特許弁護士事務所WSLがミュンヘンに新事務所を開設、HGFのチームを迎え入れ


ドイツの特許弁護士事務所WSLは、ミュンヘンに新たな事務所を開設しました。この動きは、ヤン・ロバート・ネーフェ、マルクス・ゾラー、アウシュラ・ネーフェの3名が英国の法律事務所HGFを離れてWSLに加わったことを受けてのものです。これまでWSLはヴィースバーデンの本社のみで運営していましたが、今回のミュンヘン進出により、より広範な地域でのサービス提供が可能となりました。

この新チームは、生命科学や化学、材料科学に焦点を当てて活動しており、これによりWSLの既存チームを補完する形で業務が進められます。ヤン・ロバート・ネーフェとマルクス・ゾラーは以前、法律事務所Patronus IPに所属し、その後2019年にHGFに加わりました。現在はWSLにパートナーとして加入し、アウシュラ・ネーフェもアソシエイトとして加わりました。

新事務所には、2名の研修中の特許弁理士も所属しており、ミュンヘンでの業務を支援します。特にヤン・ロバート・ネーフェとマルクス・ゾラーは、VoestalpineやRAG Austria、Roche Diagnosticsなどの主要クライアントを担当しており、これらのクライアントの一部はすでに特許弁護士を追ってWSLに移行しています。

WSLは、ドイツでの特許訴訟への注力を強化しており、特にUPC(統一特許裁判所)での訴訟活動に注力しています。新たに採用されたメンバーは、全員がUPCでのクライアント代理を行う資格を有しており、この分野での競争力をさらに高めることが期待されています。

WSLは、現在15名の弁理士と4名の研修生を擁しており、2021年7月には法律事務所Mehler Achlerとの合併により大幅に拡大しました。これにより、専門知識を統合し、特許紛争における強力なプレーヤーとしての地位を確立しています。

一方、HGFはヨーロッパ全域での存在感を維持しており、ドイツ国内にはまだ複数のオフィスを構えています。同社は最近、ドレスデンとベルファストに新しいオフィスを開設し、ヨーロッパ全体での拠点を拡大しています。また、HGFはUPC訴訟にも積極的に関与しており、ドイツや他のヨーロッパ諸国での特許訴訟活動を強化しています。

HGFの特許弁護士は、特にデュッセルドルフ支部での訴訟において、Expert Klein GmbHとExpert e-commerce GmbHの代理を務めています。こうした活動は、同社が特許訴訟において広範な専門知識と経験を持つことを示しています。

WSLのミュンヘン進出は、ドイツでの特許法務におけるさらなる影響力の拡大を示すものであり、今後も注目される動きとなるでしょう。


Latest Posts 新着記事

キヤノン参戦!? 新特許が示す“シネマ級スマホ”の衝撃

世界的なカメラメーカーであるキヤノンが、ついにスマートフォン市場へ参入するのではないか―そんな観測が特許情報をきっかけに広がっている。これまでカメラ業界をけん引してきた同社がもしスマホ分野に本格的に乗り出すとすれば、その意味は非常に大きい。単なる「カメラが強いスマホ」ではなく、映画撮影レベルの表現力を一般消費者の手のひらに届ける可能性があるからだ。ここでは、新たに明らかになった特許の内容や、カメラ...

高精細×省電力を両立 半導体エネ研の酸化物半導体特許が拓く未来

近年、スマートフォンやタブレットに加え、テレビやパソコン用ディスプレイ、さらには車載ディスプレイに至るまで「大画面化」の潮流が加速している。高精細かつ省電力を両立したディスプレイが求められる中、バックプレーン技術の要となる半導体材料として、酸化物半導体が再び注目を浴びている。 こうした状況下で、半導体エネルギー研究所(半導体エネ研)が、大画面パネル向けの酸化物半導体技術に関する新たな特許を取得した...

I-ne、東大と共同で「化粧品用マイクロニードル技術」を特許出願 株価後場に上昇

化粧品ブランド「BOTANIST」や「YOLU」を展開するI-ne(アイエヌイー、東証グロース上場)は、東京大学との共同研究の成果として「新規化粧品用途におけるマイクロニードル技術」を特許出願したことを明らかにした。この発表を受け、同社株は後場に入り上げ幅を拡大。投資家からは「技術力の裏付けとなる知財戦略が進展した」との評価が寄せられている。 ■ マイクロニードル技術とは何か マイクロニードルとは...

EV急速充電の主導権争い シリコン負極材で韓国勢が優位に

電気自動車(EV)の普及において最大の課題の一つが「充電時間」である。ガソリン車に比べて充電に時間がかかることは、ユーザー体験を損ねる要因となってきた。しかし近年、バッテリー技術の革新、とりわけ「シリコン系負極材」の実用化が進むことで、急速充電の実現に大きな期待が寄せられている。こうした中、韓国のLGエナジーソリューション(LGES)やSKオンが、関連する特許ポートフォリオの拡充によって、中国最大...

知財で支える防災社会──特許技術がもたらす安全と創意

知財を活用して防災を支える技術と創意の力 私たちの生活は、地震、台風、豪雨、火山噴火といった自然災害の影響を受けやすい環境にあります。災害によって命や財産が脅かされるだけでなく、社会インフラや経済活動にも大きな影響を与えます。こうした脅威に備えるためには、防災技術の開発や迅速な対応が不可欠ですが、近年では「知的財産(知財)」の活用が防災力向上に大きく寄与することが注目されています。 特許技術が支え...

トランスG、欧州で画期的エクソンヒト化マウス特許取得 創薬研究の未来を切り拓く

株式会社トランスジェニック(以下、トランスG)は、2025年6月に「エクソンヒト化マウス」に関する特許を欧州で取得したことを発表しました。この技術は、従来のヒト化マウスモデルの課題を克服し、疾患研究や創薬支援において新たな可能性を開くものとして注目されています。本稿では、この技術の概要、適用例、特許取得の意義、技術的背景と課題、今後の展開について詳述します。 1. エクソンヒト化マウス技術の概要 ...

小学生のひらめきが社会を動かす ― 特許庁が後押しする“未来の発明家”

「自由研究」という言葉を聞くと、多くの人が夏休みの宿題を思い出すだろう。工作や観察、調べ学習など、その内容は千差万別だが、子どもならではの柔軟な発想が光る場面も多い。今年、そんな小学3年生の自由研究から生まれた“特殊なストロー”が注目を集めている。さらに、そのアイデアは特許庁による後押しを受け、本格的に知的財産としての保護を目指すこととなった。この出来事は、単なる「子どもの作品」にとどまらず、未来...

iPhone連携で実現する新方式 ― Apple Watch血中酸素機能の米国再解禁

Appleは2025年8月14日、米国市場において「血中酸素(Blood Oxygen)」計測機能をApple Watchに再導入することを発表しました。対象となるのは Apple Watch Series 9、Series 10、そして Apple Watch Ultra 2 であり、ソフトウェアアップデートによって利用が可能になります。これは単なる機能復活ではなく、従来の方式を見直し、iPho...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る