大阪大学発ベンチャーの株式会社イムノセンス(本社:大阪府大阪市 代表:杉原宏和、以下「イムノセンス」)は、創業者でもある国立大学法人大阪大学産業科学研究所特任教授 民谷栄一氏(以下、民谷特任教授)が開発した「GLEIA法」という免疫反応と電気化学反応を組み合わせた独自の免疫測定技術を活用して、POCT(※)向け免疫センサデバイスの開発に取り組む大阪大学発のベンチャー企業。※POCT(Point of care testing)…診療所、在宅、遠隔地、災害現場など様々な医療現場で行われるリアルタイム検査の総称。
同社はこの度、第三者割当増資と融資により総額5億円の資金調達を実施したと、23年2月2日プレスリリースで公表した。
同社の開発する免疫センサーは、心不全や塞栓症など様々な疾患を迅速診断するための免疫検査デバイスであり、既存の測定装置と比較して、小型・低価格・高感度という強みを持ち、血糖値計のように一滴の血液から疾病マーカーを測定し、数分で検査が完了することから診療所などでの迅速診断に活用することが可能としている。
【独自の免疫測定技術「GLEIA」とは】
イムノセンスの独自免疫測定技術「GLEIA」はGold-Linked Electrochemical Immunoassay(金結合電気化学免疫測定法)の頭文字をとって名付けられ、民谷特任教授によって開発された全く新しい免疫測定法。
従来の免疫測定は操作が煩雑で、医療機関から専門の臨床検査会社に測定を依頼することが主流だった。このため結果が判明するまでに数時間から数日のタイムラグが発生するという課題があり、一方、新型コロナ感染症の抗原検査などで用いられている「イムノクロマト」は、非常に簡単な操作で「その場」で結果を得ることができる。しかしながら、感度や精度は臨床検査会社での測定に劣るため用途が限定されていた。
「GLEIA」では、免疫反応と電気化学反応を組み合わせることで、この課題を解決している。それぞれの病気に特有の物質(疾病マーカー)を2種類の抗体を用いて検出するいわゆる「サンドイッチ免疫測定」において、抗体標識に金ナノ粒子を用い、粒子中に含まれる金原子量を電気化学的に定量することで、簡便なシステム構成で高い検出感度を実現することができる。
「GLEIA」を応用した同社製品は、既存の製品と比較して、小型・低価格・高感度を強みし、手のひらサイズの測定器と使い捨て小型センサーを組み合わせ、大型の測定機器と同等の高感度を達成している。しかも価格は大型測定機器の100分の1以下としている。同社はGLEIA法に関する基本特許と、使い捨て小型センサーの構造及び製造方法特許を登録済みだ。
【特許番号】 特許第6714256号(P6714256)
【登録日】 令和2年6月9日(2020.6.9)
【発明の名称】 電気化学法ラテラルフロー式免疫検査方法とそのセンサーおよびその製造方法
【特許権者】 【氏名又は名称】株式会社イムノセンス
【発明者】 【氏名】民谷栄一 清水武則 山田繁樹
【要約】 【課題】試料溶液の流れを制御することで、反応時間が短く、感度に優れ、精度が高い定量と電気的測定ができる電気化学法ラテラルフロー式免疫検査方法とそれに用いられるセンサーを提供する。
【解決手段】 樹脂製シートの支持体2に、電極部5と、電極部からの電流を伝える導電部7と、この電流値を測定する電気測定器に接続する接続部12とを配するとともに、前記支持体上に複数のパッド類を一部分積層配置して、試料溶液を複数のパッド類に渡って流れさせて行き、前記電極部5の位置で流れを制御して電気化学的検出を行う。流速制御パッド15や流路部ファイバーパッド10や、流速制御用突起部27により流れを制御する。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000077216.html
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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