プレイヤーも開発者も白熱!eスポーツ特許特集〜ハード編〜

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プレイヤーも開発者も白熱!
eスポーツ特許特集〜ハード編〜

目次

INTRODUCTION

コロナ禍の深刻な状況が続いています。ワクチンの接種が始まったとはいえ、我々を含む世界中の人々が接種をし、「根絶」「集団免疫の獲得」というところには、まだまだ長い時間がかかりそうです。
世界的に多くのイベントが中止になっているところ、延期となった東京オリンピックが2021年にどのような形で開催されるか、大変興味深いところではあります。

しかし、種々のスポーツイベントが中止や縮小などに追い込まれている中、競技としてのゲーム、「eSports」は、2020年の世界市場規模として、日本円換算で1400億円を超えるともいわれ、「withコロナ」の現状において爆発的な盛り上がりをみせています。

そこで、今回はeSports特許特集と題して、eSportsにまつわる特許情報の一部を解説していきます。

人間工学的コントローラー及びシステム

エルゴノミクスデザインのゲームコントローラー

エルゴノミクスデザインのゲームコントローラー

現在広く用いられているゲームコントローラーとして、最初に思い浮かぶのは、世代の差こそあれ、十字キーのついている任天堂の「ファミコンコントローラー」から派生した、左手で方向キー、右手でボタンを押すタイプか、アーケードゲーム機のようなジョイスティックタイプのいずれかではないでしょうか。 このようなゲームコントローラーを介して、プレイヤーはゲームをプレイするわけですが、昨今のゲーム人気の高まりに伴い、ゲームの高スコアの達成のためのプレイヤー間の競争はますます激しくなっています。

しかし、最高のスコアを達成したいというこの願望は、より長い時間をゲームに費やすことを必要とし、これによる手および手首の問題、例えば手根管症候群およびその他の反復性緊張障害をもたらすことが問題となっています。

ところで、ゲームの種類に応じて、最近ではそれぞれ異なるタイプのコントローラーが使用されるようになってきました。特定のタイプのゲームに特定の利点を提供するようなコントローラーが広く販売され、利用されています。このようなコントローラーは数え切れないほどの種類が市場にありますが、どれも上述した従来型のコントローラーから派生したものと言わざるを得ず、人間工学的にみて、プレイヤーの手に大きな負担を強いるものが多いのが実情です。

そこで、各ボタンの配置を、人間の手及び指の形に合わせるようにし、手首の向きに合わせて傾斜させて配置するようにしました。また、各指に対応して複数のボタンを選択できるようにし、どのボタンをどの機能に割り当てるかの機能設定もできるようにしたことで、プレイヤーの手の大きさ等に対して、よりフィットするようなボタン配置が可能となりました。このような傾斜配置をとることで、ユーザーの両肘はより離れる方向に(胸が開くような)姿勢をとることができるため、手首に対する負担がより少なくなるように設計されています。

ユーザーの手首を保護するような、エルゴノミクスデザイン・エルゴノミクスキー配置については、PCのキーボードについては左右分離型キーボードなど、少々マニアックながらも古くから存在しており、特に大量の文書入力をする仕事をする場合などに活用されていました。ゲーム分野においても、同様の課題からプレイヤーの体を守るような製品が出てきたことで、よりいっそうゲームにのめり込む時間が増えそうですね。

家庭用テレビゲームは、アーケードゲームと同様、様々な最先端の技術を駆使して、ユーザーがあたかも現実世界にいるような映像及び感覚を提供する。

ソニーインタラクティブゲーム

ゲーム世界のバーチャルビューをライブ体験

ゲーム世界のバーチャルビューをライブ体験

ビデオゲーム関連市場は、世界のエンターテイメント市場において非常に大きな割合を占めるようになっています。近い将来、ビデオゲーム及びその関連市場全体の世界的収入は、映画業界を超えると予測されています。

そんな中、ビデオゲームを競技として楽しむ、「eスポーツ」が生まれました。eスポーツの世界では、プロゲーマーが、アリーナ等に集まって、マルチプレイヤーオンラインゲーム(MOG)形式でビデオゲームをプレイします。

一方、観客は、アリーナのビデオ制作チーム等によってリアルタイムに生成されるディスプレイパネルに提示されるビューを見て、またはネットワークを介してライブストリーミングされた映像を見て、ゲームの興奮を同時進行的に味わいます。

このようなイベントは既に大規模に行われており、2016年に開催された世界選手権では、約4万人の聴衆を動員し、ライブストリーミングの視聴者は2千5百万人を超えたといわれています。このように、ライブやストリーミングを問わず、最高の視聴体験を提供するために様々な技術が用いられています。

このような背景のもと、ソニーはライブイベントが撮影されたビデオストリームに基づいて、実世界の会場の三次元ライブビューをサーバで生成させ、これをリモートユーザのヘッドマウントディスプレイ(HMD)にストリーミングすることによって、リモートユーザに拡張現実ビューを提供する技術を開発し、特許出願が行われました。この技術においては、リモートユーザは単にライブビューを見るだけでなく、eスポーツにおけるプロゲーマーの視点や、ゲーマーが操るキャラクタの視点、鳥瞰図などを選択して楽しむことができます。

もちろん、ライブ会場におけるアリーナ席からの視点を選択して、会場の雰囲気をリモートで味わうことも可能となります。

ライブ会場における熱気を直接味わうことまではできないかもしれませんが、この技術を用いることで、リモートユーザならではの新しい視点によるeスポーツの楽しみ方ができそうです。

またこのようなスポーツの楽しみ方が、これからの時代において新たな文化・価値観を創造していくことは、確かなことといえそうです。

ビデオゲームは、ゲーム機やコンピュータ及び携帯電話等を含む様々な種類のプラットフォームを用いて、いつでもどこでもプレイされているが、そんなビデオゲームの新しい夜明けが、eスポーツの形で出現している。

人間工学に基づいた究極のゲーミングチェア

まさに SF! 戦闘機コックピットのような究極ゲーミングチェア

まさに SF! 戦闘機コックピットのような究極ゲーミングチェア

ゲームの開発や、ゲームをプレイする際など、仕事や遊びにおいて、PCを使用することは現代人の常識となりました。

昨今では、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点で、自宅等でのリモートワークが急速に進み、PCの前で仕事をすることがこれまで以上に多くなった方も多いのではないでしょうか。

台湾のPCメーカー、ACERは、よりPC作業環境、特にゲーム環境の快適化が図れ、これまで以上の没入感を体感できる、完全にユーザーを取り囲む「コックピット」のようなゲーミングチェアを特許出願しました。

一般に、ゲームの開発や、ゲームをプレイする際をはじめとして、コンピュータを使用するユーザーは、常に快適な使用環境を要求するものです。

当然ながら、ユーザーが異なれば、個人それぞれ異なる身体形状を持っているわけですから、各々の「快適さ」が異なることは至極あたりまえのことといえます。

そこで、発明では、従来の『モニター、コンピュータ、椅子、コントローラ』が一体 となったコンピュータ・コックピットに、ユーザーの情報を得て、椅子の座面やバックレストのチルト角度を調整するようにしました。

この出願は、既に台湾では特許が認められており、台湾内の出願の優先権を主張して、現在米国特許庁で特許審査が行われています。

非常に大掛かりなPC環境なので、個人宅に置くことのできるようなものではないかもしれませんが、ある意味究極のゲーミングチェアとも言えますので、e-スポーツなどを提供するゲーム施設やネットカフェで大きな需要が期待できそうですね。


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