Appleが米国特許商標庁(USPTO)に出願した、仮想現実(VR)技術に関する3件の特許出願書類が7月に公開されたことをCNETJapanが22年8月2日伝えている。
今回の3件の特許はすべて、近年出願されUSPTOによって承認された特許の「継続出願」となっているが、継続出願は専門用語であり、通常、特許の内容が一部変更されたことを意味する。その意味で、継続出願は、以前出願された特許の内容に重要な改善が加えられたことを意味する場合もあり、今回の継続出願の変更点は微細だが興味深い。
例えば、7月14日付けで公開された米国特許出願番号「20220222790」は、4月に承認された特許番号「11,295,425」の継続出願。いずれも、特許の対象となっているのは、VRまたはMRヘッドセットを通して見られる動画の2つの異なるレンダリングを画面上で組み合わせるフィルターで、このフィルターの狙いは、中心窩レンダリング(人の視線が向けられている場所に応じて解像度を調整すること)を実現して、シーンのリアルさを高めることにある。
出願書類では、2層の動画に焦点が当てられている。新しい特許出願では、公開された特許の20個の請求項のすべてが40個の新しい請求項に置き換えられている。文言はほとんど同じだが、顕著な違いが1つある。それは、「behavior」(動作)という言葉が多用されていることだ。
特にユーザーの動作という意味でbehaviorという単語が頻出しており、前回の出願で3回だったところが24回も使われている。この場合の動作とは、「動作データセット」のことを指す。つまり、ヘッドセットを装着している人のジェスチャー、例えば手振りや表情の変化、頭の動きなどをセンサーから収集したデータ群である。こうしたユーザー動作によって、周囲環境のさまざまな表示でフィルターの切り替えを操作することが狙いだ。
センサーを介してユーザーの動作を検出するという表現は、公開された特許でも使われている。一方、今回の出願ではシステム全体の請求範囲が更新されており、フィルターと、ユーザー動作の認識の統合までが明示的に請求範囲に含まれた。
残り2つの特許出願のうち、「20220236799」は、視線を追跡するシステムで、目に向けた赤外線を利用して、装着者が見ている方向を判定する。3つ目の出願「20220222904」では、乗り物で移動している間、乗客の視界を、シミュレーションによる仮想視界に置き換える仕組みが説明されている。シミュレーションによる視界に切り替えることで、窓の外を見ていないときに起こりやすい乗り物酔いを防ぐという意図だ。
今回の3件の特許出願では、ヘッドセット装着者が向いている方向を赤外線で検出する方法、装着者が見ている画像の解像度を調整して目の「中心窩」を模倣する機能、そして、ユーザーが車内でVRの画面を見ているときに乗り物酔いを軽減するシステムをそれぞれ説明している「連続出願」となっている点に注目したい。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://japan.cnet.com/article/35191238/
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