白鶴、料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉などの食品の不快臭改善で特許取得


白鶴酒造株式会社は、プレノールおよびイソプレノールに食品の不快臭を改善する効果を見出し、特許を取得したことを、24日4月18日プレスリリースで公表した。これらの成分は業務用料理酒「白鶴 料理酒CS-4T」に含まれている。なお、プレノールおよびイソプレノールは柑橘類やコーヒーなどに含まれる身近な成分としている。

プレノールおよびイソプレノールは、大豆ミートなどの植物性たんぱく特有のにおい、肉類の不快臭(脂臭さ、畜肉臭、グラス臭)、魚介類の不快臭、納豆臭、キノコ類の不快臭、野菜の青臭い香り、レトルト臭を低減する効果を持つことが確認された。

また、プレノールおよびイソプレノールは一般的な日本酒には含まれていないが、白鶴独自の清酒酵母を用いることにより生成され、この技術を活用した「白鶴 料理酒CS-4T」を用いて調理することで、様々な食材や食品の不快臭を低減し食品の風味を向上することができるとしている。

古くから日本酒にはさまざまな調理効果があることが知られているが、同社でも肉・魚などの特有の臭みを抑える料理酒の開発に力を入れており、かねてより料理に特化した日本酒を取り扱っている。

昨今、食料不足の問題や畜産による環境問題、健康志向の高まり、ヴィーガンなどさまざまな観点から大豆ミートなどの代替肉への関心が高まっている。一方で、大豆ミートには特有のにおいがあり、これまではスパイスでの下処理や味付けを濃くするなどの対応が一般的だった。

同社ではこの課題に着目。オリジナル清酒酵母が生成する成分に、大豆ミート特有のにおいへのマスキング効果があることを発見し、2023年6月に業務用料理酒「白鶴 料理酒 CS-4T」を発売した。また、様々な食品の不快臭を低減し、風味を向上する効果があることを明らかにしている。

業務用料理酒『白鶴 料理酒 CS-4T』について、その特長

(1)大豆ミートなど植物性たんぱく特有のにおいを抑制
(2)代替肉以外の食材特有のにおいも抑制
・肉類の不快臭(脂臭さ、畜肉臭、グラス臭)
・魚介類の不快臭
・納豆臭
・キノコ類の不快臭
・野菜の青臭い香り
・レトルト臭
(3)自然にマスキングができるため料理本来の味付けが可能
(4)日本酒なので食塩ゼロ

特許概要

【特許番号】特許第7450789号(P7450789)
【登録日】令和6年3月7日(2024.3.7)
【発明の名称】食材又は飲食品の臭い改善剤、及び食材又は飲食品の臭い改善方法
【特許権者】 【氏名又は名称】白鶴酒造株式会社
【発明者】 【氏名】作田 敦士  近藤 春佳  浅井 拓也  明石 貴裕

【要約】
【課題】食材又は飲食品の好ましくない臭いを抑制することができる食材又は飲食品の臭い改善剤、食材又は飲食品の臭い改善方法、及び飲食品の製造方法を提供すること。

【解決手段】プレノール及びイソプレノールの少なくともいずれかを含有する食材又は飲食品の臭い改善剤、前記食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる食材又は飲食品の臭い改善方法、及び前記食材又は飲食品の臭い改善剤を用いる飲食品の製造方法である。


Latest Posts 新着記事

「しなやかでタフ」なカルコパイライト太陽電池の進化戦略

はじめに 太陽光パネルといえば、重くて硬いシリコン製を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし今、次世代技術として「カルコパイライト太陽電池」が静かにその存在感を高めています。 「曲がる太陽電池」カルコパイライトとは? カルコパイライト太陽電池は、銅(C)、インジウム(I)、ガリウム(G)、セレン(S)などを原料とする化合物系の薄膜太陽電池です。これらの構成元素の頭文字をとって「CIGS(シグス)」と...

