして特許設計による...

ファーウェイ、特許で動く EV×5G基地局に見る中国知財の拡張戦略

■ 序章:静かに増える“赤い知財網” 特許庁の公開データを丹念に追うと、近年ひとつの変化が浮かび上がる。日本国内での中国企業による特許出願が、2015年以降、年率二桁で増加しているのだ。 とりわけ通信・電池・モビリティといった「脱炭素×デジタル」分野に集中しており、日本企業が得意とする領域を正面から狙っている。こうした動きの中心にいるのが、通信大手・華為技術(ファーウェイ)である。 米中摩擦のさな...

終わりなき創造の旅 厚木の発明家が挑む“次の技術革命”」

特許数でギネス更新 21世紀のエジソン、厚木に―発明の街が問いかける、日本の未来図 神奈川県厚木市―東京からわずか1時間足らずの距離にあるこの街が、世界の技術史に名を刻んだ。特許数の世界記録を更新した発明家、山﨑舜平(やまざき・しゅんぺい)氏が拠点を構えるのが、まさにこの地である。彼の名がギネス世界記録に再び載ったというニュースは、科学技術の世界だけでなく、日本人のものづくり精神を象徴する話題とし...

知財は企業の良心を映す鏡――4億ドル評決が語るイノベーションの倫理

2025年10月、米テキサス州東部地区連邦地裁で、韓国の大手電子機器メーカー・サムスン電子に対し、無線通信技術の特許侵害を理由に4億4,550万ドル(約690億円)の賠償を命じる陪審評決が下された。この判決は、単なる企業間の紛争を超え、ハイテク産業における知的財産権(IP)の重みを再認識させる事件として、世界中の知財関係者の注目を集めている。 ■ 「技術を使いたいが、支払いたくない」——内部文書が...

知財が揺るがす電機業界――TMEIC×富士電機、UPS特許訴訟の裏側

2025年夏、産業用電源装置分野を揺るがすニュースが伝わった。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が、富士電機の無停電電源装置(UPS)製品が自社の特許を侵害しているとして、韓国において訴訟および輸入禁止の措置を求めた件である。韓国貿易委員会(KTC)は8月下旬、TMEICの主張を一部認め、富士電機製の特定UPSモデルについて韓国への輸入を禁止する決定を下した。日本企業同士の知財紛争が、国外で具...

「JIG-SAW、AI画像技術で米国特許を獲得へ 知財を武器にグローバル競争へ挑む」

はじめに:発表概要と意義 JIG-SAW(日本発の IoT / ソフトウェア/AI ベンチャーと理解される企業)は、米国特許商標庁から「コンピュータビジョン技術」に関する Notice of Allowance(特許査定通知) を取得した旨を、自社ウェブサイトおよびニュースリリースで公表しています。 具体的には、JIG-SAW は「コンピュータビジョン技術、画像処理・画像生成支援技術」分野において...

「特許で世界を包囲する中国 イノベーション強国への加速」

はじめに:なぜ国際特許出願数が注目されるか イノベーション(技術革新)の国際競争力を測る指標として、研究開発投資、論文発表数、特許出願数などが長らく注目されてきました。特に国際特許(例えば、特許協力条約 PCT 出願、あるいは各国出願による外国での保護を意図した出願)は、一国の発明・技術が国際市場を見据えて保護を志向していることを示すため、技術力だけでなく国際志向性の強さも反映します。 近年、中国...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る