網膜に人工的な光の刺激を与えて近視の進行を抑制、治療を目指す独自技術~米国にて特許


窪田製薬ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区 代表:窪田良 MD, PhD)は、同社の100%子会社のクボタビジョン・インク(本社:米国ワシントン州)が、米国特許商標庁より2022 年10 月25 日(米国時間)に取得したクボタメガネテクノロジーに関する特許について10月27日公表した。

同社は、当該技術、およびその他のパイプライン全てにおいて強力な特許ポートフォリオを構築・維持することで企業価値の最大化を図っていくとしている。

近視は、2050 年には、世界の約半数の人が陥ると予測されている疾患(*1)。特に、日本を含む、中国、香港、台湾、韓国、シンガポールといったアジア諸国で近視が急激に増加しており、ソウルでは、19 歳の男性の96.5%が近視というデータも示されている(*2)。また、2019 年3月に文部科学省が発表した学校保健統計調査によると、小学生〜高校生の裸眼視力における 1.0 以上の割合が過去最低になったと発表されている(*3)。

近視の進行により、緑内障視野障害、白内障、網膜剥離、黄斑変性などの疾患を合併するリスクが高まることも知られており(*4)、 強度近視患者の増加は、大きな社会課題の一つだが、未だ本邦で薬事承認を受けた治療法はない。近視は、屈折性近視、軸性近視、偽近視、核性近視などに区分されるが、その多くは軸性近視と診断され、眼軸が伸展することによりおこるとされている。

眼軸長が伸びると、眼球の中で焦点が網膜より手前に位置づけられるために、遠くが見えにくくなる。現在は、メガネやコンタクトレンズ、屈折矯正手術により、光の屈折を矯正し、焦点を網膜に合わせることが一般的であり、眼軸長を短縮させるような根本的な治療法は見つかっていない。

*1 Holden BA, et al. Ophthalmology.(2016)
*2 Elie Dolgin(2015)『The Myopia Boom』(Nature)
*3 文部科学省 平成 30 年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)の公表について
*4 Flitcroft D.I. The complex interactions of retinal, optical and environmental factors in myopia aetiology. Progress in Retinal and Eye Research 31 (2012) 622660 AR技術により、遠くをみているような映像環境を作り出す / Credit:Kubota holdings(YouTube)_クボタメガネテクノロジー(2022)

それに対しクボタメガネテクノロジーは、網膜に人工的な光刺激を与えて近視の進行の抑制、治療を目指す当社独自のアクティブスティミュレーション技術で、網膜に光刺激を与えて近視の進行の抑制、治療を目指す技術は既に実用化されており、米国ではCooperVision 社の「MiSight®1day」という製品が近視抑制の効果があるとして米国食品医薬品局(FDA)より認可を受け、販売されている。この製品は、多焦点コンタクトレンズの仕組みを応用し、自然光をぼかして網膜周辺部に刺激を与えることで、一般的な単焦点コンタクトレンズと比較して近視の進行を抑制することを証明したコンタクトレンズだ。

一方、同社グループの「クボタメガネテクノロジーは、この理論的根拠をもとにナノテクノロジーを駆使してメガネに投影装置を組み込むことで、自然光をぼかすことなく、直接一番効果的な映像を網膜周辺部に投影することを実現し、先行品よりも短時間の使用でより自然な見え方を維持しながら、高い近視抑制効果を実現することを目指している。

特許の概要

発明の名称: Projection of defocused images on the peripheral retina to treat refractive error
登録国: 米国
特許番号: US 11,480,813
特許取得日: 2022 年10 月25 日
特許権者: アキュセラ・インク


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.kubotaholdings.co.jp/ir/docs/20221027_JP_patentKG_final1.pdf
https://kubotaholdings.co.jp/-205011996522019103211264-1-holden-ba-et-al/index.html


Latest Posts 新着記事

日本特許取得で見えた、抗体創薬ビジネスの新しい競争軸

今回のニュースは、単なる知財取得の話では終わらない 英Fusion Antibodies plcは2026年5月11日、日本で特許を取得したと発表した。対象は特許出願番号2021-519644で、日本特許第7853096号として正式に登録されたという。特許名称は「Antibody Library and Method(抗体ライブラリおよび方法)」で、同社はこの権利が自社の抗体発見プラットフォームを...