連邦政府が大学の特許収入を狙う トランプ政権の新方針が波紋

はじめに 米国の大学は、研究開発活動を通じて得られる特許収入を重要な財源としてきました。大学の特許収入は、新しい技術の商業化やスタートアップ企業の設立に活用され、イノベーションの促進に直結しています。しかし、トランプ政権下で、連邦政府が大学の特許収入の一部を請求する方針が検討されており、大学の研究活動やベンチャー企業の育成に対する影響が懸念されています。 特に米国は、大学発ベンチャーの育成や産学連...

脱石炭から技術輸出へ:中国が描くクリーンエネルギーの未来

21世紀に入り、世界各国が環境問題やエネルギー安全保障への対応を迫られるなか、中国はクリーンエネルギー分野で急速に存在感を高めてきた。とりわけ再生可能エネルギー技術、電気自動車(EV)、蓄電池、送配電網、そしてグリーン水素などの分野において、中国は「追随者」から「先行するイノベーター」へと変貌を遂げつつある。なぜ中国が短期間でこのような飛躍を実現できたのか。その背景には、国家戦略、産業政策、市場規...

世界のAI特許6割を握る中国 5G・クラウドを基盤に国際競争を主導

近年、中国はデジタル経済の拡大と技術革新を国家戦略の中核に据え、AIや5G、クラウド、データセンターといった基盤技術において世界を牽引する存在となっている。その象徴的な事実として注目されるのが、人工知能(AI)に関する特許出願件数である。国際特許機関の最新統計によれば、中国からのAI関連特許は世界全体の約6割を占め、米国や欧州、日本を大きく上回る圧倒的なシェアを記録している。 本稿では、中国がいか...

AgeTech知財基盤を強化――パテントアンブレラ(TM)が累計41件出願、AI特許も追加

高齢社会の進展に伴い、健康維持、生活支援、介護軽減を目的としたテクノロジー領域「AgeTech(エイジテック)」への注目がかつてないほど高まっている。その中で、知的財産を軸に事業競争力を高める取り組みが活発化しており、今回、独自の「パテントアンブレラ(TM)」戦略を進める企業が、AI関連特許を含む29件の新規出願を追加し、累計41件の特許出願を完了したと発表した。これにより、類型141件の機能をカ...

フォシーガGE、特許の壁を突破 沢井・T’sファーマの挑戦

2025年9月、日本の医薬品市場において大きな話題を呼んでいるのが、SGLT2阻害薬「フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)」の後発医薬品(GE、ジェネリック)の登場である。糖尿病治療薬の中でも売上規模が大きく、近年では慢性腎臓病や心不全の領域にも適応拡大が進んだフォシーガは、アストラゼネカの主力製品のひとつである。その特許の“牙城”を突破し、ジェネリック医薬品の承認を獲得したのが沢井製薬とT&#...

電池特許はCATLだけじゃない――AI冷却から宇宙利用まで、注目5大トピック

近年、知的財産の世界では、特定の企業やテーマに関心が集中しやすい傾向がある。中国・CATLの電池特許戦略や、AIをいかに効率的に冷却するかといったテーマは、テクノロジー産業の今を象徴するキーワードだ。しかし同時に、その裏側には見落とされがちな知財動向や、将来を左右しかねない新しい潮流が潜んでいる。本稿では、「電池特許CATL以外にも」「特集AIを冷やせ」を含め、いま注目すべき5本のトピックを整理し...

バックオフィス改革へ ミライAI、電話取次自動化で特許取得

AI技術の進化が加速するなか、企業のバックオフィスや顧客対応の現場では「省人化」「自動化」をキーワードとした取り組みが急速に広がっている。その中で、AIソリューションを展開するミライAI株式会社は、従来の電話取次業務を人手に頼ることなく「完全無人化」するための技術を開発し、特許を取得したと発表した。この技術は、音声認識・自然言語処理・対話制御を組み合わせ、従来課題とされてきた「誤認識」「取次精度の...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る