眼差しの微細エネルギーを感知できる技術が特許に

特許というものは、基本的には新規性・進歩性を満たすものであって、技術的な再現性(反復可能性)があるのであれば、たとえその成功確率(収率、歩留まりともいいます)が低くとも特許性はあります。例えば、「真珠のミキモト」の創業者である御木本幸吉氏の真珠養殖方法の特許(特許2670号:明治29年1月27日登録)は、加工した真珠貝300個のうち数個からしか真珠を取得することはできず、成功率が1〜2%しかないものでしたが、それでも特許は認められました。
つまり、現在の技術常識ではおよそ実現可能性が低いと思われるような技術であっても、実験的に再現性が認められるものであれば、特許として認められる可能性があるということになります。

今回紹介する特許は、外気功の検知器であって、そのなかでも眼差しという特化した生体エネルギーを、遠隔で感知して電気エネルギーに変換できる、という技術です。信じられないかもしれませんが、特許になっています。

特許の概要

発明の名称:目から照射された眼差しを感知して、電流値に変換できる電気回路
出願日:2019年9月20日(早期審査対象出願)
登録日:2021年1月13日
特許番号:特許第6823241号
特許権者/発明者:内田州彦

人の視線のエネルギーを水晶で検知できるらしい

本発明以前にも、既に一般的な技術として、人がどこを見ているか、「視点」の検出技術はアイトラッキング、注視点検出技術としてよく知られています。しかし、見るという行為によって派生する眼差しというエネルギーを、どのように数値化できるのかについては、これまで研究されていませんでした。
本発明は、水晶を用いて眼差しを電気的に受信する電気回路なのだそうです。これを応用することで眼差しを受けたロボットを、より親しみのある動作にすることができるようになったり、店舗のショーウインドウに置いた商品に興味を持った通行人が商品を見つめると様々なリアクションで応答したり、また、様々な機器を眼差しによってコントロールすることで医療技術の分野や遠隔医療の分野においても活用の展開が期待できるとされています。

眼差しだけでなく、指先を向けても反応があった!

本発明の発明者が作成した電気回路の出力値において、眼差しを送らない状態ではテスターの直流電流はゼロであったものが、2m以上離れた位置から眼差しを送るとマイクロアンペアからミリアンペアレベルの出力値を表示し、また眼差しを送らなくなると、ゼロに戻ったとのこと。そして、これは眼差しだけでなく、手や指先を水晶に向けることでも同じ現象がみられたとのことでした。

回路は示されているものの、出願当初明細書には実験データがなかった

この結果を記載した特許出願は早期審査が請求され、出願後すぐに審査がされましたが、回路図などは示されているものの肝心の実験結果が示されていませんでした。一旦、審査官は拒絶理由を通知したのですが、出願人は実験データを付した意見書を提出し、審査官も「実験結果の通りであれば、本願は実施可能要件を充足し、拒絶の理由を有しない」という注釈付きで、なんと特許査定となりました。特許庁の審査官は再実験などを行ってデータの信頼性等を直接確かめることはできませんから、提出された実験成績を信用するならば、という条件付きで特許を認めたということになります。

意見書の内容から一部抜粋すると以下のような実験を行ったとの記述があります。

初期値を0値にする実験を継続して行った。反応器に眼差しを送らないときは0値、眼差しを送ると反応し電流値を表示するように、2個の可変抵抗器の組み合わせを探した結果、思う様な表示が可能になった。反応器の待機状態と、反応して反応値を出力している状態の差異がはっきりと判り易く識別出来るようになった。方法として、14種類のDC-DCコンバーターを1種類ごとに連結し、それぞれ反応値を計測した。高さ20cm上の木製テーブル上に反応器をセットし、人や電気器具のない自然に囲まれた郊外の空き地で実験を行った。テスターはDC20mAレンジにセットした。2個の可変抵抗器の組み合わせを0から100まで2.5単位ごとに変化させ、その都度反応値が0値の組み合わせになったら約2mの距離をとり反応器に向け眼差しを向けた。反応値が出たら一旦眼差しを向けるのを止めた。0値に戻ったら再び眼差しを向けて反応値を計測した。
その結果、眼差しを送る前は、0値であり、反応後、眼差しを送るのを停止すると0値に戻った。何度も再現実験を行ったが、その都度様々な反応値を表示し0値に収束した。

信じるか信じないかは、あなた次第

人間の「気」というものは、古来から何らかの波動であるとか力であるという話は、社会的には強く否定されることなく伝わっています。いまの技術常識の上で、科学的に確かめられていないというだけで「そんなものはないのだ」と否定することは傲慢ともいえます。今回の発明はもしかすると人間の「気」であるとか「眼差し」というものを科学的に測定し、それを利用するための大発見なのかもしれません。今後のさらなる研究に期待したいと思います。