生成AIが通販にどう影響しているのか、これからどう影響するのか~今年の興味深いテーマのひとつだ


新しい年、2024年が始まりましたね。昨年もいろいろありましたが、身近な話題と言えば、急速に普及する生成AI(以下、AI)と、投手で10勝、打者で44本のホームランの二刀流大谷翔平が中心だったとも言えますね。

このふたつ。ことしもそのまま主役が続くことは間違いないでしょう。まあ、大谷翔平は引き続き応援するとして、生成AI。ことしは「通販におけるAI」について注視してみようと思っています。早速、通販の現状とAI活用について触れてみたい。

ちなみに、「通販」とは別の言い方ではダイレクトマーケティング、またはメディアマーケティングとも言われます。つまり「対面」、主に店舗ではなくメディアを介しての「非対面」における商取引を指します。メディア別では、ネット通販、テレビ通販、新聞通販(新聞折込チラシを含む)、カタログ通販、雑誌、ラジオ通販、古くはダイレクトメールなどが主なものとなり、またはそれらの複合によるものとなる。もちろん店舗とメディア組み合わせもある。

その通販の市場規模、富士経済によると日本では約16兆円。そのうちEC=ネット通販市場は約14兆円なので通販イコールネット通販と理解してもいいかもしれません。ECとは、英語のElectronic Commerceを略した和製英語で、訳すると電子商取引となり、ネット回線を利用して商取引をおこなう全般のことを指す言葉。

従って、「通販におけるAI」を考える時、それはEC=ネット通販を中心としたAIと考えることとなります。もちろん売り場であるメディアとは別のフルフィルメント(受注、梱包、発送、受け渡し、代金回収、顧客のアフターサポートまでのバックヤード業務の一連のプロセス)におけるAIの活用、さらには通販事業運営面での業務効率・業務制度などではその限りではなく、通販事業構造全般での活用と考えていい。

昨年末、アシックスが生成AIを使って顧客に商品を推奨する機能をECサイトに導入すると発表している。具体的には、アシックスのECサイトのすべてのシューズコーナーでチャットボット(自動応答シズテム)に生成AIを導入するというもの。顧客が色や価格帯、競技歴やプレースタイルなど打ち込むと、生成AIが返答するという機能で、ねらいはより実店舗でのやりとりに近いものにするという取り組みだ。

また、アスクルは物流センターで行う商品ピッキング作業に生成AIを導入、作業員の代わりにロボットがピッキングを行う試みを始め、作業生産性アップや省人化に効果を上げつつあるようだ。

さらに「ゾゾタウン」。同社の年間購入者は860万人超、取り扱いブランドは約8000で、商品情報や購買履歴、閲覧履歴、顧客情報などのデータを持つほか、「ウェア」には着こなしデータを含めトレンドを判断する材料も大量にある。加えてゾゾスーツやゾゾマットで得た体型データもあり、これらのデータを使って売上高拡大や顧客体験価値の向上につながるAI活用を進めるとしている。

通販事業者ではないが、サイバーエジェントは昨年7月1日にAIを活用したチャットプラットフォームを提供する新会社「AIメッセンジャー」を設立している。同社が提案するのは例えばコールセンターで対応していた業務をAIによる会話エンジンを使いチャットに切り替えるというもの。

二ッチなところでは「薬事法広告研究所」を運営するDCアーキテクトでは、AI薬機法チェック&リライトツール「機械良文」を昨年の3月にリリースし、通販の広告表現における個人事業主やフリーランスなど、スモールビジネスを行う層を中心に活用のすそ野が広がっているとしている。

これらはほんの一例だが、よくよく見るとすでに通販におけるAIの活用は様々、急速に始まっている。その活用は多岐にわたるが主なところでは次のようなことになろう。

・マーケティングへの活用と業務効率の向上
・分析や予測への活用
・オンライン接客での活用
・売れている商品の分析
・高精度な商品のレコメンド
・在庫管理の最適化
・離脱客やかご落ちの防止
・価格の最適化
・悪質な注文への対策
・など

元来、通販事業の本質はデーターベースマーケティングと言われる側面もあって、あらゆる「分析」を基にした仮設検証による事業進化、効率追求ビジネスと言ってもいい。それほどコンピューター、もしくはインターネットとの相性は良く、それらの進化とともに急速に成長・拡大してきた販売形態だ。従って、その「分析」を人間に代わって行う知能・技術=AIとの相性はとても良く、今後ますます通販、ネット通販の進化に影響を及ぼし3年後、5年後には現在の通販事業を大きく変えていくことは間違いがないだろう。


ライター

渡部茂夫

SHIGEO WATANABE

マーケティングデザイナー、team-Aプロジェクト代表

通販大手千趣会、東京テレビランドを経て2006年独立、“販売と商品の相性” を目線に幅広くダイレクトマーケティングソリューション業務・コンサルティングに従事。 通販業界はもとより広く流通業界及びその周辺分野に広いネットワークを持つ。6次産業化プランナー、機能性表示食品届出指導員。通販検定テキスト、ネットメディアなどの執筆を行う。トレッキングと食べ歩き・ワインが趣味。岡山県生まれ。




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