3Dプリント時代の本当の可能性――MIT「Y-zipper」が示した答え

古い特許が突然“新技術”に見える瞬間がある 技術の世界では、新しさは必ずしも「最近考えついたもの」だけを意味しない。 むしろ、本当に面白いのは、昔は実現できなかった発想が、時代を経て突然現実味を帯びる瞬間である。MITが発表した3面ジッパー「Y-zipper」は、まさにその典型だ。MIT Newsによれば、この設計はMITのBill Freeman教授による約40年前の特許発想に着想を得ており、当...

“検索するAI”ではなく“見抜くAI”へ――Aconnect進化の本質

欧州特許対応は、単なる検索対象の追加ではない ストックマークの製造業向けAIエージェント「Aconnect」は、2026年4月30日、特許調査エージェントの調査対象に新たに欧州特許(EPO)を追加したと発表した。これまで対象だったのは日本特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、世界知的所有権機関(WIPO)の公報で、今回の対応によって、欧州企業の特許を含むより広範な先行技術調査やクリアラン...

“銀行を壊さないブロックチェーン”は広がるか――Swift連携特許を読む

今回の特許は、単なるブロックチェーン活用ニュースでは終わらない 株式会社Datachainは2026年5月1日、Swiftと連携したステーブルコインを用いた送金システムに関する特許登録が完了したと発表した。特許名は「ステーブルコインを用いた送金システム」、特許番号は第7850327号、登録日は2026年4月14日で、特許権者は株式会社Progmatと株式会社Datachainであると公表されている...

ティルトシフトは次の主役になれるか――キヤノン特許が示す野心

今回の特許が面白いのは、単焦点1本の話では終わらないことだ キヤノンのティルトシフト関連特許として、24mm F3.5、17-24mm F4、100-400mm F4.5-5.6といった光学系が話題になっている。公開情報ベースでは、2026年2月に「TS 17mm F4」相当と思われるミラーレス向けティルトシフト光学系の特許出願が紹介されており、既存の一眼レフ用TS-E系とは違う方向性が見えている...

“作れるだけのノーコード”では勝てない――SmartDBが示した次の一手

今回の特許は、単なる機能追加の話ではない ドリーム・アーツが、SmartDBの「ダイナミック・ブランチ機能」で特許を取得した。発表によれば、対象は特許第7809268号で、SmartDBに搭載される同機能は、大企業の複雑な業務構造を「業務のデジタルツイン」として完全ノーコードで実現するものだという。会社側は、この機能がすでにSmartDBの標準機能として提供され、多くの大企業で活用されているとも説...

4月に出願公開されたAppleの新技術〜吸着力を劇的に高め、ひねって外せる次世代MagSafeの磁気構造〜

4月に出願公開されたAppleの新技術〜吸着力を劇的に高め、ひねって外せる次世代MagSafeの磁気構造〜   はじめに ワイヤレス充電器にスマートフォンを置いたとき、少しずれていて充電されていなかったり、逆にスタンドから外そうとしたら本体ごと持ち上がってしまったりした経験はありませんか? これまでのMagSafeも非常に便利でしたが、保持力と使い勝手のバランスにはまだ改善の余地がありました。 A...

“AIで判定する”だけでは勝てない――特許検討で差がつくインフラ点検の未来

インフラ点検ロボットの本当の課題は、移動より“判定”にある インフラ点検ロボットというと、多くの人はまず「人が行きにくい場所へ行ける機械」を思い浮かべる。 橋梁、トンネル、配管、法面、設備機器。 危険な場所や広い範囲を、人の代わりに見に行く。 確かにそれは大きな価値だ。実際、国土交通省も、ロボットによる点検DXについて、施設管理の省人化・効率化・迅速化につながると説明している。 だが、現場で本当に...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

大学発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る